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だって、防水携帯なんだもの

だって、防水携帯なんだもの_d0051179_19184840.jpg

 ここまできたか、もうついていけない、と時代の変化を思い知ったのは、先日対談した某女性タレントさんから聞いた驚くべき体験談。

 彼女がプライベートで温泉に出かけたときのこと。シャンプーの途中、なんとなく背中に視線を感じたので、脇の下からそれとなく後ろを見てみると、なんと大きな湯船に入っている若い女性がこちらに携帯電話を向けていたのでした。

 お尻を撮られてるかも!驚きと同時に恐怖がこみあげ、しかし、どう対処すればいいのか、泡だらけの頭で考えてもいい案が浮かびません。はたして自分が撮られているのかどうかの確認をどういう方法で確かめればいいものか。

 もう気もそぞろ、頭を洗うのもそこそこに、彼女はついに意を決して、体を拭いて、脱衣場に設置されていた内線電話で宿の支配人に連絡、事情を話して来てもらったそうです。

 やって来た支配人が湯船で熱心に携帯をみつめる女性に尋ねると、彼女はただ携帯電話でメールを打って
いたのだそうです。

 もちろん、お尻は撮っていない、と。

 それはあたりまえとして、わたしが驚いたのは、そのあとの言葉です。

 「私は、家でお風呂に入っているときは、いつもメールをしてるから……」

 えっ、うそ、すこい。そうか、風呂の中でまでメールをする生活をしている人がいるんだ、と。

 メールはすぐに返信するもの、という約束事がある世代だとしても、いくらなんでも自分ちの風呂でメールをしてるからといって、見ず知らずの裸の人がたくさんいる中で携帯電話を操作できるとは、いったいどこまでの公私混同だろう。

 そりゃあ、携帯電話が防水になったから風呂でも利用できるでしょう。

 でも、まさか温泉で使うなんて、電話会社だって予想しなかったでしょう。

 携帯で撮影するのがあたりまえの時代だからこそ、自分は撮っていなくても、撮られているのかもしれない、と思う人がいるかもしれない、という想像力だけは働かせてほしい。

 文明の進歩につれて、なにかがどんどん壊れていく音がするようです。

 これじゃあ、電車の携帯はもちろん、化粧したり、または化粧を落としたり、牛丼食べたり、なんてなんの抵抗もないわけですよね。

 携帯電話会社も、温泉や更衣室など、公衆の場所で使うなんて注意書きを追加しなくちゃいけなくなりそうですね。
# by woody-goody | 2009-09-11 19:18 | 体験

落語と総理

落語と総理_d0051179_5244648.jpg

 政権交代なるか、という投票目の前々日、長野県は戸隠での落語会に出かけました。

 今年で15年、地元青年団の熱意あったれぱこそ、よくぞ続いたものだと感慨深いものがありました。

 その地元青年団が言うには「戸隠は、小選挙区制度が導入されるまでは1区だったんです。長野1区は、隣接している長野市を中心としているエリアだったので問題はなかったのですが、長野2区になってから、いったい誰に投票していいもんだか困っているんですよ。だって、2区は生活圏とはほど遠い松本市を中心としたエリアなんですよ」。

 「我々にとって馴染みがないから1票入れる実感がわかないんです。候補者だってこんなに離れた戸隠まで遊説にくるのも大変でしょう。来てもせいぜい一度か二度が精いっぱい。あまり知らない人に地元を託す投票をするのって、どうにも気分がのらないんですよね。なんでこんな区分になったのか、ずっと思ってるんですけどね」

 選挙区分ってとても大事なんです。日々の暮らしを馴染みのない人に任せる不安。特に、都会と違ってそこで生まれそこで育った人たちにとっては切実な問題だと思います。

 おかしいと言えば、小選挙区と比例区の重複立候補はなくさなきゃいけないと言われながら、いっこうに真剣に議論されてるふしがありません。

 確かに、小選挙区で落選した候補者が突然キョンシーのように復活するのも変な話ですが、一方で10万票以上の票を獲得していながら、その地区では当選者は一人だけと決められているからと言って、5千票足らずの差で落選、というのもおかしな話です。

 あれだけ選挙戦に向けて政治の勉強をした人が落選したからと言って政治への道が断たれるのは理不尽で、なにかこのエネルギーを活かす制度はないものかと思います。

 私の知り合いも、今回少しの差で敗れました。

 彼は言いました。「選挙終盤で、1万5千票がずっと離れていくのをはっきり感じた」

 どうしてわかったの?と尋ねても、相手候補との際どい攻防戦のさなか、票が確かに動いていくのが肌で感じられ、「票読み」という言葉を実感したそうです。

 今回の選挙、私個人にとっても、いろんなことを考えさせられました。

 そう言えぱ、某新聞記事によると、民主の鳩山代表は「桂三枝さんや立川志の輔さんの落語のCDを聞きながら寝るんですよ。笑うと健康に良いし、演説に便えるフレーズも出てくる」そうです。

 なら、ひょっとして私の小咄も鳩山さんの口から出たんでしょうか。

 で、私が一番気になるのは、それが受けたかどうか、なんですが。

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# by woody-goody | 2009-09-04 05:25 | 政治

落語「牡丹燈籠」を終えて


 すでに秋の気配が濃厚になってきましたね。

 下北沢の本多劇場、今年で4回目の「牡丹燈籠」公演が終わりました。

 シェイクスピアと並べられることの多い落語家、三遊亭円朝が創った大長編「牡丹燈籠」の全体像を理解し やすいように新たに構成しなおした志の輔流落語「牡丹燈籠」。

 私も当初は「牡丹燈寵」と言えぱ、カランコロンという下駄の音くらいしか認識がなかったのですが、円朝作品をあらためてじっくり読み直してみると、驚くほどにさまざまな人物が錯綜し、リンクしているのです。

 何日もかけて口演されたというこの長編。

 さぞや、昔の人は、次はどうなるのだろう?とわくわくどきどきしながら、通い詰めたことでしょう。

 昔のように物語がいまほど氾濫せず、時間がゆっくり流れていた時代ならいざ知らず、いまこれをやるならよほど短くしないと、と頭を悩ませた結果がへ一部でまずは人物紹介をかねた関係図をパネルで見せるということでした。

 二部は一部の図をいったん忘れていただくために本編へいきなり突入。

 物語が始まり、ラストヘいくにしたがって一部の関係図が頭によみがえり、しっかり全体像がつながるという手法をとってみました。

 それはそれはたくさんのアンケートをいただいたのですが、中に、この「牡丹燈寵」の速記者酒井昇造さんのひ孫さんからのものがあったのには驚きました。

 構成をほめていただいたうえ、「最後の創作部分は、孝助が何よりも喜ぷことではないでしょうか」との感想、胸に染み入りました。

 なによりかにより嬉しいのは、「牡丹燈籠」速記者である曽祖父のことを思いつづけ、気になって志の輔らくごを聞きに足を運んでいただけたこと、私が知らないことを教えてもらったこと、この因縁が「牡丹燈籠」を通してのものだということです。

 4年続けていてよかった、と心の底から感謝の夏です。

 原作冒頭の「序詞」に「会員酒井昇造氏とともに」の一言を入れた速記者若林珀蔵さんの気遣いもひ孫さんとともに嬉しく、いろんな因縁を感じずにはおれません。

 私は、きっと「牡丹燈寵」の登場人物たちにひかれてこの苦しい作業を始め、終えたのだと思います。時空を超えた因縁話、さまざまなリンクがあの世とこの世でなされているのですね。

 さて、この世を少しでもよくするための1票は、どこへ。
# by woody-goody | 2009-08-28 05:39 | 芸能

今週は休載です。

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# by woody-goody | 2009-08-21 12:15 | 休載

地震対策、人情の備蓄

地震対策、人情の備蓄_d0051179_519119.jpg

 いつもとは違う揺れ、今回はいよいよ大きめの地震だ、とベッドの中でただ首をもたげうろたえるのみ。数日後の地震では、ソファでただテレビのリモコンを握りしめているだけの自分にもう情けなくなりました。

 テレビやラジオに出演させてもらって、人よりいろんな情報を知っているつもりなのに、いざとなると体が動かない。

 恐怖がいったん過ぎてつくづく思うのは、いざとなると何もできないなら、できるときにやれることを一つでも多くやっておくしか、後悔を減らす方法はないのだなあ、ということです。

 では、流れてくるいろいろな情報の中から何をやっておけぱいいのか。よく言われる防災袋、家具転倒防止器異、,食糧や飲料水の備蓄などなど。中でも私がラジオ番組で防災専門家から一直接聞いて驚いたのは、「寝る時はパジャマのポケットにクレジットードを入れておきましょう」でした。

 地震で麻痺する地域が半径10キロだとして、交通機関が麻痺したとしても10キロ歩けぱ最大級被書地域から抜け出せる。その際、クレジツトカードがあれぱ、当座に泊まるホテル代やら食料品が買えるだろうから、というものでした。

 この情報、知っておいたら役に立つとあちこちでしゃべりましたが、じゃあ自分も実行しているかというと、正直してはおりません。

 だって、つまりは、情報の中から自分がやれることをチョイスして実行していかないと、いざとなると何もできない自分にはっきりと気がついたわけですから。

 そして、もう一つ大事なことが、この小噺の中にあるような気がします。帰宅した亭主が言います。

 「いま、松公のうちに寄ってみたらな、かれいそうに食うものがないってみんなでイモ食ってるんだよ。大人はともかく子供までイモしか食えねえって言うのは、かわいそうじゃねえか、なあ、おっかあ、米持ってってやれよ」

 「そうだね、どれくらい持ってってやるかね」

 「どれくらいって、育ち盛りの子供がいるんだ。あるだけ持ってってやれ」

 松公宅から帰宅した女房。

 「喜んでたよ。ありがとうって涙流してたよ」

 「いいことしたな。いいことすると腹が減るな。おい、おっかあ、うちもごはん食べようや」

 「ないよ」

 「なに?」

 「お米ないよ」

 「なんで?」

 「なんでって、お前さんが全部持ってけっていうから全部持ってったよ」

 「馬鹿だな、いくらなんでも全部持ってく奴があるか。ないのか、しょうがないな、じゃあイモでも食うか」

 そう、いざという時に大事なものの一つは、となりの、町内の人とのつながりがかなりのキーポイントであることを、落語は教えてくれています。
# by woody-goody | 2009-08-14 05:25 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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