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今年も気仙沼で寄席

 さあ、「第2回気仙沼寄席」の季節がやってまいりました。えっ、2回目があるなんて思わなかったって? 今年も糸井重里さんは熱いのです。

 思えば一昨年、震災の年の暮れ。糸井さんから相談したいことがある、と持ちかけられたのがきっかけでした。「目黒のさんま祭りで焼かれる5000匹あまりのサンマは、気仙沼の人たちが自費で東京まで持って来てくれてるって知ってました?」

 初めて耳にする事実に私はびっくり。

 「で、実はその気仙沼で落語会をやりたいんです。でも決して慰問の会ではなく、気仙沼市民の皆さんにサンマの代金を、自身で稼いでいただこう、つまり落語会スタッフになってもらって、落語会の収益をサンマの代金に充ててもらおうという企画なんです」

 いかにも糸井さんらしいユニークな企画で、二つ返事で「やりましょう」と答えました。

 去年の「第1回気仙沼さんま寄席」では、全国から1000人を超すお客様が気仙沼を訪れ、私の落語を聴いてくれました。こんなことがなければ、生涯落語とは無縁だったかもしれない方々もたくさん。

 あの日の興奮は今までの落語家人生で味わったことのない、言葉では言い表せない感動でした。地元の子供たちの太鼓や舞に秘められた願いを思うと、頬を熱いものがつたいました。

 伝統芸能である落語が、こんな大災害に見舞われ、大変な思いで毎日を生きる人々の心に果たして届くものだろうか。会の直前まで抱いていた不安が、皆さんからいただいた拍手や笑顔で吹っ飛びました。

 もちろん、現地でみんなといただいた、富山弁ではキトキトと表現するのですが、新鮮なサンマのうまさと言ったら、筆舌に尽くしがたいとはこのこと。

 さあ、9月28,29日の2日間に第2回を行います。1日増えたのは「地元のスタッフさんにもぜひ見ていただきたい」と前夜祭落語会を私から提案したからなのです。ならば「土曜日は東北6県からのご応募限定落語会」と、糸井さんのアイデア。日曜日は全国からご応募OKだそうです。

 津波で陸まで乗り上げた漁船「第18共徳丸」が、市民投票で撤去が決まったとニュースで知り、去年実際に見上げたときの感慨がよみがえりました。

 どうぞ、ご都合がつけば、去年いらした方も、今年初めての方も、そして東北のお知り合いにも、ぜひお声がけいただいて、気仙沼でお会いしましょう。

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by woody-goody | 2013-08-30 11:54 | 芸能

日本列島、二つのお盆

 この時期になると、落語「青菜」を思い出します。

 中でも、人間国宝だった故・五代目柳家小さん師匠のマクラが大好きです。

 「蜀山人の狂歌に、涼しさと言うと『庭に水、新し畳、伊予すだれ、数寄屋ちぢみに、色白のたぼ』というのがありますな」

 「数寄屋ちぢみ」というのは、我々落語家も身につけている「ステテコ」のことです。

 「たぼ」は、女の人が長い髪を後ろでぐるっと巻いてかんざしでとめてある様子、ここから「いい女」のことを「たぼ」と言うようになったそうです。

 言葉だけで涼をとるイマジネーションの世界です。

 では逆に、暑苦しいのはどういうのかというと。

 「西日さす、九尺二間に、太っちょの、背なで子が泣く、まま(飯)が焦げ付く」

 あまりの暑苦しさに笑うしかありません。イメージで遊ぶ、日本人の豊かさに感服です。

 さて、来週はお盆。

 お盆とは、先祖の精霊を迎え、追善の供養をする期間のこと。

 ところが、日本にはこれが二つあります。

 旧盆と新暦の盆。

 私の故郷の富山県でも、県庁所在地の富山市は8月の旧盆、生まれた旧新湊(現射水市)は7月の新暦の盆。

 東京など都市部では7月13〜16日の新暦の盆。地方では8月13〜16日の旧盆。

 どちらにしろ15日をはさんだ4日間。

 一説によると、1873(明治6)年に新暦(太陽暦)が採用された際に、国民の8割を占める農家の人たちにとっては、新暦の盆が最も忙しい時期にあたります。なので、旧盆のままになったそうです。

 もっとも、このおかげで帰省ラッシュが緩和されているメリットもあるのでしょう。

 年中行事の中で、親戚知人が一堂に集まる最も大切なのがお盆と正月でした。

 めでたいことの例えに「盆と正月が一緒に来たようだ」とよく言ったものですが、さて、若い人たちに通じるかどうか。

 「クリスマスとバレンタインデーが一緒に来たような」と言えば、分かりが早いか。

 旧盆と新暦の盆がなんなく共存する日本。米国なら、旧クリスマスと新クリスマスがあるようなものじゃないでしょうか?

 あえて一つに統一しないで、知恵を使って豊かに過ごして来た日本。

 こんな日本をわかってもらわないで、はたして諸外国との交渉なんてうまくいくのでしょうか。

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by woody-goody | 2013-08-09 11:27 | 社会

デジタルカメラあれこれ

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 ハワイの標高4200メートルのマウナケア山頂にある日本のすばる望遠鏡に、去年の夏に設置された高性能巨大デジタルカメラ(HSC)が、アンドロメダ星雲の撮影に成功したそうです。

 すばるに搭載されたのは全長3メートル、重さ約3トン、満月9個分の広さを一度に撮影できるHSC。よくやった! 日本の技術に誇らしい気分になります。

 巨大なカメラもそうですが、身近な話では、今はほとんどの人が持ち歩いている携帯電話に搭載(笑)されているデジタルカメラの性能にも驚きます。

 落語会を終えた楽屋や打ち上げ終わりで、撮影を頼まれることがたびたびありますが、スムースに事が進んだ試しがありません。

 私と一緒に並んでる人の友達は、携帯電話をかざして「ハイ、チーズ!」と声をかけた後、必ず言うのです。

 「あれ? これ? どこを押すの?」

 私の隣の人が「にわかカメラマン」に叫びます。「ほら、早くしてよ。師匠はお疲れなんだから」「だって、わかんないわよ。私の携帯と違うんだもの」

 そりゃそうなのです。彼女が持っているのは、私の隣の人から渡された携帯なのですから、機種が同じじゃない限り、仕組みが違うのですから。

 携帯電話メーカーに申し上げたーい。お願いだから、撮影ボタンの位置や色や大きさや反応度をJIS規格かなんかで統一してもらいたーい。それに使う側も、シャッターチャンス一発に命をかけなくてもいいんじゃないの?

 画像記憶メディアであるメモリースティックやSDカードには、1000枚近くだって保存できるのがあるのですから、1枚や2枚失敗したっていいのです。シャッターチャンスを考えずに、どんどん押しちゃえ押しちゃえ。

 で、後からじっくり気に入ったのを選べばいい。

 「もったいない」のはフィルムじゃなく撮影時間。メカはデジタルになっているのに使う側の人間はアナログという取り合わせの妙。

 カメラに笑顔を向けながら、今回はいったい何分で、何回で撮影が終了するのか予想するのもまた楽し、と思うようにしています。

 いらつきながら、すみませんねという空気を私に漂わせながら、携帯片手に焦る友達のそばへ駆け寄って言う持ち主のセリフ。

 「ほら、だ、か、ら、これを押せばいいのよ、ねえ、わかった? もうー」

 頼まれて叱られてりゃ世話はない。友情に、ひびが入らないことを祈るばかりです。

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by woody-goody | 2013-08-02 11:23 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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