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タイの飲酒は格別

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 今日から1週間、ベトナム公演に行ってまいります。ホーチミンで続けている落語会も6年目に入り、今年は、さらに一カ所、首都ハノイでも行うことになりました。

 毎年この時期になると、海外が続きます。先々週は、全日空機内寄席の収録も兼ねてタイはバンコクで落語会。こちらは4年連続、通算5回目。

 一昨年の洪水の傷痕も徐々に薄れ、工場を中心に着々と立ち直りつつある様子を、現地で働くすごい日本の企業戦士のみなさんが、恒例の夕食会で話してくれました。

 仕方のないことですが、タイで困るのは、内外の気温差。

 30度を超える屋外、一歩建物の中に入ると利きすぎる冷房。体調が確実に狂います。なによりのごちそうが冷房というお国柄。この国のどこにこんなにも電力があるんだろうと不思議な思い。

 会場はホテルの大広間で、やりやすく聴きやすく見やすい高座ができあがるまでに、現地のスタッフや弟子ともども5時間ぐらい必要で、会が始まる前からくたくたです。

 上着を羽織っていても、おなかも体も冷えて、トイレに通う回数の多いこと。落語の「茶の湯」を思いながら苦笑い。

 いつもは会場とホテルの往復なのですが、今年は、バンコク市内を抜けてアユタヤに出かけ、象の背中に乗りました。

 高所恐怖症の私も象の背中くらいなら大丈夫。

 笑ったのは、象使いがカメラのシャッターを押す前に被写体である私らに向けて放った一言。

 「チーズ」の代わりに、「カトちゃん、ペッ」。

 観光客の誰かが教えたのでしょう。みなが笑うのでうれしくなって、象使いもこれを繰り返しているのでしょう。

 これよりもっと驚いたのは、落語会の翌日がバンコク市長の選挙だったため、町のすべてのコンビニ、レストランでアルコール販売が一切禁止されたことでした。

 おかげで打ち上げは、日本料理店の奥座敷で、ひっそりと。タイ人の仲居さんたちが和服の袖の中に隠して運んできてくれたビールをいただき、「ここだけは治外法権だ」とばかりに盛り上がりました。なんでも、酔っぱらって選挙に来なかったり、党派争いがピストル騒ぎにまで発展したりするそうな。なので選挙の日と前日はアルコール禁止。おかげで久しぶりに、ビールを自由に飲めるありがたさをしみじみ味わったのでした。



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by woody-goody | 2013-03-25 14:45 | 芸能

抜歯を再生医療に

 古典落語の中には、サゲ(落ち)が現代では通用しにくく、わかりにくいものが多々あります。

 「佃祭り」という落語もそうで、身投げをしようと橋にたたずむ女を助けた男が、後年、その女から命を助けられるという運命の出会いをしました。この話を耳にした与太郎さんが、じゃあ俺も身投げをしようとする人を助けよう、そうすれば後でいいことがあるはずと弁当ぶらさげ江戸の町をいきあたりばったりで歩き出します。すると、ちょうどそこに、橋の上で思いつめた様子でたたずむ女が。飛びついて助けたつもりが、なにをするの!と怒られてしまいます。だって、たもとには身投げ用の石ころがたくさんあるじゃないか、と叫んだところ、「これは歯痛をしずめるために納める梨でございます」という女のセリフで落語が終わります。

 この落ちには説明が必要でしょう。当時、戸隠様に梨断ちをして願をかけると歯痛がおさまるというならわしがあったからなのです。えっ!? 戸隠さまがわからない? 願をかける、がわからない?

 それはもうおいといて、昭和の時代には、子供のころ、歯が抜けると、下の歯は上へ、上の歯は下へ放り投げるといい、という言い伝えがあり、私も抜けた歯を屋根の上に放り投げた体験があります。きっと、抜けた歯がなんとなくもったいない気がして何かに役立てようとそんな願かけ伝説ができあがったのでは。

 ところが、現代では、言い伝えどころか、抜けた歯から幹細胞(歯髄細胞)を取り出し、細胞バンクに保存しておくと、のちになんらかの障害を受けたときに、心臓や血管や皮膚や角膜などの再生医療に役立たせる研究が進んでいるそうです。

 以前このコラムで、出産時の「へその緒」から採取した臍帯血(さいたいけつ)をバンクに預けておくと、のちのち役立つことをご紹介しましたが、出産時という限定された状況で保存を判断できるのは祖父母、両親と限られた家族になりますが、歯髄細胞なら、子供から大人まで、乳歯の生え変わり、親知らずを抜いたときなど、自分で保存も可能になります。

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by woody-goody | 2013-03-15 12:53 | 社会

「子宮内膜症」の反響

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 あらら、もう3月。ほんとに!?

 正月から劇場に居っぱなしで時間感覚ゼロのような1カ月公演もあったので、正真正銘、矢のごとく過ぎ去った2カ月です。

 もっと驚くのは、私が司会の科学番組「ためしてガッテン」が、この4月で19年目に突入すること。ここまでの長寿番組を支えてきたのは、なんと言っても一番目に、考えぬき調べぬくスタッフ、二番目に小野アナウンサーのIQの高さと愛嬌でしょう。

 2月20日放送の「子宮内膜症」という女性特有の病気をテーマにした番組では、女性ディレクターのすさまじい執念を見ました。

 企画会議にこのテーマが提案されたとき、いくつかの問題点が指摘されました。放送時間帯が、多くの男性や子供も見るゴールデンタイムであること、内容が複雑でデリケートな問題をはらんでいること。

 が、会議の席上、大半の男性陣に女性ディレクターは強く訴えました。

 100人に1人が月に一度、猛烈な痛みで日常生活に不便を感じていること。患者は、病気とはつゆ知らず、この痛みは当たり前なんだろう、みんなそうなんだろう、と思い込み、ひたすら我慢で過ごしている人がたくさんいること。

 この現状をなんとかしたい、今も我慢し続けている人に教えてあげたい、の熱意が番組を成立させました。

 私は、男性司会者として微妙な立場でしたが、女性ディレクターのアドバイスを受けなんとか進行ができたような気がしています。

 番組43分の中に、謎が多いとされる子宮内膜症のメカニズムを人形模型を使ってわかりやすく解説、ずっと痛みに苦しんできた患者さんに登場してもらって生の声を聞き、専門家の医師からは「ひどい月経痛を放置しないこと」「かかりつけの産婦人科医をもとう」と提案しました。

 番組終了後の反響の多さにも驚きました。

 今回は、女性特有の病気ゆえ、番組をいつもより客観的に見られたおかげで気付いたことがありました。

 番組の最後にいつも色紙に書く今回の言葉は「テレビだから」。

 痛みに耐えながら誰にも相談できずにいる多くの患者さんに伝えられるのは「テレビだからこそ」なんですね。

 見逃した方は、ぜひ「ガッテン・ホームページ」で放送内容を確認してみてくださいませ。

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by woody-goody | 2013-03-01 12:34 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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