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瞬間映像カメラ

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 今年もあの季節がやってまいりました。

 毎年、3月の花曇りの日、何百何千のホタテ貝が海に浮かび、貝殻を開け陽を浴びながら、新たなえさ場を求めゆらゆら移動する様は圧巻。

 まさに、帆掛け船ならぬ帆立船軍団。

 これを一度志の輔さんに見せたいよ、と打ち上げで、函館の落語会主催者が、少々酔いながら言いました。

 「ほんと? 見たい!」

 「……あったら、俺も見たい」だと。

 この季節になると話す落語のマクラなのですが、皆さんの頭の中に浮かぶホタテ貝を想像して、私自身もしゃべりながらおかしくてしかたがありません。

 でもこれに似た現象が実際にあったのです。

 イカが群をなして空を飛んだ映像がとらえられました。

 速度も半端じゃなく、時速約36キロ、距離約30メートル。

 航海中にイカの着水までを連続撮影したのは北海道大学水産学部付属練習船おしょろ丸。

 三角の頭を海に突き出し、胴体いっぱいにためた水をジェット噴射のように一気に吐き出して飛ぶさま。海中の天敵から逃げるために空中へ飛んだらしいのですが、今度は海鳥に狙われ捕獲される悲運なイカもいるそうです。

 この決定的瞬間の撮影が可能になったのは船首に付けたカメラのおかげだそうですが、先日の宇宙から落ちてきた隕石の瞬間映像にも驚きました。

 車のフロントガラスの向こうに映る隕石、恐怖の声も入り、背筋が凍ります。

 これ、ワイドショーによると、ロシアでは、違反もしていないのに警官が運転手を逮捕、罰金をとることがよくあるそうで、その実態を記録として残しておきたいがために多くのマイカーにカメラが設置されていて、そのおかげで、今回の隕石落下の瞬間をとらえることができたそうです。

 でももはや、イカでなくても隕石でなくても、海の上じゃなくても、ロシアじゃなくても、私たちの普段の生活もほとんどの瞬間が防犯カメラで記録されてる時代になってますね。

 イカだって、隕石だって、まさか、撮られてるとは思わなかったことでしょうし。

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by woody-goody | 2013-02-22 17:20 | 社会

富山発の「無花粉杉」

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 さあ、やってきましたよ、花粉症の季節が。

 この時期になると私はつくづく、まだ花粉症を発症していないことに感謝するばかりです。

 くしゃみ、鼻水、目のかゆみでつらそうな人を横目に、もし私が花粉症になったら落語どころではないだろうと戦々恐々。

 予防として、早くから注射を打ったり、錠剤を飲み続けたり、という話も聞きますが、国民の5人に1人が苦しんでいると言いますから、立派な国民病です。

 花粉を避けるグッズや方法がマスコミでも頻繁に流されていますが、決定打はありません。

 そんな中、私の故郷、富山県人がついに花粉症との闘いに近い将来終止符を打つべく開発した「無花粉杉」のニュースを見ました。

 20年前に偶然発見された、花粉を飛ばさない1本の杉の種子を使って大量生産する技術を開発したのは、富山県森林研究所研究員で農学博士の斉藤真己さん。

 20年前、大学院で共同研究が始まったのですが、斉藤さんは卒業、就職後も杉の研究に没頭、全国各地から優良品種の花粉330品種を取り寄せ、1種ずつ無花粉杉と交配させ、9年後についに「無花粉になる遺伝子」を持つ品種を発見。当初は学会も「たった1本じゃあね」と相手にしてくれなかったそうですが、「いまやり続けなければなにも変わらない。杉が年輪を重ねるように私も一歩一歩……」と地道な作業。ここが実に富山県民らしいところです。

 「50年後に、昔は花粉症というものがあって大変だったらしいよ」と言えるようになることを目指す斉藤さん。

 富山自慢の「呉羽梨」の冷凍技術にしろ、ノーベル賞受賞の田中耕一さんにしろ、コツコツ精神の成果です。

 なんでこういうタイプが多いのかなと思えば、富山県は日本で一番住みやすい県、持ち家率ナンバー1、おいしい空気に、海があって川があって山がある抜群の立地。そこからとれる新鮮で豊かな食材。

 こんな恵まれた環境で生まれ育っているからこそ、まだ見ぬ未来をめざしてコツコツした作業ができるのでしょう。

 脇目も振らず一歩一歩進んでいく気力は、富山の豊かさに支えられているのです。と、手前みそになりましたが、50年後、花粉症がほんとになくなることを祈りつつ、できれば一日も早くよい薬ができますように。

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by woody-goody | 2013-02-15 15:06 | 社会

マイカー雪の日心得

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 テレビ局の廊下で、見知らぬ人の大きな話し声が。「昨日の夜、わざわざ近くのガソリンスタンドまで行って、履き替えてきたんだよ、スタッドレスに。それが朝起きたら子供が、パパ、雨だよっていうんだよ。ガッカリだよ」。気持ちはわかるけど、予想はずれてよかったじゃん。

 これを機会にもう少しそのままスタッドレスを履かせておいた方がいいと思うよ、とテレパシーを送っておきました。

 成人の日の大雪で懲りたJRは70%の間引き運転。雪は降らなくても、交通規制でかえって混乱。

 成人の日に、通常なら4000件だった出動要請電話が7万4000件あったというJAFは、5日は増員体制で準備。

 ところが今度は、肩すかし的な結果にマスコミはまた騒ぐ。

 故郷富山の友達は電話の向こうでまた笑います。「たかが1センチの雪で東京はなんしとるが?」

 たしかに、雪国を含めた全国にこの東京のニュースが流れているわけですから。

 年が明けて2カ月しかたっていないのに、雪について2回もコラムを書くことになるなんて。

 成人の大雪の日以来、私は会う人ごとに個人的にアンケートをとっています。「マイカーを持つあなたはスタッドレスタイヤをお持ちですか? 持たないとしたらなぜですか?」

 現時点で、総数32人に実施。内訳は、テレビ関係者12人、演劇関係者8人、落語関係者4人、一般人8人です。

 集計結果は、スタッドレスタイヤ自宅保有者2人、ガソリンスタンド契約者3人のみという惨憺たるありさまに。え、こんなもん?

 私のまわりに限っているので数字に偏りがあることは重々承知していますが、それにしても。

 私が雪国育ちだからこの結果に驚いてるだけ?

 スタッドレスを用意しない理由を問えば「東京ではめったに雪は降らない」「雪の日は車に乗らなければいいから」。

 でも、出かけた先で降られて、そろそろと車を走らせ、この1台のノーマルタイヤが道路の大渋滞を起こすんですから!

 そうか、こうなったら、道徳に訴えるより、取り外しやすくて保管場所がいらないアイデア商品が生まれればいいわけか。

 知恵者の多い日本、なんとかなりませんか。

 求ム、女性でも簡単に取り外しとセッティングができる雪の日仕様タイヤ装着グッズ。

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by woody-goody | 2013-02-08 12:41 | 社会

改暦、明治の大英断

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 いよいよ明日!がパルコ1カ月公演の最終日。

 泣いても笑っても今日と明日の2回で終わり。

 50歳代、月日に比例して体力の変化を感じ続けた8年間でもありました。

 特に、今回の新作落語のテーマが月日の不思議を探った「旧暦」であったことも感慨を深くしている理由でしょう。

 毎年、正月なしでひた走ってきましたが、旧暦で言うと2月10日がお正月。沖縄では、1月1日よりも旧正月の方をよほど大事に祝っていると聞きました。

 私も、旧暦で年の初めを祝おうかな。

 自然の摂理にのっとった旧暦の方が体の自然にあっているはず。

 さあ、もう新作落語の内容を言ってしまってもいいでしょう、タイトルは「質屋暦」としました。

 明治5年12月3日をいきなり明治6年の元日にした政府の大英断、突然の旧暦、新暦、改暦に際して起こる庶民の騒動。

 これを実は毎日新聞社の社長さんが見に来てくださいました。

 で、こんな面白いお手紙をいただきました。

 「毎日新聞社は明治5年の2月21日に東京日日新聞として創刊しました。昨年は140年の感謝の集いも行いました。大隈重信は大正期の印象が強く、明治初期に赤字財政克服のための突然の改暦を断行したとは、頭から抜け落ちていました。今年も2月21日の創刊記念日には紙面で特集を組むつもりなのですが、太陽暦に換算すれば3月29日になるわけですね。また資生堂、国鉄、東京国立博物館も明治5年スタートですが、記念日は新暦か旧暦かで、だいぶ日にちが違ってきますよね」などなど。

 ありがとうございました。

 実は、しゃべっている本人自身も、当初は改暦に関してよくはわからず、日々皆さんに説明するうち徐々に腹に落ちていったという感じです。

 そうだ、改暦のことをもっと詳しく調べてもらって、2月21日創刊記念日第1面の「余録」に書いてもらうってのはどうでしょう?

 「質屋暦」を聴いてもらえなかった皆様にも、同じパルコ演出は無理ですが、どこかで聴いていただけたら、と思っています。

 ダイナミックな経済の変化の期待と不安が渦巻く中、明治5年に、もうびっくりの改暦を断行したという事実。これを見事に乗り越え、おおらかに生きてきた日本人。大いに笑って肩の力を抜いて今年を乗り切るはずみがつけば幸いです。

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by woody-goody | 2013-02-01 18:21 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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