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持ち主の誤作動?

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 昨日まで赤坂ACTシアターで4日間「忠臣蔵のすべて&中村仲蔵」公演で、スクリーンに浮世絵を映す演出のため、1週間前にiPadを入手しました。

 と思ったら、一昨日、iPad mini発売開始の発表。え、今度は小さいのが出るの!?

 そう言えば、iPodを入手したあとに、シャッフルだのミニだのが出たんだった。

 私が早めに手に入れたiPodには「クラシック」なんて名前がついてます。いまに、iPadがクラシックになる日も近いかも。

 このところ妙な電話がとても多くなりました。

 電話が鳴る。画面に発信者の名前が出るので、「応答」をタッチ。

 「もしもし」と言ってみるがなんの返事もない。

 電話の向こうでがやがやと音が聞こえる。

 これはレストランだなという見当をつける。

 聞き覚えのある声の主が、私にではなく、そばにいるらしき人と話している。

 「もしもーし、おい、もう俺は電話に出てるよー」といくら言っても通じないばかりか、向こうはどんどん盛り上がっている。「カンパーイ!」だって。ばかばかしくて「なんなんだ、いったい!」と声も荒く指先に力を込めて「拒否」をタッチ。

 また違う知り合いからの場合は、どこかの駅の様子。「○○番線ホーム、新幹線が到着いたします。おさがりくださーい」と車掌さんの声が明瞭に聞こえ、ははん、東京駅だなと。かけといて出ない電話に「拒否」をタッチ。

 先日、これらの謎の電話の原因がようやく解明できました。

 敏感に反応しすぎるスマートフォンのせいなのです。親しい知り合いが「お電話いただきました。なんでしょう?」と。

 「バカ、お前がかけてきたんだよ。それもずいぶん食事会で盛り上がってたようじゃないか」「はあ? 私、かけてませんよ」「じゃあ言ってやろうか。お前が言ってたセリフ、みなさん、もうちょっと寄ってください、入らないから」「ええっ!」「お前、写真を撮ろうとして俺に電話かけてたろうが」「えーーーーーー!」。もう絶句のあとは大笑い。

 いわゆる誤作動ってやつか、いや、待てよ。スマートフォンに言わせたら「なにを言ってるんですか。私はきちんと仕事してます! 持ち主の指示の通りにしてます!」だろうけど。

 いやはや、持ち主もついてくの、大変なのよ。

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by woody-goody | 2012-10-26 12:34 | 社会

携帯音の憂鬱

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「携帯電話の着信音は、一番鳴ってほしくないときほど、鳴り出す」は、現代のマーフィーの法則のひとつです。

 先日も長野の独演会でのこと。二席目の人情噺(ばなし)のまさにクライマックスにさしかかったとき、この一言のために1時間近くしゃべってきたのに、という最悪のタイミングで鳴り出しました。高座の私は気がついてないふりをするのですが、暗闇の客席でまわりの観客の頭部が右に左に動いているのがわかります。

 まさか落語をやめるわけにもいかず、いったんそがれた気をとりもどしながらエンディングへ向かうしかありませんでした。

 なにも長野に始まったことではなく、今やこんなことはしょっちゅうです。

 できることはすべて手を打っています。

 開演前にはアナウンスで、最初の開口一番の高座では弟子が携帯のスイッチを切ることをお願いし、休憩後には、休憩中に入れた電源をオフにしていただくようにアナウンスする。

 それでも鳴るときは鳴る。

 地方へ行けば行くほどその確率は高い。

 その理由は、以前ここでも書きましたが、地方独特の「車でお迎え」事情があります。

 休憩中に、だいたいの終演時間を予測し、迎えに来てもらう時間を携帯で知らせる。

 このときオンにした携帯がそのままになり、終演間近になると「着いたぞ」の着信音が鳴るのです。

 お客様からは「大事なところで携帯音が鳴って地元の者としては大変恥ずかしく申し訳なく思います。でもこれに懲りずにまた来てください」のアンケートが何枚も。

 もうこれは、注意をしましょう、とかのレベルの話ではないのでは。

 これから新しく建つ劇場、そして既存のホールにも電波が入らない設備をつけるべきじゃないでしょうか。

 うっかり鳴らした本人もいたたまれないでしょうし、まわりのお客も腹が立ち、演者も気がそがれ、主催者も演者とお客に申し訳ながり、の誰もいいことない携帯音。

 非日常空間に浸りたいとやって来て、最後に嫌な思いで帰途に着く、ああ、もったいない。

 もはや、気をつけましょう、の段階ではなく、ホールに電波が入らなければそれでいい、それが今の時代のホールの最低条件、だと私は思います。

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by woody-goody | 2012-10-19 12:48 | 社会

日本芸能の底力

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 世界遺産にもなった文楽が大阪市長発言でにわかに評判になっています。

 文楽と聞くと、だまっちゃいられないそのわけは、05年に下北沢本多劇場で文楽と共演したこともあるからです。共演などとはおこがましいのですが、私が落語「猫忠」を高座にかけ、途中で舞台が突然文楽のシーンに変わるという仕掛けでした。浄瑠璃を語るのは、不詳この私。すいません。100人弱しかいないという文楽の方々をほぼ20名もお迎えし、前半は落語、猫が人間になりすましたいきさつを告白し出すと、猫の文楽人形が登場。数少ない人形制作の方につくってもらった貴重品です。

 親猫と子猫の別れの場面では、天井から雪をふらせ、涙を誘いました。人形だからこそ表現できる、感情の純化。表情がなくともお客様のそれぞれの頭の中に、今までの人生の中から抽出された切ない別れが人形にオーバーラップされたのでしょう。

 もちろん、「八百屋お七」を文楽のみで見せる本格コーナーも設けました。

 先日、弟子の志の春が、世界中のパフォーマーが集まったイベントで、英語で落語を披露したところ、会話だけで筋が運んでいく落語という形式に注目が集まったそうです。

 能にいたっては、木でできた能面にもかかわらず、泣いてるように見えたり笑っているように見えたりします。お客様のイマジネーションにゆだねられて育ってきた日本の芸能の底力。

 実に微妙な感情をお客さまはそれぞれに感じ取ってくださるのです。

 文楽は、大阪本場の芸ということで、大阪には国立文楽劇場という専門の劇場もあります。

 この専門劇場では残念ながらお客様は多くはなく、隔月で東京三宅坂の国立劇場で行われる公演は、私もよく見せてもらうのですが、毎回完売です。

 友人の人形遣いが電話で言うには、市長発言騒動で、先月の「曽根崎心中」1カ月公演が満員になった、とは皮肉なこと。結果はオーライということか。

 いままでの文楽ファンと、それじゃあ一度見てみようと思った文楽デビューのお客様が集合したのでしょう。

 私の落語と人形浄瑠璃とのコラボ「猫忠」は、もう二度と実現しないでしょうが、文楽人口のパイを大きくする企画が求められているのかもしれません。

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by woody-goody | 2012-10-12 12:27 | 芸能

DVD「キッチュニア」

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 落語のオチが終わって頭を下げる。拍手をいただきながら幕も下がり、さて鳴りやまぬ拍手にふたたび幕をあげてお客様に御あいさつ。そのときにこんなことを言ったりすることも……。

 「これからも、この会場で行われる落語にどうぞお出かけくださいませ。笑うと本当に体にいいんですよ。でも、笑わせてる側は、体には悪いらしいんですが……」

 これはジョークですが、そう言えば、普段の私は心の底から笑うことは少なく、意外とシビアーな私生活を送っています。

 そんな私が久しぶりに心の底から笑ったのは、キッチュこと松尾貴史さんから送られて来たDVD「キッチュニア」。

 いやあ、涙を流しながら笑いました。

 プロを笑わせるDVDおそるべし。

 キャッチフレーズにはこうあります。

 「世界の後ろ暗い場所にあるという架空の街『キッチュニア』。そこで起こる、俗悪でいんちきな事件や出来事をスケッチしたインターFMでのコント番組のDVD化」

 私の知らないところで、金曜日の深夜、ネットでも聴けるラジオ番組で、こんな面白いものをひそかに楽しんでた人がいたのか。

 キッチュと言えば、20年以上前、テレビ番組「朝まで生テレビ」をパロディーにした「朝までナメてれば」のビデオ作品に笑わせてもらったので、いまさら、何役もこなすのには驚かないのですが、主演どころか、企画・総合演出までしてるとは。

 いま、日本はのっぴきならない状態に陥っています。その日本をまたもや、新たな方法で斬るブラックコメディー。

 同時発売の3巻にはこんなタイトルがついています。「何故、安全神話は崩れたのか?」「騙されない為の17の処方箋」「愛すべき懲りない人々」。原発問題、役人の体質、老後問題、今の日本が抱える多様な問題をシニカルに笑い、鋭く毒を吐く。このセンス。内容に即した見事なブキカワイイ(不気味でかわいい)アニメーション。

 いきつけの下馬のバー「クローズド」で、ここのところ一緒に酒を飲む事もないのを残念に思っていたところ、画面でうれしい出会いができました。

 ではこの秋、今度は私がキッチュを笑わせる落語DVDをつくる側にまわりましょう。乞う、御期待。

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by woody-goody | 2012-10-05 11:30 | 芸能


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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