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身の回りの楽しみへ

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 1999年の60億人から12年間で10億人増加、13年後には80億人、2050年には93億人になる見込み。

 それにしても70億人という推測ですが、中国やインドの人口が正確に把握されているとも思えないのでとうに80億人は超えているかも。どちらにしろ、これがはたしていいニュースなのか悪いニュースなのかの判断がつきません。

 東日本の痛手も癒えないうちにトルコの地震、タイの豪雨、いうまでもない原発問題にTPP問題。

 特にTPPは賛成反対の意見を聞けば聞くほど、どちらも正しく思え、もう鎖国だーと叫びたくなる。

 円高が止まらないのも、いいことばかりじゃないし、悪いことばかりでもないらしいし。

 年金受給年齢引き上げって、もういいんじゃない?

 政府も本当はすでに破綻してるのはわかりきってるんだから、約束した60歳からとにかく約束通り払おうよ、延ばした末に破綻より、約束通り払って破綻の方が説明しやすい気がしますが、どうでしょ?

 パナソニックがテレビ製造から撤退するのでは?というニュースも。え? ソニーがプラズマをやめるというのでプラズマファンでパナソニック製品に移行した人もいたでしょうに。

 もうなにもせずにじっとしてようか。

 残りわずかな人生をプリントで終わらせたくはない。

 カセットテープからMD、DAT、CD-Rへ、ビデオはベータから8ミリビデオ、終わったころにDVDへ、次から次へとプリントし直したと思ったら、CDだってDVDだって品質は劣化しますと言われた日にゃあ、もうどうすればいいんだか。かかった時間はもどらない。

 暗いニュースが多い中、文具業界が注目されています。日常のちょっとした文具にデザインや知恵が詰まって海外でも関心の的に。

 針の山が重ならないホッチキスに感心していたら、今はシュレッダーにかけることを考慮して、紙でとめるステープラーというのが出てるんだとか。なんと針のないホッチキス! つくづく日本はまだまだすごいなと。とにかくどんな世の中であろうと、それを落語で、笑いに変えて届けるのが私の仕事だよな。これはいいことだと信じて。


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by woody-goody | 2011-10-28 11:26 | 社会

岐阜の「かご仏」

 先週も触れた岐阜市長良川での落語会はもう9年目になるので、ほぼ見て知ったつもりでおりました。

 ところが、車で駅まで見送ってくれた、提灯製造業社長が運転しながら私にこんなことを言うではありませんか?

 「志の輔さん、岐阜には毎年いらしてるんですから、もちろん大仏はご覧になってますよね?」

 え、なに、大仏? ここで奈良の大仏のことを聞くわけはないしなあ、と返答に困っていると、「そこの交差点を曲がるとありますよ、日本一の大仏ですよ」。

 え、なになに、この岐阜の町中に日本一の大仏が!?聞いてないよ。

 案内されたのは実に地味なお寺でした。

 京都万福寺の末寺だという「正法寺」

 中国様式の大仏殿に安置されている大仏様は、周囲が1.8メートルの大イチョウを真柱として、骨格はなんと木材で組み、外部を竹材で編み、その上に粘土を塗って、さらにその上から紙の経文を張り、漆を塗って金箔(きんぱく)を置いたという、乾漆仏では日本一なのだそうです。

 中に入るとすぐに像高13.7メートルの大仏様がぐっと前にせり出すように、前かがみに私を見下ろしていらっしゃいます。

 「よく来たね、やっと来たね」とおっしゃってるようでした。前かがみな分、大仏にすっぽり包まれているような気がして、今まで感じたことのない安心感がありました。

 久しぶりに味わった癒やしの空間でした。

 このときほど、新幹線の時間が迫っていたのを恨めしく思ったことはありません。

 聞けば、日本三大仏にも選ばれているとか。

 社長さんに言われました。

 「志の輔さん、なんで今頃驚いてるんですかねえ、毎年来てるのに」

 岐阜市の人たちにとってはもう馴染みすぎて紹介するまでもなかったのか、とっくに知ってるはずという思い込みがあったのか、なにはともあれ、車を運転していた方が、提灯屋の社長さんであったことがこの機会をもらえたことにつながりました。

 なんと言っても、この大仏様は竹材に経文を貼り付ける、そう、まさに提灯をつくるのと同じ方法だったからです。なので、「かご仏」とも呼ばれているそうです。そう言えば岐阜市は提灯の本場でした。

 この社長さんにとってはこの大仏様は最高の存在なのでしょう。

 この秋、行楽で岐阜へ行かれる方には、ぜひおすすめしたい癒やしのスポットです。


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by woody-goody | 2011-10-21 11:42 | 列島各地

2日続きのサプライズ

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 名古屋での独演会の後、楽屋には名物えびせんべいやらおまんじゅうやらにまじって一冊の小さな写真集がありました。

 『双頭蓮(そうとうれん)に逢えた夏』というタイトルまでついた16ページの写真集。中はみな同じ、花、花、花が映っています。

 双頭蓮ってなに?

 なぜこれが楽屋見舞いのプレゼント?と思って、添えられた手紙を読みました。

 「いつも志の輔さんの落語を楽しみに来ています。昨年我が寺の境内に双頭蓮が開花しました。双頭蓮とは一本の茎から二つの花をつける珍しいハスで100年に一度、あらわれると言われています。極めてまれな、奇跡的なことです。そんなさなか、岐阜県で豪雨災害……。可児川の氾濫でトラックが流されたり……など大変な被害が。そんな中、一本の電話がありました。『ありがとうございました。命拾いをしました』と。聞けば、珍しい双頭蓮を見に行った帰り、友達がいることもあっていつも通らない別の道を通ったお陰で、あの災害に合わずに済みました、と」

 プレゼントの主、御岳山洞雲寺の住職さんはこの嬉しい知らせを檀家さんにも知らせ、私にもそのお裾分けをということなのでした。

 その翌日は岐阜で落語会。そもそもは「長良川の鵜飼を見せてあげますよ」という言葉につられて始めた落語会ですがもう9年目、今では昼夜公演になりました。

 落語を終えると、主催者に紹介された、今年の春に中学一年生になったばかりの女の子が高座の脇で作文を読み始めるというサプライズがありました。

 要約するとこんな内容でした。震災の影響で被害の大きかった千葉県浦安市から親元を離れ岐阜の中学へ入学したそうです。当初は大きな不安もあったようですが、思ったより早く友達もでき、10月2日の「信長祭り」では新しくできた友達と一緒に被災地への募金活動までしたそうです。いつのまにか、岐阜は夏休みにだけ来る「おばあちゃんのいるところ」から「もう一つの大切な故郷」に変わり、これからもよろしくお願いします、と結ばれていました。

 しっかり最後まで読んだ彼女に、会場から盛大な拍手が送られました。

 100年に一度の蓮といい、被災をまぬがれた中学生の新しい生活の始まりといい、起こってしまった不幸を嘆き悲しんだ後、禍福はあざなえる縄のごとしと考えて、前向きに考え、懸命に生きる姿をまのあたりにしたような2日間でした。


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by woody-goody | 2011-10-14 12:31 | 列島各地

小さな村発信、世界へ

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 落語会公演で全国旅暮らしですが、その実態はと言えば、落語を演じたホールの印象といらしたお客様のことだけが残っている、といったこともしばしばです。

 こんな貧しい旅人や出張族にありがたいのが、飛行機内で手にする機内誌、そしてオーディオやビデオのサービスです。

 ふだんならあまり耳にすることのない音楽ジャンルで新たな発見をしたり、故人の貴重な落語を聴いたり、とりわけ楽しいのが機内放送のためだけに製作されたビデオです。

 今月の全日空の機内ビデオは「スーパー公務員」。

 石川県の、耕作者が60歳代、70歳代で先行きを危ぶまれた神子原(みこはら)村をとんでもない知恵で生き返らせた公務員、高野さんの話。

 羽咋市の市長から予算60万円で村のブランド化を1年でなんとかするよう指令を受けた高野さんがまず市長に約束させたことは「稟議(りんぎ)書をまわさないこと」。

 役所というところは稟議書をまわせばまわすほど、せっかくの提案もだめになっていくことをよく知っていたからです。

 アイデアを思いついたら確認するのは市長だけという約束。他の誰にも相談はしない。おかげでずいぶんもめたそうですが、そりゃそうでしょう。

 神子原米をローマ教皇に食べてもらおうなんてね、稟議書まわしていたら1回目で潰されるのは目に見えてます。

 書いた手紙は「ローマ教皇様、私の住んでいるところは神子原という地区です。

 神の子、そうです、キリストの住む原っぱです。ここでできたお米を食べてください」と、書かれたかどうかは私の想像にすぎませんが、とにかくローマ教皇から返事が来て、食べてくれたからすごい。さらに、一躍ブランド米になった神子原米を使った日本酒を、フランス料理の有名なシェフに飲んでもらったら「まるでワインのようだ」と称賛、こちらの値段も跳ね上がり、ブランド化大成功。

 このアイデアに賛同した農家は最初は3軒にすぎなかったのが今や村全体で株式会社をつくり、都会から若者に移住してもらうさまざまなアイデアも導入、村の若返りが図れたそうです。

 なにをやるにもまずは稟議書がネックと気付いた点に大拍手です。

 落語「ぜんざい公社」はずいぶん前から、このことを笑ってましたけどね。


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by woody-goody | 2011-10-07 11:42 | 列島各地


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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