<   2010年 12月 ( 3 )   > この月の画像一覧

禁煙35日目

 今年最後の当コラムになります。

 清水寺の偉いお坊さんが書いた今年を漢字一文字で表現するなら「暑」でした。

 私個人はどうだったか、考えてみたら「治」以外のなにものでもありません。

 年の初めは、腸ヘルニアの術後の痛みと戦いながらパルコ一カ月公演を乗り切りました。

 着物の帯が傷痕にふれると痛いので、しっかりは締められず、なんとなく腹のあたりがしゃっきりしないままの高座は大変でした。

 ただただ、早く治ることを祈っていました。

 さあ、傷口が治ったかと思えば、4月にば「左手中指の靱帯損傷」。原因を振り返れば、ベトナムで高座を終え、お辞儀をして立ち上がる際に、指の間に扇子をはさんだまま、手に全体重をかけたせいじゃないか、と思い返すだに情けない。

 2ヵ月間、ギプスをしたままの高座が続き、いまだに完全には治っていません。

 お願いだから早く治ってほしいと願う毎日。

 司会をしている番組のおかげで、睡眠時無呼吸症であることも発覚。ものすごく高価なマウスピースが毎晩私の口の中に。

 そんなさなか、禁煙を始め、原稿を書いてるいま、35日目でこざいます。

 なんだか頭がぽーっとしています。

 ほんとにまだ35日目かなあ……。

 気づけばあと2週間でパルコ一カ月公演が始まるというこの時期に、なんでまた禁煙を始める気になったんだっけかなあ。

 そうだ、公演途中で声が出なくなったらまずいと脳が考えたに違いありません。

 思えば、約30年、喉を酷使してまいりました。

 一朝一タにやめられるわけがありません。

 今もニコチンガムを常時かみながら、同時にイライラもかみ締めています。

 10回ほど試み失敗に終わった禁煙後の挫折感。

 今回のきっかけを逃したら、生涯たばこと縁が切れなくなるだろうことは目に見えています。

 挫折感を味わうのはこれを最後にしたく思います。

 そう思ってここに禁煙発表!

 覚悟なしになんとなくやめられたよ、という人、まだ3週間なの!俺なんて3年やめてるよ、僕は30年やめてますよ!と勝者のように誇らし言う人、いまさらやめてもダメでしょう、すでにたばこでもってる体なんだからずっと吸い続けた方が寿命のびるよ、という人、みんな温かい励ましと受け取ることにいたします。

 月並みですが、みなさん、よいお年を。

**********************************************

公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2010-12-17 07:02 | 体験

落語in沖縄99

 初めて沖縄の地を踏んだのは、1989年の夏でした。

 永六輔先生が、沖縄にあった小さな小屋、ジァンジァンに出てみない?と誘ってくださったのです。

 いまはなきジァンジァンは、那覇の国際通り、三越デパートの隣のビルの地下にありました。

 当時、沖縄の人たちは落語を聴く機会はほとんどなかったのでしょう。

 なんと、テープで私の出囃子が流れたとたん、お客様が全員で手拍子を始めたのです。

 落語家になってまだ8年目のことでした。

 嬉しそうに手拍子をしている沖縄の人たちを舞台の袖から見ながら、この地の方たちの音楽に対する反応の速さを身をもって知りました。音楽さえあれぱ、唄いだし踊りだすという噂は本当だったの
です。

 あれから21年、私は沖縄に通い続けました。

 ジァンジァンが閉じた後も、那覇の中心部にあるデパート4階の小さなホール、次に最上階の少し大きなホール、那覇市の隣の具志川市のホール、名護市の大学の講望、その間、離島の石垣島、竹富島、西表島でも公演を続け、今では、那覇にできた国立劇場に落ち着いています。

 そして、これはスタッフから言われて気づいたことですが、先週の那覇公演で99回目を迎えていたのです。

 南国の風、暮らす人々の面白さや優しさに魅せられ、続いたのだと思います。

 99回。これは東京および故郷富山に迫る公演数です。

 まるで弟子のようになった地元芸人藤木勇人を初めとして、たくさんの沖縄の人たちに助けてもらったからこそです。

 自分たちで笑いも唄も踊りも楽しみ、愉快な空闇をつくりあげる沖縄の人たち。

 でも落語の笑いも味わいたいと願ってくれたスタッフのおかげです。

 今ではチケットも早々と売り切れるという嬉しい変化を感じた20年でした。

 変化と言えば、今回驚いたのは、高速道路にたくさんの車が走っていたこと。

 「いままでこんなに走ってたっけ?」と聞けぱ高速道路が全線無料化になったおかげで、今まで乗らなかったオジイオバァまでみんなが乗るもんだから、渋滞するわ、事故を起こすわで、お願いだから50円でも10σ円でも料金とってもらいたいね」ですって。
[PR]
by woody-goody | 2010-12-10 06:05 | 芸能

クリスマスに南無

 
 高校3年の夏のことでした。

 もちろん、CDではなくレコードの時代です。

 針をおろしたとたん、衝撃が走りました。

 ギタリスト、カルロス・サンタナのアルバム「アブラクサス・天の守護神」を耳にしたときの驚きと感動。

 何度も何度もレコード盤がかすりきれるほど聴きつくしたアルバムです。今でも、脳の嚢にしっかり刻み込まれたフレーズをすべて思い出せます。

 なぜこのアルバムのことを思い出したかというと、あれから40年たった先日、映画「アブラクサスの祭り」を試写で見たからです。

 この原作者が、芥川賞作家玄侑宗久さんであり、私との対談共著もある方なのですが、さすが玄侑さんというユニークな作品でした。

 主人公は元ロックミュージシャンで今はウツに苦しむお坊さんという設定です。

 治療薬を飲みながら、檀家を回り、学校で講演をし、という毎日。

 でもなにか満ち足りないから、変な行動になってしまう。

 人に道を教え諭す立場にいるお坊さんが悩んでいるという設定がそもそも斬新なのです。

 昔やってた音楽をどうしてもやりたくなったお坊さんは、バンドを結成、ライブを計画します。

 前にたちはだかる難問の数々。

 あちこちでぷつかりながら奮闘するお坊さんを見ているうち、初めは非常識に見えたのが、徐々に「生き仏」に見えてくるから不思議です。

 映画の中で「南無、アブラクサス」と念仏を唱えるお坊さん。

 アブラクサスの意味は「善も悪もひっくるめた神の名。アブラカダブラの語源とも言われている」のだそうです。

 わかりやすく言えば「なすがまま」。

 そう言えぱ、若い頃「アブラクサス」に感動したのは、それまでの型にはまったような音楽から解き放たれていくような爽快感を覚えたからなのでしょう。

 頂きましょう、この言葉。高座にあがるとき、気分がのらないとき、「南無、アブラクサス」と唱えてみようかな。

 映画のチラシにはこうあります。

 「悩めるお坊さんが、生きるヒントを教えてくれる」

 「そのままでいい、そのままで正しいんだ」

 でも、なんでお坊さんの映画なのに、12月25日より、テアトル新宿でクリスマスロードショーなのよ。ああそうか、「南無、アブラクサス」。
[PR]
by woody-goody | 2010-12-04 13:14 | 芸能


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

カテゴリ

社会
列島各地
体験
政治
芸能
休載

以前の記事

2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧