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思い込み夫婦逮捕


 落語には、人間の本質的な部分を担った代表的な人物がたくさん登場します。

 思い込みの強い人もその一つ。

 落語「千両みかん」では、江戸時代、みかんなどどこにもない真夏に、みかんを食べないと病気が治らないというわがままな若且那のために、みかんを探しまわる番頭さん。

 艱難苦楽の末、ようやくみつけたみかん一つに千両の値がつきました。そのみかんの3袋を若且那から渡された番頭、じっとみつめるうち、みかんが三百両に思えて来て、懐に入れてどこかへ逃げてしまいました。

 「粗忽長屋」では、浅草の境内で倒れていた死骸をみつけて、これは俺の友達と言い張る男。不審がるまわりの人たちを納得させるために、じゃあ本人を連れてくるとまで言う思い込みの強い男。

 実際に運れてこられた男も、友人に説得されて、たしかにこの死骸は俺だと言い出すわけのわからない展開。

 私は、この思い込みの強い人たちが愛しくて大好きです。

 最近、落語の世界どころか、実際にこういう人が起こした事件がありました。

 米国ブランドのバッグの偽カバンを販売して逮捕された露天商の夫婦。

 「メード・イン・USA」というタグをつけていたので、偽物だとわかったんだそうです。

 え?なになに?

 こういうことなんです。

 本物には「メード・イン・チャイナ」のタグがついているはずなんです。

 実はこのバッグ、数年前から、デザインはアメリカでも、製造は中国。

 夫婦は、中国で安く仕入れて、USAマークをつけて本物っぽく見せたつもりで売っていたのですが、本物と思わせるなら、メード・イン・チャイナと付けなけれぱならなかった、というややこしいニュースです。

 中国製品は、安かろう悪かろう、という思い込みがインプットされていた夫婦、思わぬところで墓穴を掘ってしまいました。ブランド名を聞いて、そう言えぱうちにもあったはずと押し入れから探し出した私のバッグのタグには、「メード・イン・USA」!

 でも、これは25年前にシンガポールで買ったものなので、本物のはず。きっと本物。絶対本物。

 いえ、もう、本物でも偽でもいいんですけどね。
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by woody-goody | 2010-10-29 06:21 | 社会

民間療法実践中


 世に言う民闇療法なるものを一度もやったことのない私が、楽屋に鍋を持ち込み手を浸している姿は、いかにも怪しい風景です。

 他人がそんなことをしていたら、以前の私なら、なにをぱかなことを、と皮肉の一つも言ったことでしょう。

 そもそも左手中指の靱帯を損傷したのが3月の終わり。

 2ヵ月間ギブスで固定したおかげで、なんとか少し曲がってはいるものの、靱帯はつながったようです。

 ようです、というのは、靱帯はレントゲンに映らないので、想像するしかありません。

 「もうギプスはとってもいいですよ」と言われたときのなんとうれしかったこと。解放の喜びです。

 ところがはずしてみると、中指どころか人さし指も薬指も一緒に動かなくなっていました。

 風邪で数日寝込んだだけで、足が弱るのと同じ理屈でしょう。

 とにかくリハビリを続けるしかありません。

 でも病院に通う時間がありません。

 毎日我慢して曲げていればそのうち治るとは言われたものの、4ヵ月たっても痛みがとれません。

 そこで、「だまされたと思ってやってみたら?」と、ある人が教えてくれたのは、水を入れた鍋に杉の葉を4,5本、お玉に麹みそを2,3杯、鷹の爪を4,5本入れて一煮立ちさせ火を止め、42,3度まで
し、そこへ手を10分ほど浸す。

 その人が言うには、2週間もすれば痛みがとれるのだそうです。

 現在一楽屋で実行中。

 たしかに、気のせいでしょうか、痛みが軽減していくのを感じるのです。

 科学番組の司会をしている者としては、釈然としないものの、理屈はどうあれ、当人が治ったような気がするのだからしょうがない。

 昔から、頭痛のときはこめかみに梅干しを張るとか、のどが痛いときはネギを二つに割って中のネバネバを患部に当てるとか、あせもにはビワの葉が効くとか、不思議な言い伝えがありますが、言い伝えられるということは、なんかあるんですよね。

 紹介してくれた医者も言いました。

 「どうして治るんだかわからないんですけど、とにかく治った人が大勢いるんですよ」

 はい、どうせ痛いんだから、副作用がないかぎり、この際、だまされてみようと思います。

 御報告は後日。
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by woody-goody | 2010-10-22 05:55 | 体験

初のMRI体験

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 地下の過酷な生活から地上へあがってきた人たち、中でも「地中からのお土産だよ」と石を差し出した人の余裕に、さらに感動が増しました。人はつらすぎたときにも、ユーモアがわくものなのですね。長い地下生活の中では祈りとともに、きっとささやかな笑いが気持ちを救っていたのでしょうか。

 私が、みんなはすごい、と思ったのは地下生活もさることながら、地上へあがってくるときに入る直径約54cmという救出カプセルのことです。

 もちろん、やっと救出される、家族にも会える、という喜びで胸がいっぱいでしょうから比べもの
にはなりませんが、閉所恐怖症ぎみの私だったらどうだろうか、ダメだろうな、ずっと地下生活になるかもと思ったのでした。

 だって、MRIがダメだったのですから。

 番組でみなさんにさんざんすすめておきながら、腸カメラを初めて体験したのは今年の夏でした。

 いくつかのポリープはあったものの、良性です、と言われて少なくとも来年までは安心できます。

 自信をもった私は、今度はMRIに挑戦。

 筒状の中にベッドこと入っていき、身体の内部を輸切りに撮影するというものです。

 脳の検査だったため、野球のキャッチャーのようなマスクをかぶり、「なにか異常を感じたときはこれを押してくださいね」とポタンを渡されました。

 やさしい女性看護師さんは「20分ほどで終わりますから、がんばってくださいね」と励ましてくれました。

 ドームの中では「ガンガンガンガン」という機械音が流れ、撮影が始まったらしいというのがわかります。

 私の感じでは2分ほどたったころ、突然気分が悪くなりました。

 そう言えぱ、私は閉所恐怖症ぎみだったのです。

 すぐにポタンを押しました。

 ベッドが戻り始めました。

 「どうしました?気分が悪くなりましたか?」

 なにも答えられない私に「顔色が悪いですね、これは無理かもしれませんね」という結論に。

 「じゃ、日を改めましょうか」と言う看護師さんと検査技師の顔には明らかにガッカリの表情がみてとれました。

 次回は、睡眠薬を服用してのMRIになりそうです。ああ。
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by woody-goody | 2010-10-16 07:34 | 体験

イグ・ノーべル賞

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 鈴木さんと根岸さんのノーベル賞受賞のおめでたいニュースやインタビューの嵐に、みんなの顔が華やいでいます。今の日本が一番ほしかったニュースでしょう。

 ここにもう一つ、日本はすごいと思わせてくれる日本人受賞者がいます。

 ノーベル賃にひっかけて、「愚かなノーベル賞」というユーモアを込めた皮肉な名前がついた「イグ・ノーベル貨」の受賞。

 はこだて未来大学の中垣俊之教授が率いる日本とハンガリーの共同研究チームが、粘菌の特性を鉄道網の設計に利用できないかと考えました。地図上の都市の部分に粘菌が好むエサを置くと、粘菌は最短距離でエサにたどりつきます。どうしてもよけなけれぱいけない箇所はちゃんと迂回して、その経路に無駄がありません。体をくねくねさせてエサを求めて伸びてくさまをニュース映像で見ると、お見事!としかいいようのない美しさ。

 それは実際の東京の交通網とびったり重なったのです。

 授貿式会場は、笑いに包まれたそうです。

 見たかった。

 他には、靴の上から靴下をはくと氷の上では転びにくくなるというものやら、従業員を成果ではなくランダムに昇進させた方が組織全体の効率があがるというもの、ジェットコースターに乗ると喘息の症状が緩和するというものまで。

 ほんまかいな、というこれらにまじって、メキシコ湾で原油を流出させたイギリスの石油会社には、水と油が実は混ざることを実証したという理由で「化学賃」を贈るなど皮肉なものまで。

 もちろん、欠席する受賞者もいますがね。

 「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に賛を与えようというくわだてにのった人々が世界から集まる様子、見たかった。

 日本には、音から川柳や落語や狂言で笑う土壌がしっかりあったのですから、グローバルな笑いの場で日本人が表彰される晴れ姿も是非見たい。

 本家のノーベル賞の授賞式は当然、どの放送局でも放送されます。どこかの放送局さん、もし「イグ・ノーベル貿授賞式映像」が入手できましたら、ノーカットで放送してもらえませんか。
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by woody-goody | 2010-10-08 23:01 | 社会

数独をやってみて

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 人はすっきりするために生きているのかも。

 というのは、「数独」を終えてあまりにも気分がよかったものですから。

 基本的に数字嫌いの私が、飛行機の中で手にした週刊誌に掲載されていた「数独」を、ふとやってみようと思ったのは、いったいどういう風の吹き回しなのでしょう。

 きっとそれは、私のラジオ番粗に来てくださった50代の女優さんやタレントさんから「いま、数独にはまってるの、一度志の輔さんもやってこらんなさいよ、すっきりするわよ」と言われたのが頭の隅にあったからだと思います。

 9×9の升目の中に数字を入れていくのですが、あらかじめ何個かの数字がすでにはめ込まれていて、縦横で同じ数字が重なってはいけないというルールがあります。

 要するに、上手に完成すれば、縦横に159までの数字が入ることになります。

 「こんなのがほんとに面白いのかなあ」と思いながら機内で着手。

 機内1時間では終わらず、空港から落語会の会場へ行くまでの車の中でも続行。

 ついに完成したのは、出番前の楽屋ででした。

 合計、90分くらいかかったでしょうか。

 1~9までの数字が縦と横にきれいにおさまった81の升目を見た瞬間、すっきり!

 同時に、達成感、満足感、到達感、征服感……おおげさに思われるかもしれませんが、久しぷりの充実感を味わいました。

 数字は独身に限る、ということから命名されたこのゲーム「数独」。ネーミングの勝利ですね。

 そして、気がつくと私はパソコンの中身を整理し始めていました。

 デスクトップと何台かのモバイルを同期させるのに時間を忘れて集中していました。

 ちっちゃなアイポッドの中に入ってる自分の落語、故人の落語、合わせて4000近くの落語の整理。

 入りきらなくなったので、あれはこちらへ移して、となるとこれはあそこへ、パソコンと睨めっこ。すべておさまったときの満足感といったら。すっきり!

 そう言えぱ「エンディング・ノート」なる帳面がヒット商品になってるそうで。早い話がおしゃれな遺書ってことですか。

 自分の人生を整理してみるのって、相当すっきりするのかな?それとも……

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※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
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by woody-goody | 2010-10-01 19:50 | 体験


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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