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言葉は世に連れ


 新聞コラムで、「五月雨(さみだれ)」とは、新暦で「梅雨」のことを言うのだと知りました。日々言葉を扱う落語家をなりわいにする身、気になっていろいろ調べるうち、いままで知らなかったこ
とが次々に出てきました。

 「五月晴れ」は、てっきり五月の抜けるような晴天のことだと思っていて、ずっとそのようにしゃべってきましたが、なんと「梅雨の晴れ間」なんだそうです。

 「小春日和」が、秋のあたたかい晴天をさすのだと、10年前にようやく知ったばかりなのに。

 テレビ局では、芸能人やスタッフの挨拶は、それがたとえ夜中であろうと「おはようこざいます」であるのは、もう世間でもよく知られていることですが、先輩の落語家が楽屋入りするときには、後輩は必ず「御苦労さまです」を付け加えます。

 でも、この「御苦労様」の本来の意味は「目下の者の労をねぎらう表現」なんだそうです。

 いまの言い方で言うなら、いわゆる「上から目線」の言葉。

 だとすると、何十年もわが師匠に向かって上から目線で挨拶していたことになります。

 この世界のしきたりとしていまさら変えるわけにもいきませんが、一般社会で目上の人には使わない方がいいでしょうね。

 落語の中のセリフで考えさせられることもありました。

 もとは講談である「柳田格之進」には、落語になってもサゲ(オチ)がありません。

 が、自分なりに工夫してこしらえてみました。

 囲碁好きの浪人が、一時は盗っ人呼ぱわりされますが、最後には疑いが晴れ、めでたしめでたしとなる物語。

 そもそも疑われたのはなぜかと顧みれば、囲碁に熟中したのが原因。そこでラスト、疑った主人を斬らずに、原因である碁盤を真二つに斬る。命を助けてもらった主人が「これで白い黒いがつきまし
た」と言うことにしたのですが、上演後のアンケートに「黒白をつけるというくらいですから、黒い白いがつきました、の方がよろしいのでは?」との指摘。わたし、ずっと「白黒をつける」が正しいと思い込んで生きてきたので、びっくり。

 本来の正しい使い方、いや時代につれて変化して定着した使い方、いやはや言葉はむずかしい。

 うんちくをたれたこのコラムも、これでひとだんらく。

 え?間違ってる?

 うんちくを傾ける?

 いちだんらく?
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by woody-goody | 2010-06-25 23:57 | 社会

やっぱり傘のこと

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 梅雨入りしたようですが、さて今年の梅雨はどうなんでしょう?

 長い?短い?雨量は?

 「明日はあいにく雨です」と「あいにく」がつくように、雨や湿気は嫌われものです。

 この時期になるといつも思うのは傘のこと。

 宇宙の映像が逐一地球上に届き、人類が宇宙で生活するのも時間の問題かと思われる今、雨が降るとやっぱり傘。どんなに偉い人であろうと、お金持ちであろうと、傘。

 奈良時代から、雨が降ると、とにかく傘。

 骨の数が増え、材質が変わり、色や模様がついたり、透明になったり、持ち手が長くなったり短くなったり、折り畳まれたり、細かい改良が加えられても、傘は傘。傘を持つ人の状態がとても面白くかわいく、人間の限界が感じられて好きなのです。

 あと好きなのは、ワイパー。安い軽自動車だろうが、何千万円もするポルシェだろうが、雨が降れぱワイパーがキーコキーコと活躍するのです。「わたし、働いてます!」とでも言うようにけなげな動きが、なんとも愛おしくなるじゃありませんか。

 先月、飛行機に乗るべく、ボーディングブリツジから機体に入ろうとするとき、私は見たのです。

 コツクピツトのフロントガラスにつけられたワイパーを。上空を時速1000km近いスピードで進む飛行機も、雨が降ったらワイパーなんだ。ただし、このワイパーは上から下に向けて付いていましたがね。

 この時期だけ限定で高座にかける落語が、劇作家宇野信夫先生の作品「大名房五郎」です。

 茶室を造らせたら名人の大工の棟梁房五郎は、美術品の目利きでもあり、困った人たちを見るとほってはおけない篤志家。

 それに反して万右衛門は、大変なケチで財をなした書画骨董好きの質屋。

 房五郎の慈善をせせら笑い、注文するはずだった茶室づくりをキャンセルしてしまいます。

 そこで一計を案じた房五郎は、有名な絵師の掛け軸を使ってまんまと万右衛門から大金をせしめます。

 この掛け軸には、傘を持った庶民が描かれており、現実に雨が降ると絵の中の人物が傘を開くという不思議。

 欲にくらんだ万右衛門が、自業自得で大損をするという物語。

 しゃべり終えると、梅雨があがったような晴れやかな気分になれるんです。

 聴いてる人も、きっとそうだ、と思う。
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by woody-goody | 2010-06-18 06:18 | 社会

地球温暖化の原因は


 いやはや驚いた。驚きすぎて、一瞬、めまいがしたくらいです。

 先日、週刊誌に「地球温暖化は人為的原因で起こっているのではない」というコラムがありました。

 どういうこと?と読み進むと、地球温暖化の原因は二酸化炭素じゃないという説を唱えている科学者が大勢いるという事実が示され、「いまCO2が原因で地球温暖化が進んでいるなどということを信じているアメリカ国民はほとんどいない」と締めくくられていました。おいおい、うそぉーと内心でつぶやきました。

 そりゃね、実はUFOは存在するとか、割り箸は間伐材を使っているので森林破壊にはならないのだとか、卵はコレステロール値をあげるものではないとか、従来真実に思われていたことがひっくりかえることはよくありましたよ。

 でもこと地球温暖化については信じきっていますよ、今でも。

 じゃあこの意見はどういうことよ?と初めて、インターネットで「地球温暖化懐疑説」と入れて検索して訟ると、出てくる出てくる、読み切れないほど。

 何にでも逆ベクトルは存在するのでしょうが、世界中がこれに取り組んでいる中、まさかまさかの説の大洪水。

 お願いだから本当のことを教えてほしい。

 でも、たとえCO2が原因じゃなかったとしても、人類が生活をみつめ直して、私の例で言えぱ、こまめに電気のスイッチを切り、電球はLEDに変え、無駄を極力少なくして、省エネ生活を心がけるのはいいことですよね?

 ネットで温暖化については相反する意見が錯綜して結局は結論が出ずでした。

 北極の氷は本当に何十年か後にはなくなり、ヅバルは沈むの?

 地球温暖化は悪影響だけで好影響はないの?

 なぜインドや中国は発展途上国だからという理由で二酸化炭素排出量を規制しなくていいの?

 現時点では、国立環境研究所や環境省が提示する資料を頼りにするのが安心ですかねえ。

 「地球温暖化の予測は正しいか?」というそのものずぱりの本には「いまはどの程度まで信頼できそうな結果が得られるのか」というとこまで突っ込んで、国立環境研究所の江守正多博士が書いておられます。

 一方、ネット上での意見は匿名で書かれていることが多いのでまるまるうのみにするわけにはいかないど、反論や参考資料を知るのには有益。

 政治の世界もそうですが、ますます、資料を読み解く技量が試される時代になりました。
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by woody-goody | 2010-06-11 05:32 | 社会

日本のリハビリ

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 左手中指靱帯損傷を起こしたのは2ヵ月前でしたが、その後、どうなったかの御報告です。

 晴れてギプス生活も終え、レントゲンにもCTスキャンにも損傷は映らず、一応靱帯がつながったことになり、リハビリが始まりました。

 一応、というのは、リハビリがあまりに辛いので、ほんとにつながったのかなあと疑っているからなのです。

 2ヵ月間、中指にギプスをはめていたおかげで、隣の薬指、さらに隣の小指の関節までもが中指と一緒に固まってしまっていて、これを動かそうとすると痛いのなんの。

 リハビリの先生は言います。

 「そこを無理して動かさないと、関節がほんとに固まっちゃいますよ」

 言われなくても、私も頭ではわかっているのですが、痛いのは、ねえ。

 一日中、指を動かしてはいるんですが、痛さがはたしてリハビリのせいなんだろうか、ほんとは治ってないんじゃないの?だから動かさない方がいいんじゃないの?という言い訳にも似た気持ちが頭をもたげてきます。

 小さな指でこれですから、腕や足や腰などのリハビリを行う方々はいかばかりか。

 「この2週間が勝負ですよ。もたもたしてると固まっちゃいますよ」

 励ましとも脅しともとれる指導を受け、毎日懸命に指運動に取り組んでいます。

 まわりにいる体験者たちは、元通りに動かせるようになるのに半年かかったとか、1年かかったとか、いろいろ。

 通常生活にもどれるのにはたしてどれくらいかかるのやら。

 ようやくリハビリスタートラインに立ったぱかりの私。

 予定では、本日新総理が決まるそうですが、思えぱ、長きにわたって自民党政権で密封されていたパンドラの箱を次から次へと開けてくれたのは素晴らしかった民主党。

 普天間問題、官僚の古い体質、高速道路族の不思議、60年近い年月の間に、ドロドロに錆び付いた中身はそうそう簡単に整理できないし、新たなふたをそう簡単に閉められそうにもないことがわかってきました。

 痛みを伴う日本国リハビリのスタートでありましょう。

 その痛みが、次なる進展のためだとはっきりわかっていたなら痛みも我慢いたしましよう。

 が、なにせ前例のないことなので、私の指とは違って、不安も倍増するのです。

 時間はかかるでしょうねえ。
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by woody-goody | 2010-06-04 23:14 | 政治


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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