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by woody-goody | 2010-03-26 23:44 | 休載

寝台特急の思い出

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 18歳の春、大学の合格通知を受け取り、さあいよいよ上京ということになりまレた。

 昭和47年、銀行振込という方法もあっただろうに、親は私に、入学金15万円入りの腹巻きを渡しました。

 初めて持つ大金、初めて乗る寝台特急「北陸」。

 乗車は国鉄高岡駅、夜10時。そのころの10時というと、深夜という感覚でした。

 車輪から白い煙をあげながら、駅に入って来た「北陸」。

 車内にたちこめるたとえようのない独特の匂い、はしごで3段ベッドの一番上に滑り込みます。

 あってもなくてもいいような薄いカーテンを引き、とりあえず自分だけの空間を確保。さあ、これから10時間以上仰向けのままなのか、腹巻きの大金も気になり、眠れるものではありません。

 仕方がないので、はしごを降り、通路の車窓から真っ暗な闇を眺め、もう故郷にはもどらないことになるのか、と感傷的になったりもしたのでした。

 いくぷん気分も静まり、ベッドにもどり、でも寝付けず、うとうとぐらいはしたのでしょう、大宮あたりで目をさますと、朝の車窓からすがすがしい光が差し込み、東京に近づくにつれ徐々に興奮がわき起こったものでした。

 5年ほど前、石川県で独演会を終え、翌朝の生放送のために金沢駅から何十年ぷりに寝台特急「北陸」に乗車したときの懐かしかったこと。

 さて、昔と違って年をとった分、また眠れないだろうなと思っていたら、主催者の計らいでA寝台個室で夜を過ごすことに。

 窮屈な思いをして体をもぐりこませる必要もなく、枕元には電気スタンドの用意まであり、線路のガタンゴトンと揺れるリズムがなんとも心地よく。

 窓際の小さな椅子に座り、ホームの売店で買った缶ビールのツマミは車窓を流れる暗闇。なんと贅沢な時間。

 先週の金曜日、この「北陸」と、同じ路線を走る急行「能登」のラストランがありました。

 上野駅、金沢駅では、惜しむ声声声で大変な盛り上がりを見せたとニュースが伝えていました。

 勝手なもので、自分もいまやほとんど飛行機か新幹線で移動しているくせに、廃止となるとなんとも言えない寂しさがつのります。

 同じ日に吉祥寺の「伊勢丹」も閉店になるというニュース。

 学生時代に何度か足を運んだデパートでした。

 年を重ねるにつれ、当然のことながら、懐かしいものがどんどん消えていくのに遭遇する日々になるのでしょう。

 次はいったい何なんだろう。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 来週26日は休載します。
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by woody-goody | 2010-03-19 05:15 | 列島各地

身代わりポン太やーい

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 今年のパルコ公演で初めて高座にかけた新作落語は「身代わりポン太」でした。

 さびれた村をなんとかしようと村人が寄り集まって思いついたのは、村にはよく狸が出るってことで「狸の里」として売り出せば?という案。

 大きな狸の形をした展望台を建設、村人47軒の家の前に信楽焼の狸の置物を置いて、と夢はふくらみ「狸の里プロジェクト」がすすみました。

 ところが工事途中で国や県の方針が変更、会議によって予算凍結、狸の展望台工事はストップという結論に。そうなれぱ狸の下半身だけが村に残されるという間抜けな結果になる……。

 これを村民にどう発表したものか、考えあぐねる村長と建設会杜社長の話をたまたま小耳にはさんだトメ婆さんがある知恵を授けました。

 昔この村によく出没したいたずら好きな狸ポン太の伝説をつくり全国に広め、下半身だけになったポン太像を、「人にだまされないお守り」にしようと言うのです。

 この伝説の詳しい内容はここには書けませんがトメ婆さんのもくろみは大当たり。

 観光客が下半身ポン太を拝みに大勢やってきて村は大盛況。

 去年暮れ、建設中止ラッシュの行方をやきもきしながら思いついた落語だったのですが、茨城空港開港のニュースを見るにつけまたもやポン太を思い出したしだいです。

 ワイドショーでは、いわく「全く盛り上がりを見せておりません」「付近の方々もしらけムードで
す」「こんなに少ない便数で、職員のみなさんはずいぷん手持ち無沙汰でしょうね」。

 責任者にマイクを向けて言い分を聞くならまだしも、延々と悪口だけを聞いていると、もうわかってるよそんなこと、だってできちゃったんだもん、いま現場で働いてる人たちにはなんの責任もないじゃん、と画面に向かって突っ込みたくなりました。

 スタジオにいる一流のコメンテーターやキャスターの中にトメ婆さんはいないものか。

 落語と違って厳しい現実ではなかなか妙案は出ないでしょうが。

 と、ネットではこの空港を、プライベートジェツト空港もプラスすればとか、成田と違って迷うことがない、駐車場が無料なので中を何日でもとめておける、格安便のメツカになればいい、など前向きな発言も出ています。

 なんとかポジティブシンキングで、瓢箪から駒が出るようなアイデアはないものでしょうか。

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by woody-goody | 2010-03-12 05:28 | 社会

集団同調性バイアス

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 先日の日曜日、チリの大地震による津波情報が出ていた最中のことです。

 新幹線で移動中、携帯電話のテレビニュース画面に、警報が出ているにもかかわらず、海岸線でタバコを吸いながら海を眺めている人の姿がありました。

 ああ、まさにあれだ!と思っ.たのは、災書時に起こる心理状態「集団同調性バイアス」のことです。

 司会をさせてもらっているNHK「ためしてガッテン」で去年こ紹介した不思議な心理状態です。

 昭和43(1968)年、十勝沖地震での話です。

 津波警報を聞き、急いで会社から海岸近くの自宅に帰宅途中の松崎さんが目にしたのは、普段なら防波堤ぎりぎりまである海水がはるか向こうまで引いている光景。

 今では、この光景は外国などの賢重な映像で津波の前触れとしてよく知られています。

 松崎さんもそのとき当然「すぐに逃げなけれぱ」と思ったのですが、次の瞬間、潮が引いたおかげで、砂浜に大量のウニがいるのに目を奪われました。

 松崎さんは振り返ります。

 「なんというのかなあ、津波の恐ろしさよりも、うーん、なんて言ったらいいのかな……」

 ウニを無我夢中で拾い集め、バケツがいっぽいになったそのとき、「津波が来るぞー」と叫ぷ声が耳に入り必死で逃げて助かったそうです。

 このとき地域に達した津波の高さは推定2メートル。巻き込まれていたら間違いなく命はなかっただろうと、いまも身震いする松崎さん。

 津波の恐ろしさを充分に知っていた松崎さんがなぜ津波よりウニが気になったのか。

 実は浜辺には、ウニもいましたが人もいた。

 たくさんの人がウニを取っているのを目にして自分も大丈夫だろうと思ってしまった、むしろ取らないと自分だけが損をしてしまう、ほかにもっと大事なことがあっても、そこに気をとられてしまう心理状態。

 これを「集団同調性バイアス」と呼ぷそうです。

 誰にでも起こり得る心理状態。

 運休を時期と地域で分散化しようという法案が観光庁から提出されるようですが、この「集団同調性バイアス」でいくと、みんなで一緒に休んで混み合うところへ行くのが実は好きなんじゃないか?と思ってしまいます。

 宿もすぐとれて、渋滞もなくすいすいいったらゴールデンウイークじゃない!なんてね。

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by woody-goody | 2010-03-05 05:49 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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