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腸ヘルニア手術


 さてさて、パルコ一カ月公演もあと4公演となりました。

 よくぞここまでこぎつけた、と思うのには理由があります。

 もう今だから書けるのですが、暮れの21日に「腸ヘルニア」の手術をしたのです。

 術後の腹の痛みもさることながら、5センチ切った所にちょうど帯がくるので、きっちりしめることができません。落語自体よりも体が感じる違和感の方に神経がいって、十分な高座になっているんだろうか、不安を抱えての一カ月でした。

 実は去年の6月ころから、右足付け根付近の下腹部にときどき腫れているような感じがあり、だんだん腰ベルトが手放せない生活になりました。

 これが、朝起きると違和感が消え、あれ、治ったのかな?と思います。ところが昼過ぎからまた違和感。

 毎日、この繰り返しで我慢しようと思えば我慢できないわけじゃないのですが、この感じはなんなんだろう、自分が知ってる病気のなにとも結びつかず、だんだん痛みが増し、不安な日々を過ごしていました。

 あるとき、「腸ヘルニア」なる病名を聞き、ひょっとして?と思いインターネットで調べてみたところ、ある病院のホームページにずばり私と同じ症例が記載されているではありませんか。

 おお、これだ。

 そこには、病状の説明、手術の方法、この病気に対する考え方、が細かく書かれており、読み進むうちに、病気が治ったわけでもないのに、不安から解放されていきました。

 いままで、インターネットをほとんど利用したことがなかった私としては、あらためて病院のホームページのありがたみを知りました。

 一番辛かったのは、落語を話してる最中に、中に入れられたシートが腸に触れているのを感じるとき。

 今では、シートは身内の相棒と思って仲良くしています。

 そんなこんながありながら、思い切って公演前に手術してよかったなと思います。

 公演後の手術にしようかという迷いを吹っ切らせ、私の背中を押してくれたのは、病院のホームページに書いてあったこの一行でした。

 「腰ベルトでなんとかなると思って暮らしている方もいらっしゃいますが、これはいつまで経っても元にはもどりません。薬もなく、手術以外に方法がありません」

 知り合いは言いました。

 「たかが、ダッチョだろ?」と。

 侮るなかれ、脱腸。

 完璧な手術を施してくださった先生や病院の方々に感謝するとともに、決断を促してくれたホームページにも深くお礼を申し上げます。そしてこのコラムを読んで、迷ってる方の助けになりますように。

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by woody-goody | 2010-01-29 05:50 | 体験

まど・みちおさん

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 今週も引き続き、パルコ劇場ーカ月公演のまっただ中からです。声もなんとか持ちこたえい合間のテレビ・ラジオの仕事にも迷惑かけずに過こしています。

 5年目になり毎度のことですが、同じ落語を毎日新鮮な気分で高座にかけるべく、ありとあらゆる方法と使って自分を鼓舞しています。

 たとえば、毎日違うセリフを入れてみたり、マクラの順番を変えてみたり、開演前にわざと違う落語を稽古してみたり、いったん全部忘れたつもりになってみたり、自分で自分をだますのも楽じゃない。

 そんな中、寝ぽけ眼の私に飛び込んできたのは、ワイドショーで放送されていた100歳のこ老人。

 まど・みちおさん。

 そう、知る人ぞ知る童謡「ぞうさん」「やぎさんのてがみ」「ふしぎなポケット」を書いた方です。

 しろやぎさんからおてがみついたくろやぎさんたらよまずにたべた~のアレです。

 番組では「百の質問」と題してアナウンサーがインタビューするのですが、その答えのシャープなことと言ったら。

 「ほら、ここにタオルのオシボリがあるでしょう?これはぬれているから丸まっているけど、乾いていたら丸まらないわけで。そして、横から見ると渦巻いて見えるけど、縦から見れば、ただの棒のように見える。つまりは世の中すべての物は、見ようによってはいろいろに見えるでしょう?」

 こういうふうに毎日なにを見ても面白がる感覚、まったく衰えない頭脳。

 まさにアンチエイジングです。

 その方がいまもっとも気をつけていることは、まどさんは絵も描いているのですが、絵でも詩でも、以前に似たものを書いてなかったか、常に気にしているそうです。

 衰えを知らぬクリエーティブな姿勢。

 「老い」の定義を覆すような、しっかりした喋り。

 ううーん。

 毎朝かかさず食べるバナナ。

 一人で食事をするときも必ず「いただきます」をかかしません。

 「誰も見ていなくても、神様が見てますから」

 そうなんだ、誰も見ていなくても、いやいや、何百人もに見られに、今日も私は劇場へ向かいます。マンネリと戦う私に、今日からは「まど・みちお」という詩人の存在が、新たなパワーとして加わりました。

 いざ!
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by woody-goody | 2010-01-22 22:11 | 社会

ツマヨウジ一丁!

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 2010年の初コラム、まずはおめでとうございます、なのでしょうが、私は恒例パルコ一カ月公演まっただ中、とても正月気分を味わうどころじゃありません。

 でも、日々、まるでジェットコースターのように変化する客席のおかげで、新鮮な気分で高座にあがっています。

 実を言うと、年末にちょっとした手術をしたものですから、体調的にも精神的にも絶好調じゃなかったにもかかわらず、かえって気合いの入った舞台になっている気がするから不思議です。

 チケットをお持ちの方、御期待ください。

 それにしても、東京の快晴ぷりはなんとしたことでしよう。

 雨男の私にしては快挙です。

 それにひきかえ、私の故郷富山を含む日本海側の豪雪のすごさ。

 パルコ公演直前、故郷の正月公演のため、1月2日に着いた富山空港は久しぷりに見るものすごい雪景色でした。

 欠航続きの空港は大混雑。特に4日の帰りの便にはキャンセル待ちの長い列が。

 でもそんなイライラを吹っ飛ばすシーンがあったのです。

 搭乗前に必ず寄る大好きなうどんやさんでのこと。

 5,6歳の男の子がてんやわんやの店内に一人で入って来て、店のお姉さんに「あのー、ツマヨウジー本ください」と言いました。

 たぷん、空港ロビーにいる親に頼まれたのでしょう。

 急がしげに働くお姉さんたちは気にはなるものの、両手に丼が乗ったお盆やらビールを持って右往左往。

 昆布じめと富山独特のイカの刺し身でビールを飲んでいた私が、テーブル立てにあったツマヨウジを1本渡そうかと思ったその瞬間、カウンター内でうどんをゆでていたオヤジさんが子供に向かって大きな声で「はい、なんでしょう?」。

 男の子は再び小さな声で「ツマヨウジを1本ください」。

 おやじさんは間髪入れず叫びました。

 「はい、ツマヨウジ一丁!」

 それを聞いてハッとしたお姉さん、ヅマヨウジを1本手にしゃがみこんで渡しました。

 「ありがとう」と小さな声でお礼を言って店から出て行った子供。

 大忙しの店内の様子を、厨房から司令塔のように見渡し、的確な指示を愛情とユーモアにまぷして出せるすてきなおやじさん、忙しさの中で小さな声に対応できなかったことに気付いてすぐさま、子供の背丈に合わせてしゃがんだお姉さん。

 正月早々、いいものを見せてもらいました。

 今年も世間からたくさん学ぱせてもらおうと思っています。

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by woody-goody | 2010-01-15 21:28 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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