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神田古本まつり

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 今年で50回目を迎える「神田古本まつり」に「志の輔古書店」が出現しました。

 私の好きな本、持ってる本、ぜひとも棚にあったら嬉しいなあと思う本をチョイスして神保町のスタッフさんが並べてくださった夢の本棚。同じ会場で私の独演会も開かれるという、「聴いて・見て・読んで・買える、前代未聞の落語会」と題した「本に囲まれた落語会」でした。

 去年に続けて2回目です。

 開演前に、明治大学時代を思い出し、ぷらぷら古本屋巡りの楽しさを味わいました。

 本屋の軒先を眺めては立ち止まり、中古レコード屋に飾られたジャケットに見入っては立ち止まるそぞろ歩きという贅沢時間。

 今でも多少の夢は持ち合わせているけれど、昔は体全体を夢が覆っていたような気がするなあ、と思いを馳せながら、ふと脇の小路を見ると新しくできたラーメン屋に並ぷ若者たちの行列。そう言えぱあのころ、天ぷら「いもや」によく並んだっけ。

 落語関係の古書専門店「豊田書房」はすでに親父さんも亡くなり閉店。本当に淋しかった。

 さて、落語会が終わり「豊田書房、しまっちゃたんですよねえ」と思わずぽつりと漏らしたところ、「実は、去年の古本まつりのときに、PRがてら作った小冊子に志の輔さんがインタビューを受けて、豊田書房の大ファンだったことを話してくださったでしょう?番頭さんがずいぷん喜んでましたよ。で、祭りに水を差しちゃいけない、せっかくだからと閉店を古本まつりのあとまで延長してくれたんですよ」

 江戸っ子の心意気みたいなものを感じました。

 現在は、番頭さんが、手塚書房として近くのビルに入って営業なさっています。扱う本も豊田書房が扱っていた落語、講談、浪曲、歌舞伎、文楽、能、狂言の本がそろっています。

 打ち上げに参加していた、ある古書店主が言いました。

 「志の輔さん、古本屋の親父というのは職人なんですよね」と。

 なるほどそうだと思い当たりました。

 時代の流れで、大手チェーンの古本店もたしかに重宝ですが、店主が自らのセンスで本を集め、一枚一枚にパラフィン紙をかけたり、この本はあの本の隣に置いた方がいいなとか、この本を入れていつもくるあのお客さんを驚かせてやろうとか、夢のある職人芸を見せてくれる古本屋さん。

 その魅力をつくづく再確認させられました。

 古本まつりは11月3日まで開催されているので、秋風に吹かれながらのぞいてみては?

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by woody-goody | 2009-10-30 05:33 | 列島各地

天国の加藤さんへ

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 加藤和彦さん、天国でいまごろ神様から「まだ来るところやおまへん」と言われて追い返されればいいのに、と思ったりしています。

 北山修さんの声でセリフが入った「帰って来たヨッパライ」を耳にしたときの驚きと言ったらもう。

 深夜のラジオから流れる、早回しにしたすっとぼけた歌詞。

 当時、まだ中学生だった私は、ただただびっくり。

 なに、こんなのあり?!

 今なら、マジー?ヤバッ!です。

 当時の部屋の壁紙、ラジオの位置、着ていた服まで甦ります。

 高校生になるころは、フォークブーム。

 富山の田舎の学校でも「ギターを弾けないと女の子にもてない」神話が学校中をかけめぐっていました。

 友人のギターを借りて一生懸命に弾き語りをしたのが「あの素晴らしい愛をもう一度」。加藤和彦さんの大ヒット曲でした。

 思い出す、同級生の顔、顔、顔、教室の風景。

 大学生になり、少ない小遣いの中から意を決して購入したレコードは、加藤和彦さん率いるサディスティック・ミカ・バンドの「黒船」。

 曲の完成度もさることながら、組曲的アルバムの創り方が新鮮で、聴いていたころの下宿や窓からの景色まで思い出します。

 いまもiPodに入れて、新幹線の移動時に聴いています。

 衝撃の深液放送の出会いから30年を経て、加藤和彦さんが私の目の前に現れた時は息が止まりそうでした。

 文化放送の私の番組に、ゲストで来てくださったのでした。

 訃報を知り、そのときの録音テープを取り出し聴いてみると、なんとまあ、夢がかなった興奮から私が一人で、ただただしゃべっています。あああ、情けない。ゲストからお話を伺うのがパーソナリティーの役目だというのに。

 自分がしゃべってどうする、バカ。

 いかに私がファンだったかを、ニコニコ静かに笑いながら聞いてくだざってた笑顔が目に浮かびます。

 一番嬉しそうに、加藤さんが語してくださったのは「ぺペロンチー二を作らせたら、僕は世界一だと思うよ」でした。

 スパゲティの中でも一番シンプルなぺペロンチー二。自信作になるまでの試行錯誤、究極の作り方をそれはおいしそうに喋ってくださいました。

 エンディングで私はこう言ってました。「今日はまるで、加藤さんと一緒に食事ができたような気持ちです。こちそうさまでした」と。

 ご冥福をお祈りします。


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by woody-goody | 2009-10-23 05:54 | 芸能

大宮崎落語祭

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 六人の会主催の地方での初落語祭「大宮崎落語祭」が無事終了いたしました。

 もう20年近く、北海道から沖縄まで津々浦々の会場で自分の独演会をやってきましたが、なんと宮崎市内で落語をするのは初めてでした。

 いやはや、まさに南国。

 国道の分離帯には椰子の木が並び、空は抜けるような青空、ほとんど沖縄の景色と同じです。その昔、新婚旅行人気ナンバーワンだったというのもうなずけます。

 東国原知事になったそのまんま東さんと会うこともできました。

 オープニングセレモニーのスピーチでは、さすがに知事の顔でしたが、僕らの前では、やはり芸人の顔で冗談だらけ。テレビでよく見かける知事の横にぴったりと付き添っている吉川秘書とも、ゆっくり話ができました。

 この方、地元ではラジオ番組のパーソナリティーまでつとめる人気者。

 落語会の方は4会場で、18公演、26人の落語家が出演というプログラムで、お客さんは8000人を超そうという勢い。オープニングセレモニーでは「待ってました!」と言わんぱかりの1000人からの熱い拍手を受けました。

 ボランティアスタッフも、タクシーの運転手さんも、ふた言目には「宮崎を盛り上げてくれてありがとう」と言ってくれ、道で会う市民の人たちも、気軽にサインや携帯カメラを差し出し、気候の良い土地は、やっぱり人間もオープンなようで、自ら「宮崎の人間は、人が良すぎてだまされるぐらい純粋なんですよ」と言ってましたっけ。

 楽屋に準備されていたのは「冷や汁」。

 大きなオヒツに麦ごはんのようなものが入っていて、その横には、キュウリのスライスが浮いた冷めた味噌汁がいっぱい入った大きな鍋も。

 これはいったい何だ?

 スタッフから教えられた通りに、茶椀に飯を盛り、その上から味噌汁のようなものを恐る恐るかけ、お茶漬けのようにかっ込んでみる。

 うーん、驚くほどうまい。

 見かけとは大違い。それもそのはず、味噌汁のように見えた汁は、アゴか何かの魚でしっかりと出汁がとってあり、独特の甘めの味噌が、キュウリのスライスに絶妙にから玖つく。実は宮崎の名物料理の一つだったのです。食べた食べた食べた、落語をやる前にこんなに食べたのは初めてでした。先日報告した、山形の芋煮に続き、地方の名物をまた発見。

 夜の打ち上げで出た「地鶏」や「宮崎牛」もうわさ通り。吉川秘書が楽屋に差し入れてくれた、おにぎりを肉でまいたアイデア食品「肉まき」も実に美味。

 「去年、B級グルメで日本一になった横手のやきそぱに続いて、今度はこれで日本一をとるつもりなんです」と喜々として宮崎コマーシャルが続きました。

 あ、そう言えぱ、宮崎自慢のマンゴーにはお目にかからなかったなあ。

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by woody-goody | 2009-10-16 05:50 | 芸能

国のターニングポイント

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 台風がくるとの情報を聞いて、仕事が休める人は、出かけるのはやめにして、じっくり本でも読むか、掃除でもするか、手紙でも書くか、このていどの選択肢ならいいのですが、国家の判断と意ると一大事。

 ダムエ事や高速道路は、せっかくここまできたのだから進めた方がいいのか、ここでやめることが得策なのか、どちらがムダなのか、そもそも何を基準にしてムダかムダじゃないかを判断するのか、「せっかく」って何なのか。賛否両論、相容れないそれぞれの主張。

 結論を出す過程こそが大事なのでしょう。

 たった1人の毎日の食事だって、あと二口ほど残った皿を見ながら、もったいないから食べちゃえばという思いの一方で、無理して食べるのはかえって体によくないから残した方がいいのでは、などと悩みます。

 便い切りカメラ、フィルムがあと5枚残っているけれどもったいないから使い切った方がいいのでは?いやいや特に撮りたいものがないのだから、フィルムは残したままで早く現像に出した方がいいのかな。

 歯ブラシの毛がだいぷん開いてきたな、新しいのに替えようかな、いやもうちょっと便えるよ、もったいないじゃない、でもカスが上手にとれないブラシで歯を磨いてる方が、虫歯をふやしているのでは?

 ポイントカードを持ってくるのを忘れたからアレをアソコで買うのは明日にしようか、でも今必要なんだけど、じゃあ他の店で買っちゃおうか、たいした金額でもないし、でもなあ、あと少しでカードのポイントがいっぱいになって割引になるんだよな、今度近くに行くのはいつだっけ、交通費を考えると……ええーい、こういうふうに悩む時間がもったいない、ポイントカードなんて一切持つのやめよう、ポイントに縛られない生活を、となる人も増えていると聞きます。

 考えてみれぱ、人生はターニングポイントの運続、進学も就職も結婚も離婚も。「そうしたけれぱ、そうすれぱいいじゃない」と他人のことなら、それで済むけれど、自分のこととなると、悩む悩む。ましてやこれが国の行く末を左右するとなると、とてもとても私などは意見を求められても、ただただ困ってしまいます。でも、大変でしょうが、何とかするのが政治家です。さて、この国のターニングポイント、結果はどちらを選ぷのでしょう。


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by woody-goody | 2009-10-09 05:53 | 政治

ホタルの点滅速度、西東

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 ほっ、ほっ、ほーたる来い、こっちの水はあーまいぞ、という懐かしい唄がありました。

 この「ほっ、ほっ」って一箇所が、いかにもホタルの点滅の感じを表していていいですよね。

 数年前、大分の湯布院の宿に泊まったとき、敷地内の一角でホタルがそれはそれは見事に点滅している光景を見せてもらいました。

 幻想の世界。

 このとき、女将が、東日本と西日本ではホタルの点.滅の速度が違うことを教えてくれました。

 へえ、またなんで、と興味が尽きません。

 女将が言うには、フォッサマグナを境に、電源が60kHzと50kHzに分かれるのと関係があると言うのです。

 不思議に思った私は、広くみなさんに質間をする某週刊誌のコーナーに、このことを問いかけてみました。

 すると、親切な皆さんからいろんな意見がくるわくるわ。

 「私も何度か湯布院温泉に泊まりますが、あそこの女将さん連中はユーモアがあって、真面目な顔して、そういう面白い冗談をいうんですよ」とまずは女将さんに注目する方、「電カの周波数の東西での違いは全く無関係でしょう」と諭してくれる方、「あれは電気的な光でなく、化学的な光ですから」と明解な説明をしてくれる方、「要約すると関東と関西ではホタルの遺伝子型が違う。それで発光パターンが違うという説」を教えてくれた方、「このことに最初に気づかれたのは、横須賀市自然博物館にいらっしゃった大場信義先生です」と述べた方からは、ゲンジボタルが天竜川以西で4秒闇隔の点滅、以東は2秒間隔であるという研究結果が。そしてなんと静岡で3秒闇隔のホタルが発見された事実のあることを教えてくれた方もいました。

 さすがネツト時代、メールでのお答えが多かったのですが、手紙も嬉しいものですね。

 西と東の違いでは、マクドナルドを西ではマクド、東ではマックと呼び、エスカレーターを急ぐ人のために西では左をあけ、東では右をあける不思議。

 世界の西と東になると、女性が裸を見られた際に西洋では顔を隠し、日本で下腹部を隠す。

 理屈では、わからないことだらけ、わかってることの方が実は少ないんですがね。
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by woody-goody | 2009-10-02 05:52


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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