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下取りセール大繁盛


 そろそろ衣替えの季節。

 重いコートやセーターやブーヅはしまって、半袖やサンダルを出して、と押し入れの整理を始めた方も多いことでしょう。

 捨てるに捨てられないものがぎっしり詰まった押し入れを見て、考え込んでいる方もいるはず。

 それを見越して、大手デパートをはじめとしていま下取りキャンペーンが盛んです。

 不要になった靴やバッグや衣料品を持ち込むと下取りしてくれて、そこで買い物ができるクーポン券がもらえる。

 あるデパートに続々持ち込まれた靴の山。

 ここで不思議な現象が起きました。不要靴を下取りして発行したクーポン券の枚数のうち、実際に買い物に使用されたクーポン券は1割にも満たなかったというのです。

 要するに、新しい靴を買いたいから下取りをしてもらったのではなく、履かなくなった靴のもっていきどころがなかった切実な状況がうかがえます。

 もったいない精神が実を結んだというわけです。

 それに企画した側も、たとえクーポン券を渡した1割にしか買い物をしてもらえなかったとしても、それでも去年の倍の売り上げになったというのですから二コニコ。

 お客さんにしたら、クーポン券がほしいというより、いらなくなった靴がどこかでリサイクルされることへの深い安堵感が重要だったのですね。

 私の新作落語に「ディア・ファミリー」というのがあります。

 お父さんの勤続30年を記念して、狩猟が趣味の会社の社長からいきなりプレゼントとして送られてきたのは、剥製の鹿の頭。

 さあ、これをどうする。

 どこに飾る?捨てる?

 父親にとっては人生を象徴する記念の品だが、女房にとってはやっかいなものでしかあり得ない。

 ひとまずしまっておこうと開けた押し入れには、女房や子供の思い出の品がぎっしり詰まっています。

 「こんなものゴミ同然だ!」と叫ぷ父さん。

 ゴミかどうかはその人によって違うもの。。

 結末はいつかどこかで聞いていただくお楽しみ。

 この落語のヒントは清水義範さんの「ゴミの定理」というエッセイでした。

 他人にとってはゴミでも、本人にとっては大切なものというのはよくある話。

 古典落語は、物不足で飢えと寒さをべースにしていますが、まさか物をどうやって捨てるかに苦労する落語をつくることになるなんて、入門したころには夢にも考えませんでした。

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by woody-goody | 2009-04-24 11:59 | 社会

善光寺御開帳回向柱に


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 毎年通い続けている長野善光寺での落語会。

 そもそもは、15年前に永六輔先生に誘われて落語「お血脈」をやらせてもらったのがきっかけでした。

 会場は、善光寺門前の当時は「御本陣藤屋」という老舗旅館でした。いまは、オシャレなイタリアンレストラン兼結婚式場になっています。

 ここで独演会を始めて、そう、、10年くらいになるでしょうか。そのうち、やはり同じ長野県にある北野文芸座でも毎年独演会をやらせてもらい、今年はそのオープン15周年記念の落語会になりました。

 今更ながら、月日のたつのははやいもの。

 ここ北野文芸座は、たとえるなら横浜にぎわい座にも似て、落語をやるために造られたかのような、気持ちよくしゃべることができる空間です。

 長く続けていると、こんなこともあるものだと感慨深かったのが、今年は善光寺で7年に一度の「御開帳」大イベントに遭遇したことです。

 本堂の御本尊が7年に一度だけ姿をお見せになるというありがたいイベントです。

 境内に建立された長さ10m、45cm角の大回向柱は、本堂で公開される前立本尊の右手と綱で結ばれていて、柱に触れぱ御本尊を触るのと同じ御利益があるそうです。落語会があった日の地元の新聞によると、なんと1時間半待ちの行列ができて、諦めて帰った人もいたそうです。

 そう聞くと、触りたくなるのが人情です。

 打ち上げで、「せっかくこの時期に来たのになあ、無理だろうねえ」と話していたら、「今から行きますか?」と現地スタッフが。

 「えっ?いま、夜中の11時半だよ」

 「ええ、大丈夫ですよ」

 半信半疑のうちに歩き出し、善光寺さんに到着。

 本堂は閉まってはいるものの、境内は自由に入れます。

 昼間の喧躁は嘘のように、ほど良くライトアツプされて静かに立つ回向柱を見上げました。

 そうか、本堂の中の御本尊は早朝からタ方まで、決められた時間に行かなけれぱ見られないのですが、回向柱に触るだけなら24時間可能だったのです。

 回向柱に巻き付けられている綱に触り、なにかいい縁をいただいたような気がして帰途に着きました。

 先行きが不透明な時代、綱にただ触ったというだけなんだけど、つつがなく毎日を過こせる安心の芽をもらったような気がして、つくづく信心って不思議。

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by woody-goody | 2009-04-17 04:33 | 列島各地

結核の正体

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 知名度のあるタレントさんが結核になったと、あちこちのニュースで取り上げられています。

 今どきなぜ結核?と思われている方は多いでしょうね。

 そこで、2008年1月16日放送した、私が司会をつとめているNHK「ためしてガッテン」で特集した「結核」。その時の内容を、ホームページも参考にしながら、私自身もあらためて復習してみようと思います。

 かっては年間15万人近くが亡くなっていた国民病、結核。

 その後、いい治療法が確立され、もはや絶滅したのかと思っていたら、なんと今や日本に2800万人も感染者がいる可能性があるそうです。

 戦中戦後の大流行のときに菌が肺に入り込んでしまい、現在70代の5割、60代の3割が感染しているそうです。

 この菌を征伐するために、もともと人間の体には「4人の番人」がいます。

 第一の番人は「ノドのふた」。

 食べ物と一緒に菌が気管に入らないように喉をふさいでるふた。

 第二の番人は「粘液繊毛」。ふたで防ぎきれず侵入した菌を、気管の表面に生えた小さな毛が外に運び出します。

 第三の番人は「咳」。

 繊毛が運び出しきれなかった菌を、時速100㌔の風速で口外に押し出します。

 第四の番人は「免疫細胞マクロファージ」。

 咳でも押し出されなかった菌を、今度は食べてしまいます。

 ところが、このマクロファージが結核菌を閉じ込めるべく作った殻が、逆に結核菌を守ることになってしまうそうです。、

 皮肉なことに、これが耐性菌となって、潜在結核患者を増やしていきます。

 ストレスや糖尿病で免疫力が落ちたとき、耐性菌が目覚めて、結核を発症。患者は自覚がないままに空気中に結核菌を放出してしまうというわけです。

 現在、結核の治療では複数の薬を組み合わせ、服用を中断することなく6~9ヵ月頑張れぱ完治するそうです。

 特に人口が密集した都会では、どこに菌が浮遊していてもおかしくないし、誰が感染していても不思議はない。私だって分からない。でも明らかに昔と違うのは、結核は完治する、ということです。ガッテンしていただけましたでしょうか。

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by woody-goody | 2009-04-10 19:25 | 社会

朝顔に釣瓶とられて?


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 毎年、花がいつ咲くか、いつ散るか、をこんなに気にする国民がいるなんて、よその国の人たちから見たらさぞや不思議なことでしょうね。

 花に寄せる人生、本来日本人が持っている優しい感性を大切にしたいものです。

 ここで、時期外れな朝顔の話題です。

 金沢の落語会に行くために小松空港に到着。小松インターから高速に乗り、途中の徳光パーキングに入り、ここへ来たらいつも楽しみにしている「天ぷらうどん」を注文。この北陸自動車道の各パーキングのうどんは大変おいしく、ぜひおすすめします。高速料金1000円を利用してゴールデンウイークにお出かけの際にもしここを通られた際はぜひお召し上がりください。

 私の好みがきっとわかっていただけます。

 このパーキングで車に乗り込む前にふとみつけた石碑がありました。

 刻まれた俳句は「朝顔や釣瓶とられてもらい水」

 地元出身の有名な加賀千代女の俳句です。

 あれ?

 私が覚えていたのは「朝顔に」でした。
 
 皆さんもそうですよね?

 朝顔の蔓「に」釣瓶をとられたので、近所にもらい水に行ったのですよね。

 とりあえず携帯カメラを使って撮影、車中で何度も確認しましたが「朝顔や」になっています。

 そうか、石碑に刻む職人が間違ったんだな、しかし、俳句という凝縮された宇宙を表現する言葉の世界で、
1字を刻み間違ったりするものだろうか……。

 インターネットで調べると「に」と「や」が混在しています。

 東大落語会編の「落語事典」に出て来る落語「加貿の千代」説明の項では、「に」になっていました。

 歌心のない私ですが、「や」だと意味が通じません。ひとつ考えられるのは、千代女は朝顔に向かって言ったということかな。

 「朝顔や、お前に釣瓶をとられてしまったもので、井戸の水が汲めないから近所で水をもらわねぱならなかったのだぞ」と可愛く朝顔を責めるように眩いたのだと、これなら意味がすんなり通じます。

 いつの間に私は「朝顔に」だと思い込んでいたのでしょう。

 雑学ブームの中、どなたか経緯をこ存知の方がいたらぜひ教えてくださいませ。

 ああ、すっきりしたい。北陸自動車道を通られることがあったらぜひ徳光インターの石碑を御確認くださいませ。

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by woody-goody | 2009-04-03 08:13 | 列島各地


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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