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落語アジア公演帰朝報告

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 海外公演から帰国いたしました。

 去年に続いて2度目のべトナム公演、そして今年新たに加わったシンガポール公演。

 不況は世界どこへ行っても同じですが、たくさんの日本企業現地支社が協賛してくださり、ロビーに会場に、待ちに待ったという熱気が満ちあふれ、作る側と観る側の一体感が、海外公演につきもののさまざまな困難を乗り越えさせてくれました。

 シンガポールではちょうどいいサイズの高座台を作ってくれたのはよかったのですが、大きすぎてホールの入り口から入らない。

 「30分ほどお待ちください」

 音響照明チェックをしようとすると、そう声をかけられ、なんでだろうと思っていたら「いま、台を半分に切っていますので」

 ノコギリで半分にして入れ、中でくっつけるという一大作業。

 照明係はワンさん一人。

 弟子を高座に座らせ、客席に座った私がああでもないこうでもないと指示を出します。それを日本人会の人
が通訳、ワンさんが走り回ります。

 照明の指示と言っても、こちらは素人なので的確な指示が出せません。あちこちいじって何度もやり直し、やっと納得のいく状態になるまでに2時間。

 嫌な顔一つせず付き合ってくれて、ワンさん、ありがとう。

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 ベトナムのホーチミンでは、日本から持ち込んだ大きめの高座座布団が、マイクを前に置くと台に乗り切らない。かかとと座布団が台からはみ出し、前傾姿勢で落語を行い、太ももが鍛えられました。

 照明だって大変です。

 基本的にホールにあるものしか使えないというルールのおかげで光量不足。それをどう補えぱいいのか、
ライティング技術などわからない私に、日本人会と現地のベトナム人、弟子たち大勢でよってたかって3時間半格闘した末になんとか舞台ができあがった時には、感動でした。

 去年は4時間かかったので、30分短縮いざ幕が開くと、入りきらないお客様のために、あちこちからいろんな形の椅子が急きょ用意され、立ち見も出る盛況ぷり。500人以上のお客さんが笑うこと笑うこと。

 年に一度の日本人祭りってとこか「ベトナムにこんなに日本人がいたんだ!しかもみんながこんなに笑う人たちだったなんて」というスタッフにお客さん。

 笑顔がまぷしく、でも外へ出れば家族4人が乗ったバイクが洪水のように行き交うホーチミン。

 暑い。

 野球のないベトナムから帰国するや、韓国に勝利して驚喜する侍ジャパンの映像。

 そうか、日本に帰って来たんだ。

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※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
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by woody-goody | 2009-03-27 06:18 | 芸能

今週は休載です。

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by woody-goody | 2009-03-20 14:12 | 体験

二代目林家三平誕生

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 昭和50年、京王線明大前にあった、明治大学和泉校舎で体験した大爆笑を今も忘れることができません。

 学園祭に林家三平師匠を迎えたのです。

 そのころ、正直にいうと、落語家をゲストに迎えるにあたって、意見は二つに分かれていました。

 当時の落語界は古典落語至上主義だったので、漫談的というか、ひとりコント的というか、タレント的というか、どちらにしても古典落語とはほど遠いイメージの三平師匠を迎えるのに反対意見もあったのです。

 ところがふたを開けてみると、ただただ笑いっぱなしの1時間でした。

 内容を克明に覚えていないのが残念なんですが、これだけは鮮明に覚えています。

 途中で何人かの外国人が客席に入るや、三平師匠はめちゃめちゃの英語でその外国人たちをも笑わせていたことを。そのアドリプの凄さ。

 そうそう、一つ、思い出しました。

 当時の都知事は美濃部亮吉さんだったのですが「座頭市が、道で美濃部さんとすれ違ったんですよ。そのとき、刀を抜いて一言、言ったんです。やな、都政(渡世)だなー」

 500人ぐらいの大教室の天井が抜けるかと思うぐらいの大爆笑。そのジャーナリスティックな鋭さ。

 学生や一般の方々、舞台後方にあった簡易楽屋にいた落語研究会部員、そこにいた者全員が度肝を抜かれた笑いの衝撃波。

 このとき初めて私は、落語にはものすこい幅があるんだと驚かされたものです。

 古典落語だけが落語だと思っていた私に、三平師匠はこれも落語だと教えてくれたのです。

 あれから35年、皆さんもご存知のとおり、先日二代目林家三平が誕生しました。

 両国国技館で6500人の観客を前にして、口上の司会も務めさせていただきました。

 お祝いに駆けつけた居並ぶ師匠方を一人一人紹介しながら、30年以上前の記憶が蘇ってきました。

 かたわらに、頭を下げて各師匠方の口上を緊張の面持ちで聴く二代目三平。

 新三平、平成三平が落語の幅をもっともっと広げてくれるよう、いや、あえて言えぱ初代三平の記憶をもっともっと遠いものにしてくれるよう、忘れさせてくれてもかまわないとすら願いながら、三本締めを終えました。

 それにしても二代目三平さん、あんなすごい口上に並ぱせてくれてありがとう。

 緊張以上に嬉しくて、そして気持ちよかったよ。
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by woody-goody | 2009-03-13 22:24 | 芸能

ワラープリーズ

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 こんなことがありました。

 羽田空港で飛行機に乗り込むのに、ボーディングブリッジを歩いているときのことです。

 「足下にこ注意ください、足下にこ注意ください」というテープが繰り返し流れ、その後に外国人の女性の声で「脇の下!脇の下!」と言うではありませんか。

 え、なになに?

 すでにお気づきの方、その通り。

 「ウォッチ・ユア・ステップ」と言っているのでした。

 まわりの人に言ってみても、私の職業上、落語家がまた受けようと思って作り話をしてー、というふうに受け取られて終わり。

 でも「魔法の発音カタカナ英語」(池谷裕二著・.講談杜)を読んで、素直な私の耳に乾杯したくなりました。

 そもそも、あのジョン万次郎が、漂流の末にアメリカに着いて、現地の言葉を覚えるのにまずしたことは、聴いた言葉の音をそのまま書き留め、覚えることでした。

 水はワラーです。

 動物は、エネモウです。

 これで通じるのだそうです。

 ところが私たちは、幸か不幸かwaterやanimalという綴りを最初に教えられているがゆえに、ワラー、エネモウとは言えない。

 ウォーターとワラーの間に、アニマルとエネモウの間に、ペイパーとペイポの間に、ハウアーユー?とハオユ?の間に横たわる深い溝。

 原因は口ーマ字にあったのです。

 日本にローマ字を伝えたヘボンさんは、ひらがな51文字をアルファベット26文字で表記しました。

 とても便利なものではありましたが、このおかげで、口ーマ字の発音と英語の発音が同じだと勘違いしたところからすべての間違いが始まったようです。

 それが証拠に、ヘボンさんはHepburnと英語表記されるのですが、誰かを思い出しませんか?

 そう、オードリー・ヘップバーン。

 ローマ字を知らない日本人の耳には、ヘップバーンじゃなく、ヘボンと聞こえたのです。

 そしてそれが正解なのです。

 オードリー・ヘボンと発音した方が外国人に通じるのです。

 What time is it now?を、「掘った芋、いじるな」と覚えたジョン万次郎の英語力上達の早さが理解できようというもの。

 中学、高校、大学と10年学習しても未だにハローとサンキューしか言えない自分をこれで納得させることができました。

 開眼した私、また新たな気持ちで英語落語に挑戦してみようかな~
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by woody-goody | 2009-03-06 20:28 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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