<   2008年 06月 ( 4 )   > この月の画像一覧

「あっと驚く入札価格」


 子供のころ、学校から帰ると、ランドセルを放り出し、近所のお肉屋さんへ行って手伝うのが嬉しかったものです。お店にしたらはたして助かっていたかどうか、店の邪魔になっていたかもと、今では思いますが、はりきってやってくる小学生を面白がって、一緒に店に立たせてくれました。

 ガラスケースのこちら側から見る風景は新鮮で「お客さん、今日はミンチが安いよ」などと言うと、「あら、今日はお手伝い?」とほめられ、肉の包みを渡しながら「はい、100万円!」という子供の冗談にお客は大笑い、このとき受けるという快感を覚え、いまの落語家という職業につながっているような気がします。

 こんなことを思い出したのは、兵庫県赤穂市で起きた入札価格勘違い事件を聞いたから。

 道路除草作業の入札で、市内の建設業者が350万円としたいところ、350円と入札してしまい、これが通ってしまったからさあ大変。

 とんでもない数字を落札した市側は、申し訳ないが規定に基づく対応を求めるとのことで、業者は「自分たちのミスだから」と泣く泣く請け負うことに。

 そんな赤字を背負うくらいなら、入札から降りれぱいいのにと思ったら、落札後に契約しなけれぱ、6カ月から1年半の指名停止処分になるのでそうもいかない。

 もちろん、あれは間違いでした、という訂正もききません。入札の意昧がないですからね。

 市側があまりの価格に「これ、間違っているんじゃないの?」と前もって注意するわけにもいかない。談合になりますから。

 まあ、そらそうだけど。なんとかならんのか、というのも正直な気持ちです。

 そもそもなんでそうなったのかと言うと、社長の350万円の指示を350円と勘違いした入札代理人が、1平方メートル当たりの単価で入札するんだと思い込んだのが原因。

 ウナギや牛の偽装や居酒屋タクシー間題を見るにつけ、腹が立つぱかりですが、一方、このとんちんかん価格間題に、アッチャーと思いながらなんとかいい智恵がないものか、市側がなんらかの譲歩もしくは補助ができないものか、赤穂市民もそういう温情に怒ったりはしないと思うけどなあ。甘すぎましょうか。
[PR]
by woody-goody | 2008-06-27 05:31 | 社会

「(声の)車掌は、僕だ」

d0051179_547093.jpg

 富山県高岡市と旧新湊市をつなぐチンチン電車、通称「万葉線」の社内アナウンスを吹き込んできました。

 地元の方言も少し生かしてこんな具合です。

 「本日は万葉線をこ利用いただき、まことにありがとうございます。声の車掌は、わたくし立川志の輔がつとめさせていただいております。次は射水市新湊庁舎前、射水市新湊庁舎前でございます。左手に見えてまいりましたのが、新湊高校、そう、わたくし立川志の輔の母校ながです。甲子園でミラクル新湊の異名もとりました野球部、今年も甲子園めざしてがんぱってくだは
れ。お降りの方は“お近くのポタンでお知らせ下さい。次は射水市新湊庁舎前でこざいます。お忘れ物ございませんようにねええ」

 万葉線、この名前の由来は、あの万葉の歌人大伴家持がこの地に赴任して数多くの歌、たとえぱ「朝床に 聞けぱ遥けし 射水河 朝漕しつつ 唱ふ舟人」などを残したからだそうです。

 一時は、この線を廃止するバス代替案も出ましたが、町の風景として馴染んだ情緒あふれる万葉線、なんとか残したいという地元の気持ちが実り、存続することになりました。

 そしてこのたび、高岡市長から発案されたのが、週末にこの地へ観光に訪れる皆さんに富山弁のニュアンスを交えた車内アナウンスを流したらどうだろう、というものでした。

 私が幼いころ、ぷつかって新聞記事にもなった思い出のチンチン電車です。

 高岡駅前から始まって、末広町、片原町、坂下町、本丸会館前、広小路、志貴野中学前、市民病院前、江尻、旭ヶ丘、荻布、新能町、米島口、新吉久、中伏木、往復50の駅名を読み上げながらアドリブも入れたりするうち、それぞれの駅にまつわる小さなころのなにやかやがよみがえりジーンとしてきました。一つだけ読めなかった駅名「荻布」も。オギノウと読むそうです。

 楽しいポランティアでした。

 7月から流れるそうです。ぜひ富山へ行かれた方、万葉線に揺られながら、のんびりした時間をお過ごしください。

 撮影スポットのご案内や、私の実家に近い駅もアナウンスしております。

 アイデアあふれる富山、変わったね。


**********************************************

公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2008-06-20 05:54 | 列島各地

「水着が競泳を変える?」

d0051179_5495769.jpg

 水着が水泳競技を左右するようになるなんて、昔、いったい誰が想像したでしょう。

 ちょっと遅い、遅い、ちょっと速い、速い、ものすごく速い、くらいでいいと思うのですが、速度を競うとなるとそうもいかず、いまやゼロコンマ何秒が競技の対象。こうなると水着の性能が速度を左右するのも無理ないのか。

 北島康介選手が、スピード社の水着を着用してオリンピツクに参加することを自身のブログに書き、そこには現在の契約社への気遣いも含め、悩んだ様子がよく表れています。

 最高のパフォーマンスを私たちに見せるための決断であったと。

 あたりまえのことですが、泳ぐのは水着ではない、選手なのだから。

 落語家が、どんなにいい座布団を使い、高級な扇子を使用して、履きよい雪駄を履き、音環境のいい会場を与えられたとしても、最高の落語ができるとは限らない。

 特に落語の場合は、本人の体調が悪く、すべてが最悪でも、思いもしないいい交流がお客様とできて、いいパフォーマンスを見せられる事だってあるのだから、ここがスポーツと違うところです。

 スピード社は、よくぞ、効果の出る素晴らしい水着を作ったものです。

 北京オリンピツクの水泳競技では、スピード社製水着を着たかどうかに注目が集まることでしょう。

 数字が出るたびに、スピード社製を着用した印の大きなSマークがつけられたりして。

 こうなると、全員がスピード社製の水着で競技にのぞまないとなんとなく釈然としなくなるのでは。

 Sマーク部門とSマーク以外の部門と分けた方がいいのでは、なんてことも。

 道具ではなく肌の一部になった水着。

 他のスポーツではここまでメーカーに左右されることはありませんでした。

 私がいま夢中になっているゴルフ用品について言えぱ、とても選びきれない多種多様のクラブやボールが店頭に並んでいます。

 いわく「これは飛びます」「これは飛んで止まります」。また、簡単にバンカーから出るウェッジなどなど魅力的な商品が勢揃い。

 少しでも成績があがるなら使いたい。が、100%当たって飛ぷクラブやポールができたとして、そのとき、私はそれを……間違いなく使う……だろうか、生意気にも、道具のおかげだと思いたくないから使わない……だろうか、うーん、やっぱり買っちゃうかなあ。

 落語が絶対にうまくなる座布団があれば、そりゃあ……。


**********************************************

公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2008-06-13 05:57 | 社会

「よくも悪くも、慣れ」

d0051179_5351771.jpg

 かつては思いもしなかったことが普通になる、そうなると以前のことが思い出せない。

 たとえぱ、更地になった場所を見ながら、つい昨日まであった建物が思い出せないように。

 たったいま、この原稿をパソコンで書いていますが、20年前は夢にも思っていませんでした。

 毎週、一本指でキーを押しながらなんとかかんとか仕上げていたのが、いまや両手を使って、しかも仕上げた原稿を無線LANで送信しています。

 驚きです。

 ウォシュレットが出たときだって、最初は気持ちが悪くて、まさか自発的に自分の尻をぬるま湯で洗うようになるなんて、携帯ウォシュレットを持ち歩くようになるなんて、夢にも思いませんでした。

 ゴミ袋が黒から半透明になったのだって、面倒なゴミの分別だって、当初はあんなに不自然だったのに、いまや自然になりました。

 先日、ピンやプラスチックや新聞がまざった公共のゴミ箱を見て、気持ちが悪と感じる自分に気がつきました。

 古くは、リンスの登場にも驚きました。

 シャンプーの他にリンスを使うなんて、女性だけだと思っていたのに、いまやリンスどころかコンディショナーまで使っている自分がいます。

 ミネラルウォーターだって、まさか水にお金を払う時代がくるとは。初めてコマーシャルを見たときは、どんな金持ちが買うのだろう、と思ったものでした。

 運転席のシートベルトが義務化になったときのとまどいと不平の嵐も昨日のことのように覚えています。

 いまでは、シートベルトはしないようにと言われても、断固拒否して、危ないじゃないか、としっかりべルトで体を守るでしょうね。

 脳が指令を送らなくても、体が覚えしまったのです。

 してみれぱ、今回の、後部座席シートベルト装着義務化もいまに慣れるのでしょう。ただし、もう少し締めやすいのが出て来ることを期待しますが。

 知り合いが愚痴っていました。

 「せっかく、子供を3人乗せて音楽を聴きながら、傘さして、携帯で女房と連絡をとりながら、ナビ見て自転車に乗る技術をやっと習得したと思ったら、自転車の法規制だよ。ダメなら練習し始める前にもっと早く言ってくれよ」

 いや、それは、言われなくてもわからないほうがおかしいぞ!


**********************************************

公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(オフィスほたるいか)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2008-06-06 05:17 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

社会
列島各地
体験
政治
芸能
休載

以前の記事

2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧