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ジャイアント・ガール

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 去年、行きつけの店で、美容師さんから「夏休みにフランスに行って、とっても面白いものを見たんですよ。ビデオに撮ってきたから見ませんか?」と渡された映像を見て、我が目を疑うとはこのこと、ショッキングな画面に釘付けになりました。

 10メートル以上もあろうかと思われる巨大な少女と、そして象にロケット。

 ゆっくりゆっくり動く少女は、大きな目をゆっくり開き、大きな腕をゆっくり上げます。

 腕に乗る人間の少女たちが、人間の腕にとまる昆虫のよう。

 まさにガリバーの世界です。

 巨大少女を動かす赤い衣装の人たちが、ロープを引っ張りながら、右、左、前、など号令をかけながら甲斐甲斐しく動く様子がまたユーモラス。

 「これは何?」と聞くと「一言で言うなら、大道芸でしょうか」

 このパフォーマンスを行っているのは、ロワイヤル・ドゥ・リュクスという集団。

 ナントというフランスの田舎町、機械仕掛けの技術者がたくさんいる町で毎年行われているパレードだそうです。

 これにはストーリーがあって、タイムカプセルでやって来た少女が、4日後にはまた、どこかへ帰って行くという。

 日本の昔話「かぐや姫」にも似ています。

 象の鼻から噴出されるシャワーを気持ちよさそうに浴びる少女。

 おいしそうにキャンディーを舐める少女。

 スピードやディテールが競われる時代に、茫洋とした様子でスローに動く巨大なからくり人形は、なぜでしょう、哀しみに似た感情を抱かせます。

 人間の手で動かされていることをすっかり忘れて、人形に見入り、気持ちが人形側になってしまいます。

 ずっと、一度ぜひ、生で見てみたいものと思い続けてきました。

 この感動を文章でいくら書いても分かってもらえないしと思っていたところ、先日、美容師さんが「なんとインターネットのYouTubeでこれが見られるようになったんですよ!」と興奮気味に語ってくれました。

 ああ、これで私の興奮もわかってもらえる。

 すっきりしたー。

 日本にも呼ぼうと努力してる人たちもいるようですが、電線と信号という難関をどうクリアできるか。

 やはり現地で観るのが一番でしょうから、チャンスを狙っているところです。

 それにしても、今回初めて知ったネットの進化。アナログの感動をデジタルで知ったことと合わせて二重の感動です。


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by woody-goody | 2008-04-25 06:05 | 社会

ゴルフと落語

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 ゴルフのマスターズ・トーナメント。

 中継を見るため、週末の4日間、完全に生活のリズムが狂った。

 早朝からテレビのスイッチをオン。午前8時を過ぎてまた床に入るという二度寝生活。

 どうしてここまでブルフにのめりこんでしまったのか、自分でも不思議です。

 思えぱ、スポーツはテニス、野球とやってきましたが、今回のように、気持ちがジョージア州オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに飛び、選手の一打一打に、勝手に喜びと悔レさを分かち合ったのはゴルフが初めてです。

 本気でゴルフを始めて3年目に入った私としては、いっぱしのオーガスタファン。

 さあ、そろそろアーメン・コーナーに入るぞ、と気合いを入れ、大丈夫だ次のパットを決めれぱ、ここはひとつリラックスして、とタイガーを励ましている自分がいます。

 スコア上、もう優勝を逃しそうだとわかってはいても、スポーツマン精神にのっとり、最終18番ホールでしっかりとバーディパットを決めたタイガーの姿に惚れ惚れしました。

 あのグリーンで共に闘った心地よい疲れが残りました。

 私は、いまちょうど、どうやってもうまくならない段階で地団駄踏んでおります。

 去年の夏まではぐんぐん上達、志の輔さん、素質がある、とおだてられ絶好調だったのですが。

 ゴルフの先輩たちから「足が開き過ぎ」「かがみすぎ」「素振りはきれいなのに」と言われながら、一日6時間100回打ち続け、「あ、いまのは後ろへ引きすぎた」「またアゴが上がっちゃった」と反省につぐ反省を繰り返し、不満足なスコアを手に、悔しい思いで帰途につく、そんな繰り返しです。

 今回、タイガーウッズが言いました。「パットが定まらない週だった」と。そういうときもあるのか、じゃあ、俺もいまはスコアがあがらない時期なんだと(比べるか、タイガーと)。

 落語がいまひとつ胸に響いてこない弟子に、リズムがなあ、もうちょっと全体に山や川を、と抽象的なことを言ってはみても通じないのと同じなのか、私のゴルフ。

 「ひょっとして志の輔さん、ゴルフポールと喧曄してない?仲良くしなきゃ、ボールも飛んでくれないよ、ボールにヨイショした方がいいんじゃない?」

 ゴルフ知らずから落語「蒟蒻(こんにゃく)問答」のようなことを言われ、スイングのスタイルやスコアぱかりを気にしすぎだったのかしら、と反省しながら、落語も形じゃないんだ、人の心に届けなきゃ、おい、弟子よ。

 教え教えられ、です。
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by woody-goody | 2008-04-18 06:02 | 社会

天気予報より政治予報

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 天気予報に対する信頼度はどれほどのものか、気象庁が2007年度の満足度調査を発表しました。

 こういう調査が行われていることも知りませんでしたが、実は平成14,17年度に続いて3回目だそうです。

 昨年12月に、無作為に抽出した9市の計4500人に調査票を郵送、1587人から回答を得たデータによると、予報全般に対しては「信頼している」が28.4%、「まあ信頼している」が65.9%。つまり合計94.3%の人がほぼ信頼していて、それでも前回調査より1.7%減少したのだとか。

 私個人としては、100%と言ってもいい満足度ですがねえ。

 だって、ことこまかく時間帯別に、地域別に予測してくれるんだもの。

 大自然の力、人間の力はとうてい及ぷべくもないお天気を予報してしまうなんて、そもそも信じられない。

 わからなくて当たり前でしよう。

 信頼度が1.7%減少したってことは、きっと、予報に対する期待値が上がったことの表れなんですね。

 黄砂情報や、紫外線情報など、昔はそんな予報が必要になる現在を予想できなかったですもんね。

 そう言えぱ、30年前、私が広告制作会社に勤めていたころ、年間契約を結んでおくと、○月○日○○町で雨が降るかどうかについて教えてくれる会社があったことを思い出しました。ロケで晴れるかどうかは死活間題ですから。もっとも、予報がはずれたからと言って契約金を返してくれるわけではないんですが。

 天気関運で思い出したのは、岩手県のある町で、川の上に能舞台を作りイベントを行う際に、もし雨が降ってイベントが中止になっても能楽師さんたちに謝礼を払えるよう保険に入っていたこと。幸い、晴れて事なきを得たようでしたが、故・桂枝雀師匠のマクラじゃないけれど「人類よりお天気の方が先にあったんだから、あたるわけがない」

 それを思うと、年金制度の破綻ひとつ予想できなかった人類が愚かすぎる。衆参議院のねじれが、いろんなねじれを起こすことだって予想できていたでしょうに。

 そっか、予想はしていたけど、予想できないふりをしていただけなのね。

 無知より怖い、見ないふり。

 人類の英知をもってすれぱどうにでもなりそうな政治の予想がつかなくて、お天気は予想できるこの不思議。

 オリンピツクの聖火リレーも、こうなることの予測はついていたでしょうにねえ。



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by woody-goody | 2008-04-11 05:32 | 政治

被災地に励まされ

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 東京で直下型地震が起きたらどうなるか、いろんなシミュレーションが行われていますが、先日、故郷富山で天災にあった方々と話しました。

 今年2月、北海道西方沖で起こったうねりが、まわりまわって「寄り回り波」として富山湾を襲いました。

 浅瀬がなくいきなり深くなる湾の形状が、8メートルの高波を引き起こしてしまったのです。

 町の代表者に、被害にあった入善町を案内してもらって、歩きました。

 頑丈な防波堤があっても、それをいとも簡単に乗り越え、民家を次々に壊滅させていった波。

 一見きれいなさら地に、実は家があったんですよ、と聞かされてもにわかに信じることができませんでした。

 「あっという間だったんですよ」

 被害の状況を説明するたびに「あっという間」という言葉が繰り返されました。

 そう表現する以外に言葉がみつからないのでしょう。

 救助にきていた消防車が、高波に200メートルも押し流され、民家にぷつかり、建物はぐしゃぐしゃに。

 商店街の店の白い壁に、延々くっきりついているライン。

 波が川となり跡を残していったのです。

 高さは1メートル以上でした。

 被災地を見たあとに、私の落語会が開かれました。

 突然の被害で、この先どうしたらいいのか、先行き不安でいっぱいの方々を前にして、落語などしゃべってる場合か、いや、待てよ、こんなときだからこそ、まずは笑って気持ちを切り替えなければ、体が動かないんじゃないか、私自身が落ち込んだ気分をまず整理しなけれぱ、何をどう言えぱ喜んでもらえるのか……。

 高座にあがり、最初の笑いがきたときの嬉しさ。

 あんな悲惨な目にあっても、笑える人間ってすごい。

 悲惨だからこそ、笑えないと次にはすすめない。

 みなさんの笑い声に、高座の私が元気づけられ、楽屋でホールの方から「今日は、ありがとうこざいました」と言われると、言葉はいつもと同じでも、そこに言い知れぬ心の底からでた感謝が感じられ、もう、こちらこそ感謝、感謝でした。

 この後、町の復興計画も聞かせてもらい、気持ちはちょっとずつ前向きになりました。

 町が復元された際、ぜひ記念落語会を企画しましょう、と話も出たりして、落語家になってよかったなあ、なんとか役に立ったようだと思えた一日でした。
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by woody-goody | 2008-04-04 06:46 | 列島各地


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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