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人間だもの、学校だもの

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 相田みつをさん風に言えぱ「間違ってもいいじゃない、人間だもの」。

 間違いは誰にでもある。現に、私の間違いもあげれぱきりがありません。

 小さい携帯ボタンを押し間違えて、とんでもなくこ無沙汰している人に電話がかかってしまい、すぐに切るわけにもいかず「どう、元気?」などさしさわりのない時候のあいさつをしたり、まるで関係のない人にメールを送ってしまったり、は日常茶飯事。

 なので、自分なりに決めた対策としては、後輩にメールをするときも、留守電にメツセージを残すときも、一応敬語を用いるように心がけています。

 師匠から敬語の留守電メッセージを聞いた私の弟子は薄気味悪いかもしれませんが。

 でも、いったいどうしたらこんなことが起きるのかという間違いがありました。

 北海道の高校で起こった入試合格発表ミス。

 間違って昨年の合格者番号を掲示板にのせてしまったという記事。20分後に張り直されたとはいうものの、さぞてんやわんやだったろう20分間を想像せざるをえないのは職業病です。

 「もしもし、○○と言う者ですが、僕の番号が掲示板にのってないんですが」

 「そうか。残念だったね。わかるわかる。その悔しい気持ちをバネに頑張ってみるか」

 「いえ、僕の番号があるはずなんです」

 「そうだね。ずいぷん頑張ったんだものね。ないはずないよね。でもね、頑張ってもだめなことがあるのが人生なんだよ。君はまだ若い、やり直しはいくらでもきくんだから」

 「いえ、僕、推薦入学なんですよ」

 「そうかー、まあ、その後になにかあったんじゃない?ま、今年は残念だったってことで」

 「僕の方にはなにもないですけど」

 「ないはずでもなにかあるのが世の中なんだよ。自分が気付かないところでちょっとしたミスが起きるもんなんだよね。そんなもんだよ。あ、ちょっと待ってね。あっちの方でなんか言ってる。え?ええ?なんだって?まさか。あの、あ、君、○○さん、いま重大なことがわかりました。今年の掲示板に、間違って去年の合格発表の番号が張り出されていたらしいです。ほらね、知らないところで間違いは起きるものなんだよ。実はね、君はね、去年は不合格だったらしいよ」

 チャンチャン。

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by woody-goody | 2008-03-28 06:46 | 社会

ベトナムに学ぶ落語スピリッツ

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 せがれの高校卒業式に出席しました。職業柄、その無駄のない構成に感心しつつ、一方で柄にもなく感動し、感涙にむせんだりして。

 翌日からは、せがれを連れてベトナムはホーチミンに向かいました。

 卒業旅行というわけではなく、「志の輔らくごインホーチミン」という私の仕事に同行させたのです。

 日本では、ママさんたちが前後に子供をのせて走る自転車三人乗りを厳格に禁止するかどうかとかまびすしい中、ホーチミンでは、バイクでの三人乗りは当たり前。五人乗りのサーカス
まがいを含めて何百台もが、それもかなりのスピードでびっしり道路にひしめいています。派手にクラクションを鳴らしながら信号もない交差点を走るバイクと自動車そこを器用に手を挙げるわけでもなく平然と歩く人たち。日本の道路交通法ってなに?と一瞬疑いたくなる光景です。

 今回の落語会は、ベトナム戦争で寸断されていた国交が樹立して35周年を記念し、日本商工会が主催してくれた独演会。

 今までにも、メキシコやポストン、大連などでも日本人会のお客様を相手にしゃべってきましたが、今回も、400人以上のお客さんを前にして、あらためて落語をやっててほんとによかったなあと。

 2度目のホーチミンの今回は、名所旧跡を見て回っただけの前回と違い、これがベトナムだと感じ入ったことがありました。.

 音楽堂のような場所に、落語の舞台をつくる作業に指示を与えることから、私の仕事は始まります。

 私の指示を通訳を通して10人ほどのベトナム人に伝えてもらいます。遅々としてすすまない作業。内容は伝わっているようなのに、なぜか行動を起こさない人たち。

 ああすればいいんだね、こうすればいいようだね、と延々話し合っているように見える人たち。決して動くのが嫌なわけではなさそう。

 そうだ、ここは社会主義国なのだと気がついたときに合点がいきました。

 突出したリーダーがいない。全員がリーダーと言えばリーダー。作業を眺めているうちに、当初は心配になっていた私もついに笑ってしまいました。

 日本人会の人たちに聞くと、彼らも最初は仕事のゆっくりさ加減にいらついていたそうですが3ヵ月で慣れたそうです。

 私は3時間で慣れました。せかせかと急いだところでなにもいいことはない。これぞ、落語スピリットなのです。かえって私の方がベトナムで落語の本質を学ぱせてもらったようです。

 道路交通法もそうだけど、資本主義ってなに?

 ベトナム時間はいろんな意味で偉大でした。
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by woody-goody | 2008-03-21 07:16 | 体験

師匠談志にノックアウト

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 2月で54歳になりました。信じられない。

 子供のころ、50歳以上は、おじいさんでした。

 一方、年配の方に言わせると「50代?働き盛りだな。一番面白い時だよ」と、イケイケドンドン的発言の嵐。

 若いんだか年寄りなんだか自分の位置を決めかね、心が微妙に揺れている状態で、居酒屋のトイレに入るとそこには張り紙がありました。筆文字で黒々と、「つもり違い十ニケ条」とあり、
いわく「高いいつもりで低いのが教養」「低いつもりで高いのが気位」「深いつもりで浅いのが知恵」「浅いつもりで深いのが欲望」「厚いつもりで薄いのが友情」「薄いつもりで厚いのが面皮」「強いつもりで弱いのが根性」「弱いつもりで強いのが自我」「多いつもりで少ないのが分別」「少ないつもりで多いのが無駄」「長いつもりで短いのが青春」「短いつもりで長いのが老後」。

 誰の言葉なのか店主に尋ねれぱ、長野県の元善光寺の先代住職が書いたものを、店主の父親がその場で書き写し、さらに清書して額におさめたのだとか。

 若いときなら見過ごした言葉が、50過ぎの心には沁みるのです。

 キザに言えぱ、言葉の向こうが見えそうな。

 落語もそう。若いころと今とでは、落語に寄せる想いがまるで違うなあ、としみじみしていた。そこへ、3月9日NHKハイビジョン「談志まるごど10時間」です。弟子の私、画面に釘付けでした。
しみじみなんかしている場合じゃない。

 追悼でもないのに、一人の人間を10時間ぶっ続けで放送するなんて。しかも語り尽くされた感がなく、「24」のようにシーズン2がまた始まりそうな予感すら抱かせました。

 秘蔵の落語「三方一両損」「主観長屋」「やかん」、番組のためにスタジオで撮り下ろした「居残り左平次」など落語はもちろん、海外旅行や都内探訪、有名人による談志ファンの鼎談。なにより、落語にかける執念のすこいこと。日常のどこを切り取ろうがそこにまぎれもなく72歳の落語家立川談志がいるのです。

 弟子の私が言うのもなんですが、なんと正直な人だろう、なんと優しい人だろう、なんと凄い人だろう、ただただ画面の前で腰が抜けていくような思い。

 その師匠に、文化庁芸術選奨文部科学大臣資受賞の報告に行くと、何も言わず、ニヤッと笑ってくれました。もう、それがなによりも嬉しく、弟子冥利に尽きました。
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by woody-goody | 2008-03-14 23:57 | 芸能

全国学生落語選手権のパワー


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 このたび、芸術選奨の大賞というものすごい賞をいただき、驚きと喜びと戸惑いのいりまじった日々を過こしています。

 この場を借りて、お世話になった方々に厚くお礼を申し上げます。

 そして、審査されたこの私が、今度は審査する側にまわりました。

 岐阜市で毎年行われている「全国学生落語選手権」

 落語の祖である安楽庵策伝のゆかりの地で開催されてはや5年。

 落語ブームのおかげもあり、今年の参加者は全国38大学・大学院・短大から166人。予選は、今年は会場を一つ増やし、長良川国際会議場内に「信長」「道三」「濃姫」「お市」の名をつけた4会場で行われました。

 決勝も6人から7人に増え、当日を迎えました。

 1500人満員のお客様。

 審査委員長は桂三枝師匠、タレントの生稲晃子さん、岐阜市長、NHK岐阜の局長、そして私。

 私が35年前に明治大学落語研究会に所属していたころには思いもよらない発表の場です。

 さあ、コンクールが始まりました。筑波大学、関西大学、中央大学、大阪大学などなど。一言いやはや凄い。

 7人のうち2人が女性。

 そのはじけっぷりに笑った笑った。

 落語を女性がやる場合、主人公である熊さんや八つぁんという男性を演じる方法にどうしても違和感を覚えるものなのですが、そんなことは微塵も感じさせません。

 中央大の女性などは、途中から男なのか女なのかわからなくなり「強情灸」で、文字通り会場を爆笑の渦に巻き込み、堂々の審査員特別賞。

 策伝大賞を受賞した筑波大3年生は、まくらですっかりお客をつかみ、本編でも「青菜」という、普通なら25分はかかる古典落語をわずか9分に凝縮、その構成カに驚きました。

 次から次へ学生たちが繰り出す落語への新鮮なアプローチは、プロとして落語を突き詰めようとしている自分を振り返らせてくれました。

 年齢、性別、学生とプロの落語家、そんな垣根もなんのその、落語が本来もっている底カに気付かされました。

 来年は、うちの弟子全員にこれを見せたいと思います。

 交通費・宿泊費が自前の参加者たちに準じて、弟子たちもおのおの工面するように。

 この会の模様はNHKBSでも放送になるようなので、機会があったらぜひ御覧ください。

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by woody-goody | 2008-03-07 06:46 | 芸能


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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