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落語でデート

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 落語家だから日ごろ会うのは当然落語関係者や落語ファンが多いわけですが、毎週土曜日朝7時から始まる、文化放送「志の輔ラジオ落語でデート」にお迎えする芸能人の方々は違います。

 「目黒のさんまって落語なんですか。そう言えぱ目黒の駅前でさんまをじゅうじゅう焼いてるお祭りありますもんね。だから、目黒のさんまって言うんですね」と、有名もとアイドルの女性が一人で納得しているので「いや、そうじゃなくてですね、先に『目黒のさんま』という落語があったから、目黒の商店街がさんまのおいしいこの時期に、さんま祭りというイベントを企画して大成功したんですよ」と説明すると「へ~え、そうなんですか~、落語が先なんですか~」とクリクリした目で驚いている、そのリアクションの新鮮なこと。

 だって、海の近くじゃない目黒でサンマがとれるわけないじゃん、と心の中でつっこみながらも、落語を知らずに過こしてきた方が大半だということを知るのです。

 もう2年以上経つでしょうか、落語ブームと言われ、たしかに寄席や落語会に足を運ぷ人が増え、雑誌や番組が特集を組み、映画やテレビドラマにもなり、落語が人々にとって身近な存在になりました。が、まだまだです。

 番組内のコーナーで、昔の名人の落語ライブ録音をゲストと一緒に聴いていると、「実は落語を初めて聴いた」とカミングアウトする方々の多いこと。

 でも、それが楽しい。

 中にいるとあたりまえだと思っていることが、広い世間では全然当たり前じゃないことに気付かされるのです。

 よくある質問は「どうして一人で何人もやれるんですか?」「足はしびれないんですか?」「良く覚えられますね」とまるで小学生のような質問から、「昔の名人の口調は、どうしてこんなにも心地いいんでしょうか、今の時代ではこの口調ではお客さんに届かないんでしょうかね?」と、ハッとするような高度な質問まであり、毎回、ほんと楽しみ。

 で、先日「王子の狐はどこから集まるのか」という記事をみつけました。

 大晦日に狐が集まり狐火を灯すという王子稲荷神社の伝書にしたがって、狐のお面をかぷって行列する年中行事。そうか、落語「王子の狐」は王子に伝わる話がもとになっていたのだなと知った私です。こちらは、「目黒のさんま」と違って、落語があと。

 ゲストと一緒に、頭をゼロにして落語でデート、明日は大山のぷ代さんをお迎えします。ぜひお聞き下さい。

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by woody-goody | 2007-09-28 06:03 | 芸能

ゴルフ場を森に返す

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 5年ぷりに北海道富良野演劇工場で落語会をしてきました。

 前回をはるかに上回るお客様の熟気が会場を包み、気持ちよく高座をつとめることが「北の国から」で有名な富良野は、いっそうにぎわっていました。

 新しくできていた「富良野自然塾」を訪ねたのですが、これが実にユニークな発想。

 倉本聡さんの発案で「ゴルフ場を元の森にもどして、水と空気を浄化してくれる”葉っぱ”をつくるプロジェクト」。だそうです。

 泊まったホテルが持っていたゴルフ場の跡地で開かれていた「緑の教室」は、そもそも自然って何?という素朴で根元的な問いかけから始まりました。

 東京から行った私は少々面食らいながらも、青空の下、とにかく空気がおいしいという単純なことに気付きます。

 直径1メートルの「石の地球」と名付けられたオブジェは、地球の中身から森や海の比率を教えてくれます。

 あまりの自然の少なさに驚きました。

 「地球の道」は、地球誕生から現在までのおよそ46億年を460メートルという距離に置き換え、地球に起きた出来事を体感し、おもしろい解説を聞きながら歩く道。

 歩みをすすめるうち、宇宙に思いを馳せるようになった自分がいました。

 そして、初めてやってみた「植樹」。

 自然塾の人たちが種から育てた苗木を、元はー番ホールだった場所の近くの地面にスコップで穴を掘り、櫃えます。

 人生初めての新鮮な体験でした。

 わくわくしながら植え、東京に戻った今もときどきあの苗木を思い出します。

 晴れれば、陽を浴びてる様子が目に浮かび、雨が降れぱ滴に濡れるさまを思い、北海道での植樹の短い時間が、東京での私の生活に潤いをもたらしているようです。

 時間が足りずに体験できなかったのは「裸足の道」。

 二人ペアで裸足になって、一人は目隠しされて地面を五感で体験するというもの。

 おおげさに、環境間題とか地球保護という言葉を使うことなく、じかに感られる自然体験。

 一味違った北海道旅行が楽しめました。

 広大な土地を利用したユニークな試みに拍手、北海道へいらしたらぜひどうぞ。

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by woody-goody | 2007-09-21 06:00 | 社会

ノンストップ「美しい日本」

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 ものごとは突然やってくるとは言うものの、一国の首相の突然の辞任。なんでまたこの日なの?という疑問を残して、最後まで波乱万丈な政権でした。

 あれだけ「辞めるべきだ」と言っていた野党も、今度は「辞めるなんて無責任だ」と。

 まったく政治の世界は理解のほかです。

 「美しき日本」という言葉は、単なる流行語に終わるのでしょうか。

 安倍首相の真意はともあれ、政治的な意味を離れ、今こそ本当の意味で「美しい日本」について考えるときでしよう。

 先日、以前の下町で美しき習憤が残っていたことを聞きました。

 お母さんが坊やに「お饅頭を15個買って来てね」とお使いを頼みました。

 お金をにぎりしめてお店へ行くとそのお饅頭がショーケースの中にありました。

 「おじさん、お饅頭を15個ちょうだい」.

 「あいよ」と一個ずつ袋の中へうつしながらおじさんが言いました。

 「ちょうどよかったね、残りがちょうど15個だったよ。間に合ったね」

 そこで坊やは言いました。

 「13個でいいよ」

 「そうなのかい?」と言いながらケースヘ2個もどすおじさん。

 帰ってお母さんに「15個しか残ってなかったから、13個にしといたよ」と報告する坊やに「そう。えらいわねえ」と坊やをほめるお母さん。

 一瞬、意昧がわからず、少しして納得しました。

 15個自分が買ってしまったら、誰かはわからないけど後からお饅頭を買いに来る人のために少し残しておいてあげよう、と自然におもいやる美しい習慣。

 この美しい気持ちの持ち方を、習憤を、子供とおじさんとお母さんの三者がわかりあっていた時代。

 今なら、お金を出してほしいだけ買って何が悪い、となるのでしょうが。

 ついそこにあった灰皿を蹴飛ぱして畳に灰をまきちらしてしまった夫が「ごめんごめん、注意が足りなくて」とあやまり、「あらごめんなさい、そんなところに灰皿を置いてしまって」とあやまる女房。

 これが夫婦和合の秘密だそうです。

 電車やパスに乗ってきた人に、座っている人が少し腰を浮かせる「こぷし腰浮かせ」、足を踏まれた人がぼんやりしていた自分が悪かったとあやまる「うかつあやまり」。

 「江戸しぐさ」は気持ちの使いようを教えてくれます。心の持ち方ひとつでギスギスした人間関係がなめらかになる、こんな「美しい日本」に向かう気持ちは継続していきたいものです。

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by woody-goody | 2007-09-14 06:30 | 社会

神在月キャンペーン

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 私の新作落語に七福神が登場する作品があります。

 会社の新年会で披露することになった「かくし芸」に悩む新入社員の自宅に、七福神がどやどやとやって来て、かくし芸を教えてくれるというありがたい申し出。彼らの狙いは、かくし芸を披露して受けた後に「実はこの芸は七福神に教わった。七福神ってほんと頼りになる」とアピールしてもらうこと。

 この落語を作る際に、インターネットで「八百万(やおよろず)の神」で検索し、すべての神様が一覧表になって出てきて驚いたことを覚えています。

 その八百万の神様が10月に出雲の国に集まるという言い伝えは有名です。

 10月(新暦では11月)は、出雲で開かれる会議に出席するため、全国的に神様がいなくなる、ゆえに「神無月(かんなづき)」。

 ところが神様を迎える出雲では、「神在月(かみありづき)」。

 で、これを観光の目玉に毎年10,11月を「神在月文化振興月間」と定める「神在月条例」を出雲市が市議会に提案。

 ところが、地元では、神様の会議を邪魔せぬよう静かに過ごす「お忌(い)みさん」という習慣があるそうで、反対意見も飛び出し、人間界ではにぎやかな議論が始まりました。

 来年は、60年に一度の出雲大社の遷宮もあり、市長は神話の国・出雲をPRするのに大乗り気。

 こんな下界の様子を、神様はどんな気分で見ているのでしょう。

 「私たちが年に一度、こうやって集まっているところを、全国のたくさんの人たちに静かに見守ってほしいなあ。どうして双方の意見をうまく取り入れないのかなあと、言ってるような気が私に
はするのですが。

 観光客が島根に着くとこんな看板。

 「神様のためにお静かに」

 この時期、訪れた観光客は「シィー、シィー」と互いに注意しあいながら静かに各所を見て歩くといった新スタイルを提案すればいかがでしょう。

 宿のカラオケで馬鹿騒ぎするより、ゆっくり流れる静かな出雲時間、こんな旅も島根じゃアリ!と思うのですが。

 あ、出雲に神様が集まっていまの日本を話し合う、という新作落語が作りたくなってきました。

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by woody-goody | 2007-09-07 06:59 | 列島各地


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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