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入れ歯助成金交付

 毎日、テレビから「ふるさと納税」という言葉が流れてきます。

 「ふるさと」という温かい言葉の響きに「納税」という締め付けられるような言葉の響きが組み合わされて、奇妙な感覚がわき起こります。

 不思議な造語です。

 要するに、現在住民票を置いている場所に納めている住民税の一部を生まれ育った故郷、あるいは自分が故郷だと思えるところに納めたらどうだろうという制度。

 私の故郷は富山県だということを、当コラムで何度も書いているくらい、私の故郷への思いは強いほうだと思います。

 けれど、いきなりそんなことを言われても、正直戸惑っています。

 住んでもいないところに住民税というのはどういうこと?

 100歩譲って、、所得税ならば少しは理解できます。

 全国で落語会をやらせてもらっていて、その落語会を開いてくれた都道府県に、感謝の意を込めてギャラから支払う所得税、私のような職業の場合なら納得できる。

 いま、日本国に住む全住民に降りかかっている年金問題を解決する方に時間と労力をかけるべきだろうに、なんでこんな時期に特に急を要するわけでもない問題を持ち出すのか、と思っていたら、それは選挙が近いからだと、マスコミが教えてくれました、

 そうか、そうだったのか。
 
 思い起こせば、ふるさと創生資金で全国の市町村に1億円ずつが配られたのでした。

 あれも奇妙な出来事でした。

 地域振興券というのもありました。

 ある条件を満たした人に、2万円プレゼントでしたっけ?

 よく説明できない、降って湧いたような制度でした。

 選挙の前に、よくぞ思いつく新制度。

 これ、何かに似てると思ったら、普段なら出ない俳優さんが、テレビやラジオに頻繁に顔を出すことがありますが、たいてい新曲の発表だったり、映画や芝居の宣伝だったり。

 労力を一番効率的な時期にまとめてかけるということでしょう。

 ならば、こういうほうがいいんじゃないかと思うことが。

 年金もろくに払えないなら、お年寄りの入れ歯や歯の治療費の全額を国が負担する。

 なぜなら、これから増える高齢者に、きちんとものを食べてもらわないと医療費はかさばるばかりだから。

 パイの決まった税金をあちこちで奪い合うより、健康な生活を増進し、医療費を削減することにエネルギーをかけた方が、将来的に、国の体力がつくと思うのですが、どうでしょ。
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by woody-goody | 2007-06-29 06:02 | 社会

新作落語の初映画化「歓喜の歌」

 年金から介護、ふるさと納税など、切羽詰まった身近な問題が迫り、いよいよ、地方自治体が真価を問われる時代です。

 各市町村主催の落語会に呼ばれ、全国を巡っている私ですが、その対応は千差万別です。

 開演前に楽屋にあいさつにみえる主催者の場合は、市の長所をあげながら「難点を言えば」と前置きして短所も説明、そして「今日は一つ市民を楽しませてやってください」と、短時間で少しでも地元を理解してもらいたいという熱い思いがびしびし伝わり、そうなると、私もよし頑張るぞ、と気合が入ります。

 そういうところは、終演後も「いま、お客様を出口で見送って来たんですが、みなさん実にいい笑顔で帰って行かれました。ありがとうこざいました」と涙が出るような嬉しい一言葉。

 そんな方がいるかと思えば、会場に到着した途端になにか気の入っていない雰囲気あいさつ
が漂い、案の定主催者の挨拶どころか影も見えず、間に入るプロモーターがいるときはまだしも、結局最後までどこが主催していたんだかわからずじまいということもあります。

 こういうところに住んでいる市民や町民は不幸だなあ、と常々感じていて、この憤懲やるかたない思いを落語にしたのが、2004年パルコの高座でかけた「歓喜の歌」です。

 おおげさに言えば、官対民の対立とち言える内容です。

 あらすじは、やる気のない公民館員が、ある年の大晦日にダブルブッキングという大失態。

 年に一度、「歓喜の歌」を歌うのを楽しみに、家業や主婦業の合問に練習につぐ練習を重ねてきた二つのママさんコーラスとの攻防がくり広げられ……。

 ぜひ、生の落語で聞いてもらいたいのですが、これがなんと映画化されることになったのです。

 プロデュースしてくれるのは「フラ・ガール」でおなじみ、シネ・カノン代表李鳳宇さん。監督は「東京タワー」の松岡錠司監督。

 出演は、小林薫さん、安田成美さん、藤田弓子さん、由紀さおりさん、などそうそうたるメンバー。

 撮影台本を読んでいると、映像が浮かびあがり思わず笑っている自分がいました。

 「幕末太陽伝」のように古典落語をべースにしてできた映画はあれど、新作落語が映画化されるのは初めてとか。快挙。なんか誇らしくも嬉しい気分です。

 ヒッチ・コックばりに私も通行人ぐらいで出ることになるのか、と今から勝手に緊張しています。

 映画のタイトルは変わるかもしれませんが、わかりしだい、ここで発表いたしますね。




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by woody-goody | 2007-06-22 05:51 | 芸能

切羽詰まった温暖化

 朝、テレビをつけて突然目に飛び込んできたのは、「パキスタン53度の異常気象」のタイトルと暑さに耐えかね地面に寝そべるパキスタン人でした。

 よく使われる「異常気象」というこの言葉、ほんとに「異常」と言ってていいの?

 「異常」と呼ぷことで、たまたま運悪くこうなったけどしばらくしたらまた元に戻るという印象を与えるこの言葉。

 実は、もう元にはもどらない地球なのに。

 「温暖化」という、こののんびりした印象を与える言葉も問題だと思いますが、もはや「異常」とは呼べない段階にきている地球。

 すでに異常ではなく恒常的になっている地球温暖化。

 誰のせいでもない、私たちのせいで。

 先日、番組で温暖化の専門家に話を聞いたところ、空気中の二酸化炭素の量は、太古の昔から明治以前までは28ppmだったそうですが(どうやって測ったのかはおいといて)、明治維新以来少しずつ増え続け、現在は380ppm。

 欧米も産業革命後、同じ道をたどっているそうで。

 京都議定書にサインをした削減量を守れば、地球は元に戻るのかと思っていた私。不明を恥じます。

 世界でどんなに努力しても元へはもどらず、なんとか現状維持で精いっぱいという切迫した地球環境の変化をひしひしと感じます。

 「エアコンの設定温度を下げましょう」とはよく言われることですが、その意味するところは、日本全体の使用電気料が減れば電力が今までより少なくてすみ、その結果、火力発電を稼働させる時間が少なくてすみ、稼働時に出る二酸化炭素の量が減らせるということなのだそうです。

 自動車のようにエアコンが二酸化炭素を出してるわけではなかったのね。

 日常生活の中でできる小さなこと、こまめにスイッチを切ったり、設定温度に気をつけたり、そういう小さな面倒なことを今更やれるかと思ったけれど、たとえば昔黒かったゴミ袋が半透明になり、分別ゴミが習慣化したことを思い出します。シートベルトにしても、最初はとっつきにくかったことも今では習慣になっています。

 やればできる、というか、もはややるしかないのでしょう。

 専門家いわく、面倒でも、まずは使用電気量を減らす生活を習慣化していかなければ、次世代に大変な迷惑を残していくことになると。

 落語が描く江戸時代に戻れなくても、少し江戸時代寄りに、ってことか。

 ツボカビで絶滅の危機を迎えているカエル。

 カビの繁殖は温暖化の影響も考えられるそうで。

 小さきものが身を挺して私たちに教えてくれてるのでしょうね。
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by woody-goody | 2007-06-15 19:45 | 社会

年金問題に名奉行がいたら

 すべての人に切羽詰まった年金問題。

 突然ふってわいた問題のように感じるけれど、きっとこうなるのはわかっていた人がたくさんいたのでしょうねえ。

 なんとかこっそりやり過ごせるだろうと高をくくっていたのでしょうか。

 問題を提起するのは常に、一番切羽詰まった人たちです。

 ですから当然、年金を渡す側ではなく、受け取る側から声があがる。

 行政側には、声をあげて請求してこない人たちには払わなくてもいいだろう、というようなお上意識が濃厚にあったのでしょう。

 税金でもなんでも、徴収する場合はあんなに律儀に調査の努力を惜しまないのに、払う段になると努力を惜しむ、とひがみたくもなります。

 こんなふうに問題がこじれたときに思い起こされるのは、落語に出てくる名裁きの事例です。

 名奉行は、時に法律には合わないような、本来の理屈からいったらおかしいと思うような裁きを行いますが、でも、本質的にみなの留飲が下がるような名裁きを見せてくれます。

 「五貫裁き」では、因業な大家をこらしめ、「小間物屋政談」では前の夫と新しい夫と女房のみんながうまく生きていけるよう取り計らい、「帯久」では、不欄な呉服屋和泉屋の主人を助け、性根の悪い呉服屋帯久をこらしめ、「鹿政談」では、親孝行で正直者の豆腐屋を奇策で救います。

 さて、この名奉行がもしこの世に存在していたらどういうお裁きをしてくれるだろうと夢想しました。

 場所は、南町奉行所のお白州です。

 そこに、社会保険庁と年金受給者が並んで座ります。

 「いま、宙に浮いておる年金をすべての受給資格者に速やかに支払うべし」

 「しかし、お奉行さま、そのすべての受給者が誰であるか、わからないのでこざいます」

 「それは社会保険庁、その方らの怠慢であろう。よって、誰かれかまわず、年齢に達した者すべてに支払うのじゃ」

 「そんなことをしますと、いままで年金保険料をおさめていなかった者が、ただ取りいたします」

 「それがどうした。まだ、その方ら、大事なことに気がつかんか。もっとも大事なことは、きちんと納めていた者たちが受け取れんようにしたことが、はるかに重大な罪じゃ。よって、その方らは、つべこべ言わず、まずは誰かれかまわず全員に支払え。

 そして即刻、社会保険庁は解体し、二度とこのような組織をつくらぬことじゃ。

 その後、納めてもいなかったのに貰った者を、その方らが全国行脚して探しだせ。あいわかったな」

 なんてね。
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by woody-goody | 2007-06-08 06:03 | 社会

間一髪の正常

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 あちこちへ移動する毎日を続けていますが、その日もいつものように東京へ帰ろうと富山空港に着きました。

 手続きに並ぶ長蛇の列を見ながら、自動チェックインの機械の前に誰もいないのにしめしめとはくそえみつつチェックインを済ませ、うどんでも食べて、と思ったそのとき、乗客の一人が係員に質問する声が聞こえてきました。

 「欠航かどうかはいつわかるの?」

 これが長い一日の姶まりでした。

 そう、5月27日の全日空のコンピュータートラブルで7万人に影響を与えた現場にいたのです。

 さっき目にした長蛇の列は、払い戻しや、この先どうしたらいいかわからない乗客の列だったのです。

 電光掲示板を見上げれば、私の乗る予定の便は、2時間30分遅れの表示が出ています。

 係員から1000円分の食事券を渡され、これで空港内でお待ちくださいと言われたものの、さて2時間30分は長いぞと迷っていると、見送りに来てくれたスタッフが異変に気付き車を回してくれたので、市内にもどり時間をつぶして再び空港へ。

 ところがまたもやあと2時間遅れることに。

 頭がクラクラしましたが、他の便はすペて欠航とあらばそれに乗るしかありません。

 翌日の新聞の見出しには、130便欠航、7万人の足に影響とありました。

 道理で。

 私の場合は、仕事を終えて東京にもどるだけだったからよかったものの、のっぴきならない事情を抱えている方もたくさんいらしたことでしょう。

 そのイテイラは察するにあまりあります。

 が、大声でどなる乗客もいなくて、説明しようのない係員も申し訳ありませんを繰り返すばかり。

 もし、私も落語会を控えていたらどんなに胃が痛くなったろうと想像しただけでイライラ。

 いまさらながら、飛行機に限らず、JRだろうが携帯電話だろうが、パソコンだろうが、すべてコンピューターがかかわっているわけで、大本にちょっとでもシステム障害が起きれば日本中がいとも簡単に止まるのだと再確認しました。

 私にできる自衛策は、沖縄公演の次に北海道公演、なんてできなくはないスケジュールを見直すこと。

 今まで100%コンピューターを信用して、無理なスケジュールがこなせてきたのはつくづく運がよかったからだけ。これからはゆるいスケジュールを組んで、たとえ飛行機が飛ばなくなっても地上を走って間に合うように。

 こんなささやかな自己防衛策を考えた5月末です。



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by woody-goody | 2007-06-01 09:33 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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