<   2007年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

痒い、苦渋の選択

 あなたは靴の上から足を掻いたことはありますか?

 掻きたくなったことはありますか?

 名人古今亭志ん生の落語に出てくるくすぐり(ギャグ)の名フレーズ「靴の上から足を掻くような」という言い回しがこれほどぴたりとくるなんて。

 23日の朝刊記事でみつけた見出し「花の一区、留学生は除外」。

 ???いったいなんのことだろうと中身を熟読すれば、全国高校駅伝で、もっとも長距離を走ることになる一区に、外国人留学生を起用してはいけないというルールが決まったとの記事。

 なんでも、90年代から足の速い外国人留学生の参加が増加して、レース序盤から飛ばしすぎ、日本人選手との差が開きすぎ、観戦していて面白くないという声が出たそうな。

 競り合わせるために、一番長い距離の一区では外国人を走らせないようにしようという全国高等学校体育運盟の決定。

 う~ん、唸ります。

 コートの上から背中を掻かれているようなもどかしさ、気持ち悪さ。

 要するに、高校生のスポーツといえども国際化という時代の流れに逆らえず、外国人に門戸は開いたものの、いざやってみると、先頭集団はいつも外国人ばかり、カメラを向けても高校駅伝として絵にならない、いかがなものか、ということでしょうが、この決定にしてもいかがなもの
か。

 外国人選手起用を禁止するでもなく、無制限に起用するでもなく、ただただ日本人選手の戦意喪失と競技の見栄えを意識しての決定。

 今まで、暗黙の了解のように認識されていた特待生に対する高校野球連盟の判断にも感じたことですが、大人の決めたルールに振り回される高校生の気持ちを考えているでしょうか。

 中途半端な大人の判断の方に戦意喪失するのでは。

 新たなルールを作らなけりゃ外国人には勝てないと認められた(?)高校生のプラドはどこへ。

 外国人留学生駅伝選手の呟きが聞こえてくるような。

 「速ければ速いほどいい、と聞いて日本に来たのに、こんなことになるなら仲間と相談して、そこそこに走ってりゃよかった。走る練習さぽって先頭集団なんかつくらなきゃこんなことにはならなかったんだよな。これから日本に来る後輩には、もっとゆっくり走るように教えなくては。美しい日本で生きるキーワードは『手加減』だよって」

 走っているのは決定権の走る組織の小父さんたちではなく、高校生たちなのにね。


d0051179_1911994.gif



2005年5月以前のバックナンバーはこちらから


d0051179_19143962.gif
[PR]
by woody-goody | 2007-05-25 05:59 | 体験

もと社員寮、大川美術館

d0051179_55431100.jpg
 今年で私の独演会が10年を迎えた群馬県桐生市にある落語会場は、もと味噌蔵というだけあって、語りやすく集中しやすい空間です。

 会場もさることながら、大学時代の親友が中心になって、大勢のボランティア同然のスタッフがこしらえあげている落語会なので、全体にあたたかい空気が流れ、桐生の歴史ある町並みにしっくりくるのです。

 で、10年目にして初めてスタッフと共に訪れたのは、財団法人「大川美術館」

 平成元年に、水道山の中腹にオープンした個人経営の美術館です。

 所蔵作品数7500点。

 わが国最大の個人近代画コレクションだそうです。

 ここは、もと大手スーパーの社員寮だったのを改造した美術館なので、造りがちょっと面白い。

 小さい展示室がいくつもあり、どんどん奥へ奥へといく感じで、一つの作品と一対一で向き合う密度が濃いのですね。

 普通の展示室ではまずない窓が部屋ことにあるのも大きな特徴です。

 そこから入る自然光でピカソやルノアールや安藤広重という名だたる名画を見られる賛沢感。

 ここには天皇陛下もお見えになったそうで、陛下が個人美術館を訪問されるのは異例なこと。

 その理由は、全国公私合わせて約1000ある美術館の中で、画家のアンケートによる、素晴らしい美術館第9位にランキングされたからだそうです。

 画家から自分の作品を展示したいと選ばれる個人美術館に、陛下も御興味を示されたのでしょう。

 あともう一つの理由は、松本竣介という画家が1948年に描いた「街」を御覧になりたかったからだそうです。

 私も見ました。

 ソファーに座って。

 絵の前にソファーがあるのもここの特徴です。

 じっくり見ていると、私の知らない終戦直後の暗い街で生き抜く人たちのエネルギーが伝わってくるようでした。

 高座でエネルギーを発散したあと、ここで新たにエネルギー注入。

 大川栄二館長が、ある方と裸足で絵を見て回ったという話も素敵です。体の感覚を解放して絵に向かうとまた違ったものが見えてくるのでしょう。

 松本竣介の絵を「知の美」と評し、45年その虜になった館長。

 惜しむらくは、地元ではあまり知られていないこと。

 桐生に行かれた際はぜひ寄ってみてください。
[PR]
by woody-goody | 2007-05-18 05:54 | 社会

JAPANESE CRANE -日本ツル-

d0051179_22164921.jpg
 関心のない人にとっては、別にどっちでもいいんじゃない、となることでも、こと当事者の立場になると、とんでもない、もってのほか、になることがあります。

 サッカー日本代表の応援キャンペーン広告で、チームカラーである赤色のサポーターが青色に加工され全国紙に掲載され、広告主を訴えた浦和レツズ。

 「クラブのカラーはかけがえのないシンボル、サポーターの気持ちを軽視するもの」と抗議コメント。

 一方、中国では、五百万人の市民のインターネット投票の結果、国烏候補をタンチョウヅルにしぼって国務院(政府)に申請したところ、この英名が、「JAPANESE CRANEL(日本ヅル)だということがわかり、複雑な事態に。

 政治情勢もからまり、ここは英名が「中国アヒル」のオシドリにすべきじゃないかという意見も飛び出し、さあ、どうなるか。

 英名がどうあれ、中国国民がタンチョウヅルを国鳥に推す気持ちは充分すぎるくらい私にはわかります。

 なぜなら、先々週のコラムでもその魅力をお伝えした旭川の旭山動物園で本物のタンチョウヅルを見てしまったからです。

 これがほんとの「白」というものだと断言したくなるような純白の胴体、伸びる首。頭部には、天の配剤かと見まがうようなあざやかな赤いまるい帽子がちょこんとのっていて、日本の国旗を思い起こさずにはいられません。日本ヅルと名付けられた理由がわかります。

 気品を体全体に漂わせたタンチョウヅルを目にしたとき、その美しさに心奪われ、見とれ、大げさでなく、しばし動けませんでした。

 中国では2003年から国烏の選定を開始、準備に準備を重ねていたのに、そして国民の多数が推したタンチョウヅルなのに。

 ツルにはなんの罪もないのに。

 もし絶滅したら大変、という意見も出てきたそうです。

 旭山動物園で、雪の上でころりと寝ているラクダにも驚きました。

 ラクダと言えば歌「月の砂漠」のイメージで暑さには強いけど寒いところじゃダメだろうという勝手な思い込み。

 実は、暑さ40度にも零下何十度にもなる砂漠に生きるどうぶつ、と聞けばなるほどと思い直しました。

 そうか、キャメルのセーターはあったかいもんなあ。

 シロクマだって、茶クマ戸呼びたくなるような薄茶色。正しく言えば「茶グマ」でした。案内してくれた人が言うには、この時期、寒さから身を守るために油が出てくるからだそうで。そもそも白クマなどという呼び名はなく、下式にはホッキョクグマ。そっか、エアコンの宣伝でシロクマという名称が定着したのか。

まあ、動物にしてみれば、すべて余計なお世話なんでしょうけど。
[PR]
by woody-goody | 2007-05-11 22:16 | 社会

親学・子学・客学?!

 先月26日の一面トップに大きい二文字「親学」を見たときは、頭にまずクエスチョンマークが浮かび、なになになに?と読んでみると、いよいよここまできましたか、と唸りましたね。

 あるべき親の姿を、教育再生会議が「親学、に関する緊急提言」としてまとめたもの。

 いわく、子守歌を聞かせ母乳で育てる、授乳中はテレビはつけず、5歳からテレビ、ビデオを長時間見せない、早寝早起き朝こ飯の習慣をつける、PTAには父親も参加する、ネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する、企業は授乳休憩で母親を守る、親子ではテレビではなく演劇などの芸術鑑賞をする、乳幼児健診に合わせて「親学」講座を実施する、遊び場確保に道路を一時解放する、幼児段階であいさつ、思春期までに社会性をもつ徳目を習得させ、思春期からは自尊心が低下しないよう努める。

 たしかにそらそうかもしんないけど、こんなことまで国が決めるなんて、まるで新作落語の題材そのままです。

 お役所の手続き重視を皮肉ったものに新作落語「ぜんざい公社」というのがありますが、美しい国日本を達成するために、いかにも誰でも言いそうな具体的な日本人のあり方をならべていくだけで笑えてきます。

 そのうちに、歯止めがきかなくなって、こんな提言まで飛び出したりして。

 ・朝ご飯には、日本人らしく、焼き海苔と納豆は必ず準備、ただし納豆かきまぜは30回以上。

 ・指先が自由に動き健康にいい下駄を一家に一足は常備、休日にはなるべく半径1キロは散歩すること。

 ・脳の活性化のためにそろばん塾に通うこと。

 ・人間としての品格を保つため、お茶かお花のいずれかを習わせること(国から補助も検討中)

 ・嬉しいことがあったときにスキップができない子供が増えているので、親が率先して、嬉しいことがなくてもスキップを実践、一週間に一度は親子で一緒にスキップを踏むこと。

 ・隠し事はよくないことを教えるために、毎日、そのあった出来事をきちんと親は子供に報告すること。

 ・用をたすとき、男の子の場合、小便器にはなるべく近づき、あたりにこぼさぬように(ただし、お尻の拭き方は自由とする)

 たとえどんな条項ができたとしても、お願いだから、以下のような提言だけはよしてくださいよ。

 ・生の舞台を見たときは、それほどじゃなくても舞台に出てる人の苦労を思い、笑ったり泣いたり拍手をしたりを、タイミングをはかってする。
[PR]
by woody-goody | 2007-05-04 18:39 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

カテゴリ

社会
列島各地
体験
政治
芸能
休載

以前の記事

2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧