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地震知らずのタイで


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 能登半島地震のニュースは、大混雑のバンコクを走る車の中で知りました。

 なにげなくスイッチを入れた携帯電話画面に映った1本のメール。その後2時間遅れのテレビ番組「NHKワールド放送」で確かめ、富山の実家にすぐに国際電話を入れて、被害は食器棚のコップが落ちた程度ですんだことを確認して少し安心。

 帰国後知った能登半島の惨状は目にあまるものがありました。

 さらに続く余震への恐怖はいかばかりでしょう。

 タイのバンコクヘ出かけたのは、現地に住む日本人を対象にした「全日空寄席」で800人の方に落語を楽しんでもらいました。

 楽屋には、富山県人会の皆さんも駆け付け、より被害の多いと報道されている能登半島や輪島のことを話しあい、ここはタイなのか日本なのかわからなくなるくらい。

 その中に「志の輔さん、私がわかりますか?」と声をかけてきた男性が一人。一瞬誰だかわからなかったのですが、それもそのはず、18歳のときまで私の実家から500メートルと離れてないところに住んでいて、中学高校とテニスクラブが一緒だった後輩でした。

 35年ぷりに会う幼なじみとの再会。

 3年前に、勤務する自動車会社のバンコク支社に配属されたそうです。
 
 日本で会わずバンコクで会う不思議。

 日中36度から40度というバンコク、気温24度差のすこさを体験しながら、10年前に来たときと比べてその変わりように目を見張りました。街がきれいになっている、車の渋滞に変わりはないのですがクラクションが減りました。コーディネーターは「鳴らしても無駄だと、やっと気付いたからじゃないですか」とユーモア交じりに答えてくれました。

 日本の地震のニュースを聞いた後、不安まじりに見上げてしまうバンコクの高層ビル、ビル、ビル。

 一番高いビルはなんと78階地震のない国タイ。

 バンコク在住の日本人が口をそろえて言うには「日本では絶対に許可のおりないような建築ばかりですよ」。

 建築中のビルを見ていても、そう思って見るからか、いかにも華著なビルばかり。

 こんなんで大丈夫かなあ、とよその国のことながら思います。

 コーディネーターは言いました。

 「こないけど、もし地震がきたら、ここ全部終わりね」

 地震体験のないタイの人たちが、そう考えるのは無理もないこと。

 住みやすさ日本一で定評のある故郷富山や石川に、こんな大きな地震が来ることをいったい誰が予測できたでしょう。

 富山の親友が電話で「生まれて初めてだったから、どうしたらいいのかとただただ体が固まっただけだったよ」と恐怖を語っていました。一日も早い復旧、平穏な生活がもどることを祈っています。


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by woody-goody | 2007-03-30 23:51 | 社会

休載

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今週は休載です。
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by woody-goody | 2007-03-23 07:39 | 休載

軽くなった罪

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 桜の開花予想がはずれて謝る気象庁、一方で5000円のナントカ還元水を光熱水費として計上、明らかに謝ってしかるべき大臣が謝らない。

 保険金不払いで損保10社は一部行政処分を受けただけで、まあ、謝ってはいたけれど、コツコツ未来の不安を解消すべく支払い続けた人たちの憤懣(ふんまん)が、こんなことでおさまるわけもなく。

 切符の自動券売機で、お札を差し入れるとものすこいスピードで吸い込まれるのに、しぷしぷ嫌そうにジャラジャラとゆっくり出てくる、ように見える、と漫才師がしゃべっていましたが、保険も同じ印象を受けます。

 顧客からは素早く徴収、いざ支払う段になるとしぷしぷもいいところ。なんのかんのと支払わない。

 長期の信用関係で成り立っている保険というシステムに、不信の念が芽生えてもいたしかたない事実が次々と起こります。

 冤罪(えんざい)だとわかっても、疑われ続けた人の時間は返ってこない。

 謝らない警察。

 私が気付かないだけだろうか。

 プロ野球団の学生らへの金銭供与間題に関しても、球団側は謝らない。

 私が目にしていないだけか。

 「おふくろさん」が歌えなくなった歌手が謝ろうとも、作詞家は許さず。

 謝る人たち、特にシステムのトップにいる人たちにとってみれば、自ら起こした事件じゃなく、誰かが起こした事件をたまたま謝る立場にいるから謝るだけのこと、といった感じが見えるのはいたしかたないことだろうか。

 そんな謝罪を繰り返し見せられると、つくづく嫌気がさします。

 謝る側も、謝らせている側も、充実感がないでしょう。

 手応えがない。

 軽い存在になっていく謝罪。

 ここは一つ謝っとくか、という具合に一つの区切りに過ぎない謝罪。

 チャンチャンとオチをつけて、事件を引っ張られないようにするための方便に成り下がる謝罪。

 個人である選手が「悪いこととは知りながら、母親の喜ぷ顔を見て、受け取ってしまった」と謝ったのだけが納得いく謝罪でありました。

 形だけの謝罪はかえって相手の不興を買います。そんな謝り方しかできない企業だったのかと。

 謝り方でお里が知れる。怒り方でお里が知れる。

 落語「大工調べ」の棟梁は、与太郎にサゼスチョンを与えます。大家さんに小言を言われても「だまって頭を下げてろ。小言が上を通っていくから」。

 馬鹿な与太郎に頭を下げる役割を担わせ、交渉は俺がやってやるからと。

 不祥事で頭を下げてるトップの他に、「大工調べ」の棟梁のような人、どこかにいるのでしょうかね。

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by woody-goody | 2007-03-16 06:02 | 社会

ナイ・ホタルイカからアル・ゴアまで

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 わが故郷、富山県には誇れるものがたくさんありますが、その一つにホタルイカがあります。

 事務所の名前を「オフィスほたるいか」にしていることからもわかっていただけると思いますが、私がいかにこのホタルイカを愛でて(めでて)いることか。

 苑でて酢味噌につけて食べるのが一般的ですが、富山弁で言うところのキトキト(新鮮)ならば刺身が最高。中でも一番好きな料理法は、ホタルイカのしゃぶしゃぶ。

 料理というほどのものではありません。

 沸騰した鍋の中に1匹ずつ泳がせるように入れて、茶色くぷっくりふくら忽お湯の表面に浮かんできたのを生醤油にちょっとつけて食べる、これがなんとも言えないうまさ。あー、幸せとため息が出ます。

 富山の春の賛沢ナンバーワンでしょう。

 ところが、今年はホタルイカに大異変が起こりました。

 3月1日の漁解禁日のホタルイカの水揚げが、なんと、たったの9匹!

 9000匹でも、900匹でも、90匹でもなく、9匹。

 この貴重な9匹は、3100円で富山市内の飲食店が落札したそうです。

 地元の新聞でも報道されたのだから間違いありません。

 我が目を疑いましたね。

 記録的な不漁と言われた去年でさえ、水揚げは3キロでした。

 富山の海に何が起こっているのか。

 一漁業歴40年の漁師さんも「9匹なんて、今まで漁師やってきてまったく記憶にない」と肩を落としているそうです。

 もっと不思議なのは、この時期に決して捕れるはずのないブリが網にかかったこと。

 先日、映画「不都合な真実」の書籍版(前米国副大統領のアル・ゴア氏著)を買い求めました。

 帯には「地球のためにあなたができる最初の一歩は、この事実を知ることだ」と書かれ、驚くべき写真とデータの数々が示されています。海抜の低いオランダではすでに水に浮く家を設計するコンペが進められているというから驚きです。

 最後に私たちが具体的にできる10の行動があげられていますが、省エネルギー型の電化製晶や電球に変えるとか、停車中はエンジンを切るとか、こまめに蛇口をしめましょう、といったよく言われること。まどろっこしくとも、地道にコツコツ一人一人が取り組むしかない。中でも、初めて知ったのは、タイヤの空気圧をチェックしましょう、というもの。空気圧を正常にして、車の燃費を上げれば、無駄なエネルギーを防げる。たしかに。

 まわりまわって、ホタルイカの水揚げが増えるよう、まずは空気圧チェックも始めますか。

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by woody-goody | 2007-03-09 05:57 | 社会

学生落語の豊かさ

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 時代の変化を教えてくれるのは、子供の成長やIT機器の進化や女性のファッションといろいろありますが、今回は、私の職場、落語の現場でそれを如実に知らされました。

 今年で第4回目になる「全日本学生落語選手権策伝大賞」決勝戦が岐阜市長良川国際会議場で行われたのです。

 これは、飛騨美濃合併130周年記念と銘打ち、落語の祖と呼ばれる安楽庵策伝にちなんで催されているイベントです。

 毎年、私と桂三枝師匠とデザイナーの日比野克彦さんの妹さんの日比野光希子さんが審査員で参加しています。

 1位と2位の差は文字通り僅差で、審査員泣かせの充実した高座が続きました。

 策伝大賞は、浪漫亭不良雲(ろまんていぶらうん)こと島井謙太郎さん(23)関西大3年生の「禁酒関所」(関西版「禁酒番屋」)、審査員特別賞は、いだけ家大志こと成田芳さん(21)北海道大3年生の「味噌倉」。

 全国29大学から過去最多123人の大学生、大学院生が参加、確実にレベルが上がってきているのを感じました。

 なにより感心したのは、みんな借り物の言葉ではなくちゃんと自分の言葉でしゃべっているということ。

 いかに落語口調で上手にしゃべるかより、自分が感じたことをそのまま自分の言葉でしゃべる、その大切さをわかっている。

 落語ブームのおかげでしょうか。

 中には、あがってしまって、どうしても一つの単語が思い出せず、「えーっと、なんて言いましたっけ?」と素直にお客さんに問いかけ、それが笑えるものになっていたから立派なものです。

 落語を自分のためとお客のため、その両方のバランスがいい。

 アマチュア精神がいい方向に発揮されているのです。

 これはプロの幅より広いかもしれないぞ、と、観客席で笑いながら勉強させてもらいました。

 落語を演じるというより「オレの話を聞け」スタイルが確立された落語は聴いていて気持ちのいいものです。

 いやあ、いよいよ、落語は面白くなりそうですぞ。

 連れて行った私の弟子2人はこれをどう見たでしょう。

 大賞をとった「禁酒関所」は「僅差関所」だったと言いたいくらい参加者全員の差が僅差な会でありました。



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by woody-goody | 2007-03-02 05:58 | 芸能


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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