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大成功、「越中座」

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 全国で落語公演を開く機会が増えましたが、やはりうれしいのは、故郷の富山県の方たちが笑ってくれること。

 22年前に、定期的に志の輔らくごの会を始めたころは、苦労したものでした。私も下手でしたから。

 これは受けるだろうとしゃべっても、はたしてこれに笑ってもいいんだろうかと、互いに左右を気にしている客席。

 富山には、一緒に笑うという習憤があまりなかったのですね。

 回数を重ねることに、あ、笑ってもいいんだと徐々に気をゆるしてくれるようになったお客さま。
こうなると、落語は双方向コミュニケーションですから、舞台と客席に一体感が生まれ、相乗効果で笑いが増幅。

 ところが今や、富山県民は大の笑い好き、と認識を新たにさせられたのが、今年で4年目になる「越中座」

 富山出身や在住の芸人、歌手などが年に一度集まって落語や奇術や歌で楽しむイベントです。

 去年は、立山根雪・ドカ雪と称した謎の漫才師(実は八尾出身の柴田理恵さんと滑川出身の室井滋さん)が目玉。

 で、今年は初の県外からのゲスト、笑福亭鶴瓶師匠をお迎えしました。

 昼夜2公演、2500人のお客さんの笑い声が楽屋にまでどかんどかんと届き、富山県人としてこんなにうれしかったことはありません。

 鶴瓶師匠は、富山に着くや、富山城を通って、楽屋へ入るなり、質問。

 「さっき見てきた富山城、立派やったけど、誰が建てたん?」

 さあ、私をはじめとする10人ほどのみんなは一瞬、目が点に。

 「前田利家じゃないですか?」

 「それは石川やろ、『利家とまつ』の利家やろ」

 「そうですね、えーと、その息子の利長?利次?あれ?ねえ、だれか知らない?」

 うろたえる私にだれも視線をあわせようとしません。

 すかさず鶴瓶師匠は言いました。

 「あんたら、ほんま、富山の人なん?」

 楽屋一同、大笑い。

 私ら、そう言えば「前田の殿様」でずっとやってきたことに気がつきました。

 さあ、鶴瓶師匠は、次はスタッフ、ホールの人に聞きまくる。ついに一人が市役所に電話をかける。市役所の人があわててパンフレツトを持って駆け付ける。ほんの15分のことでしたが、この一部始終を、高座のマクラでしゃべったものだから場内爆笑の渦。

 県外の人から授けられる富山豆知識にうなずきながら笑い転げる人たち。

 そして、発表された文化序国語世論調査によると、「こ苦労さまでした」も「お疲れさまでした」も、本来は上司から部下にいう言葉なのだとか。

 落語界では、師匠にも兄弟子にも「こ苦労さまです」と使うのですがね。

 まだまだ知らないことはいっぱいあります。
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by woody-goody | 2006-07-28 05:55 | 芸能

アリの体内に歩数計


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 最近、ウオーキングが大流行。

 メタポリック症候群とやらが発表されて、歩くのに加速がついた感じです。

 健康法としてもダイエット法としてもストレス解消法としても、いますぐ始められるもっともお金のかからない手軽な手段です。

 まずは歩く、これは基本でしょう。

 歩けば今まで気がつかなかったものが見えてくる。

 いろんな種類の万歩計を装着して歩く人たち。

 ふと地面を見ればせかせかいつも忙しそうなアリ。歩きっぱなしなんじゃないの?あんたら。

 このアリに注目した人がいました。

 アリが正確に巣穴に戻るのは、体内に歩数計があるからなのじゃないかという仮説を立て、それを立証したドイツのウルム大などの研究チームが専門誌に発表。

 おもしろーい、と文化放送の先週放送分の私の番組内で、浜松医大の針山孝彦教授に電話で解説していただきました。

 アリが正確に巣穴に戻るのは、方向は太陽光が基準だとしても、距離をどうやってわかっているのだろうか?

 それが体内歩数計のせいだとしたら、足の長さが違ったら、巣穴に戻れないことになる、と実験を開始。

 まずアリを3群に分けました。

 1 脚に豚の毛の竹馬をはかせて、脚を長くしたアリ

 2 なにもしないアリ

 3 脚を途中で切って(アリは、痛い感覚はないそうです)短くしたアリ

 この3タイプのアリたちを、人間なら2~3キロに当たると思われる10メートルの場所にエサ場をつくり、放すという事件を繰り返しました。すると、エサを運びながら巣穴に戻ろうとしますが、長い足のアリは巣穴を通り過ぎ、短い足のアリは手前で止まり、もともとの脚をもつアリだけが巣穴にたどりついたということでした。

 針山先生は、仮説を立てるのもすこいけど、こういう実証方法を思いつくのが鳥肌がつほどすこい、とおっしゃいました。

 この発見を利用すれば、障害物を避けながら決して壁にぷつからない「ハエ型ロポット」などの「人工知能」に応用できるのだとか。

 私が酔っぱらってもきちんと家に帰るのは、何計が体にあるからかしら?

 私は意地悪くこんな質問を針山さんにしてみました。

 「こんなことを思いつくのは、やはりノーベル賞をとりたいという一心なんでしょうね?」

 「あたりまえですよ。私ら科学者はノーベル賞をとりたくて日夜頑張ってるんですよ」

 あまりの正直さに笑いながら、感動。
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by woody-goody | 2006-07-21 05:52 | 社会

食べ合わせ伝説


仕事がらみではありますが、年に5,6回、故郷富山の実家に帰ります。

10年前に新築した家には、もはや思い出と重なる場所はないのですが、唯一、台所の柱に張られた張り紙は昔のままです。

 「火の用心」の張り紙の下に「食べ台わせ用心」が、縦に3、横に3個、合計9個の食べ合わせしてはいけない食品が、子供にもわかるように絵で描かれています。

 鰻と梅干し、かき氷とてんぷら、カニと柿、ナスと蕎麦、酒とカラシ、ゴポウと鮎、タコと梅の実、マツタケとアサリ、キュウリとコンニャク。

 この張り紙、富山以外の店でも張ってるところがあるそうで、どうも富山の置き薬屋さんが置いていったらしい。この食べ台わせでおなかをこわしたらうちの薬を飲んでください、という宣伝シールだったのかもしれません。

 言い伝えにはなにかしら意味があるようなものもあり、無根拠のようなものもあり。

 でも、今では、鰻と梅干しは言い伝えとは逆に、鰻のよくない成分を梅干しが分解してくれるから一緒に食べた方がいいのだという説もあるくらい。

 私など、子供時分にこの張り紙を見て育っているので、鰻屋のおしんこに柴漬けが入っているだけで「これは梅のシソの葉で漬けたものだから、一緒に食べたら大変だ、この鰻屋はなにを考えているんだろう」と思っていたくらいなのに。

 幼いころのすり込みからはなかなか抜けられません。

 かき氷とてんぷらは、さすが大人になってからは、水と油が腹の中で分離し、いかにも体に悪そうと思っていました。

 ところが、今日、水と油をまぜる方法が開発されたというニュースが飛び込んできました。

 神奈川大の田嶋和夫工学部教授ら産官学連携プロジェクトチームが、界面活性剤を使わずに、水と結びつきやすい微粒子を加えることによって、水と油をまぜ長期間分離しない技術「三相乳化法」を開発。

 これを利用した新燃料を使うと、大気汚染を招く窒素酸化物を大幅に削滅でき、地球の温暖化防止に役立つのだそう。

 画期的なことです。

 そうなると「あの二人の仲は、まるで水と油だね」という言い回しも通用しなくなのます。

 アメリカと北朝鮮にも、この「水と結びつきやすい微粒子」のような仲人が現れ「二国乳化法」技術で、戦争化防止につながれば、もう言うことないのだけれど。
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by woody-goody | 2006-07-14 06:52 | 社会

勝負師に聞きたい次の一手


 当コラムにあれを書こうか、これを書こうか、いろいろ候補があったものの、北朝鮮のミサイル発射ですべてが飛んでしまいました。

 水曜日の朝、寝ぼけ眼でテレビのスイッチをつけた瞬間の驚きときたら。

 一日経過して、ほんとのところはわからないと言いながらも、徐々に状況が明らかになってきました。

 私が一番驚いたのは、防衛庁の「予想外だった」というコメントでした。

 今まで、さんざんあらゆる方向から予想していたはずじゃなかったの?

 万景峰号の半年間入港禁止、送金停止、輸入規制など、怒りを表明する具体的方法としてはこんなことしかないのか、といら立ちながら、でも、これ以上なにをどうすればいいのか思いつかない。

 経済制裁を言いながら、ほんとに制裁になるのかな、もともとなんで経済援助をしなきゃいけなかったんだっけ?

 と頭の中がぐるぐる。

 アメリカの反応が中途半端なら、日本海に面しているロシアの反応も「深刻な懸念」というに過ぎず。

 中国は北朝鮮寄り。

 韓国もどうしたものか、と言いながらも竹島海域にタイミングよくだか悪くだか、入ってくる。

 あれやこれや、知れば知るほど、類推すればするほど腹が立ってくる。

 北朝鮮にも、日本の政府にも。

 政治家と軍事アナリストの解説は十分わかった。

 ああでもない、こうも考えられるとたくさんの情報が入ってくるものの、イライラ感が募るばかりです。

 こう着した状況に、どんどん固くなっていく頭。

 いま私が意見を聞きたいのは、羽生善治氏のような棋土とか、野村克也氏のような監督、カルロス・ゴーン氏のように企業を再建したような方たち、つまりは未来を予測して解決策を提示していける方々の意見です。

 相手の考えを読み、次の一手を考える。

 百戦錬磨の彼らの方が、門外漢であるにしろ、なにか斬新な発想があるような気がするのです。

 もっとも、将棋で言えば、まっすぐ突っ込んでくる「角」や、斜めに突っ切ってくる「飛車」がいたり「二歩」なんてあたりまえ、相手の陣地に入ってもいないのに「歩」がいきなり勝手に「金」になったり、といったルール違反を繰り返す相手となんかやってられないでしょうが。

 北朝鮮の地道な再建をのぞみながら、各国が経済援助を続けてきたのをいいことに、甘えるのもいいかげんにしろ、と。ああ、書けば書くほど腹が立つ。
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by woody-goody | 2006-07-07 05:42 | 政治


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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