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落語一ヶ月公演無事終了

d0051179_5501049.jpg 私事で恐れ入ります。

 パルコ一カ月公演の、いよいよ最終日にこれを書いております。

 身が引き締まります。

 追加公演を合わせれば24回公演、乗り切りました。一カ月間、ずっと東京に居続けたことも初めてであれば、1万2000人のお客様を相手にしたのも初めてです。

 人数だけのことを言えば、武道館で1回やればよかったのに、となりますが、落語だからそうもいかない。第一、私がつまらない。

 ライブの醍醐味は、私の作品を鑑賞いただくのではなく、毎回、違うお客様をお迎えし、公演こと瞬間ことに新たな呼吸を作っていく楽しみにこそあるのですから。

 今となっては初日の1月3日が遠い昔のように感じられます。

 変化し続ける時間を過ごしていると、現在時間の濃密度が増すものなのですね。

 パルコ劇場の舞台のすぐそばにある楽屋は、ほとんど私の自宅状態。

 畳を敷き詰め、テーブルに椅子、愛用のパソコンにラジカセ、本や新聞、布団に枕、たくさんの差し入れやらお花やらが所狭しと並び、そこで横になり、時間がくれば舞台へ。目の前には満員のお客様。

 これって何かに似ていると思ったら、動物園?

 熊かパンダかシマウマも、きっとこんな感じなのかな。

 大雪というビッグイベントもありましたが、昔から雨男と言われた私なのに、ほぼ快晴が続き恵まれた条件の一カ月でした。

 なんと言っても、病気で休演という事態を避けられたことと、なんとか声がもったことがありがたかった。

 こうして一カ月を乗り切れたのは、やはり総勢50名のスタッフの気持ちからもらったエネルギーのおかげです。

 毎日マンネリ感漂うことなく、一瞬ことに変化する照明や音のきっかけ、背景を開けたり幕を下ろすタイミングに真剣に取り組む姿に私の方が励まされました。

 ただただ感無量。
 
 過去9年間に創った作品のリバイバルと、今年のために創った作品合わせて12作品を高座にかけたわけですが、思いがけなかったのは、数年前の作品がまったく古びていないことでした。

 その年を反映させて創ったものが、今でも通用したのです。

 変わらない人間の本質を押さえていれば、年数を経ても古く聞こえないのですね。

 本日は昼夜2公演後、スタッフ打ち上げに突入。先日、「志の輔さん、来年は2ヵ月ですね」などと恐ろしいことをささやかれましたが、冗談ですませられない響さがあるから怖い。

 現在の心境は、最高にしんどかった、でも最高に楽しかった。

 抜け殻のようになる明日からが怖い。

 まだいっぱい残ってる今年をどうしましょう……。
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by woody-goody | 2006-01-27 05:50 | 芸能

東野圭吾さん 祝!直木賞

d0051179_548173.jpg パルコ一カ月公演も半分を過ぎて、あと半分……と思い、感慨にふけっているところへ、嬉しいニュースが飛び込んで来ました。

 東野圭吾さん、直木賞受賞の報。

 実は私、東野さんの大ファンで、1998年にパルコ公演で語りおろした新作落語「しかばねの行方」は、東野さんの「怪笑小説」(集英社文庫)に収められている「しかばね台分譲住宅」が原作なのです。

 小説は、ナイフが背中に突き刺さった死体が、ある集合住宅の家の前に捨てられていた場面から始まります。

 さてこの死体をどうしようか、この家の者、そして同じ集台住宅に住むまわりの人たちが集まって協議を始めます。

 警察に届けるのがこく普通のやり方なのですが、ちょっと待てよと1人が言い出します。

 もしこの事件が明るみになれば、いま住んでいるマイホームの価値が下がるのは目に見えていると、犯人を突き止めることより、そっちの方に神経がいく人たち。

 そこで思いついた斬新な死体処理方法は、近々新しい駅が開通して値があがりそうなよその集台住宅敷地に、この死体を運ぼうというアイデア。いくらなんでも、とブツブツ言いながらも、せっかく手に入れたマイホームの価値が下がる現実に耐えられない住民たちは立ち上がります。

 住民共通の切羽詰まった問題意識が、普通なら考えられない行動を促します。

 夜、みごと死体を運び終えたと思ったら、敵もさるもの、同じ思いだったのでしょう、死体はもとあった場所へもどされてきました。

 二つの集合住宅の間を行ったり来たりする死体。

 かなりのブラックジョークですが、バブル時代、日本中を覆っていた住宅神話を強烈に皮肉った作品でした。

 読後、すぐに落語化したいと思った私は御本人に連絡をとり、会うチャンスを得てお願いすると、「この作品でいいのでしたら、どうぞやってくださいLと快諾してもらい、緊張の糸がほどけたのを覚えています。

 その折、「怪笑小説」「毒笑小説」のような作品をもっと書いてください、と言うと「でもですね、日本ってほんとうに笑いの評価が低い国ですよね」とおっしゃり、私は「同感です」と深くうなずき意気投合したものでした。

 「しかばねの行方」は釈台を前に、講談調に仕上げた新作落語になりました。

 パルコ公演に観にいらして楽屋に寄ってもらったときの嬉しかったことなども思い出しました。

 候補に上がってから6作品目、7年かかった直木賞受賞、この場を借りて、心からおめでとうこざいます。

 受賞作「容疑者Xの献身」は末読ですが、パルコ公演がすべて終わったら、すぐに読もうと思います。この楽しみを目標の一つにして、最終日目指してラストスパートです。
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by woody-goody | 2006-01-20 05:53 | 社会

年明けの気がしない

d0051179_7185220.gif 06年初コラム。あけましておめでとうこざいます。

 いつもと違い新鮮な新年を迎えています。

 というのも、渋谷パルコにおきまして、一カ月公演の真っ最中。

 去年から、ほんとにやれるのかな、と自分で決めたくせに半信半疑が続いていたのですが、いままさに、そろそろ半分に到達しようとしていて、不思議な感じ。

 さきほど、新年を迎えています、とは書きましたが、実はまだ2005年を思いっきりひきずっていまして、年が明けた気がしないのです。

 それは、大みそかにカウントダウン落語会を開いたのに原因がありそうです。

 場所は横浜にぎわい座。400人の満員の観客を前に、午後8時からスタート。

 楽屋では、舞台のモニターと紅白歌合戦が交互に映り、時間が刻々と過ぎていきます。

 私は午後11時からの出番で、落語が終わったのが11時53分。

 舞台には出演者全員と館長の玉置宏さんが登場、会場に流されたNTTの時報を聞きながら全員で「5,4,3,2,1おめでとうこざいます」と盛り上がりました。

 ふるまい酒で乾杯して新年を祝いました。

 終演は午前O時20分。

 そのまま打ち上げになだれ込み、特別に開けてもらったお店で美味なる年越しソバを食べながら、全員でふたたび初のカウントダウン落語会の余韻に浸りながら、気が付くと午前3時すぎ。そのまま近くの神社に出かけ初詣で。パンパンと手を打ちながら皆様の健康を願ったのは一言うまでもありません。

 これからまた、露天の屋台にておでんで一杯やりながら3度目の盛り上がり。あれ?

 これって何かに似てる。そう、なーんだ、ふだんの落語会の後と変わらないじゃん、と浜言葉が口をついて出る。

 当然、元日は昼過ぎまで寝て、パルコの支度に大わらわ。2日はもちろん立川流の新年会です。明日っから渋谷で一カ月、と気をひきしめる。

 カウントダウンをしたので区切りがあったようで区切りがない。

 そこで気が付きました。永平寺の鐘の音を聞いていなかったのです。

 大みそかは心静かに、あのゴーンという鐘の音を耳に、1年あったあれやこれやに思いをいたし、来年のあれやこれやについて考える、そういう40年以上の習憤が体に染みついていたので、体内時計が狂ったのかもしれません。

 でもこういうのは、私たち以上の年代の人たちに起こる現象でしょう。K-1やプライドといった格闘技を観ながら新年を迎える新しい世代の共感は得られないのでしょう。

 というわけで、私の正月はパルコ一カ月公演を終えた2月、どこかの国のように旧正月で迎えることにいたします。
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by woody-goody | 2006-01-13 23:57 | 芸能

休載

今週は休載です。
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by woody-goody | 2006-01-06 10:56 | 休載


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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