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組織のほころび

 沖縄から帰ってくる飛行機の中での出来事です。

 機内の座席は、左右に2席ずつ、真ん中は3席。

 私は真ん中の3席の右端でした。通路をはさんだ右側の2席のうち、窓側には男性が一人座っていました。

 さて、そこへ20歳くらいの若いカップルが乗り込んで来ました。

 私のそばまで来て、彼女の方が言いました。

 「あれ? 並びじゃないじゃん」

 言われた彼は、え?そんな馬鹿な、という返事。

 この会話を聞いた私は、すぐさま、ひょっとしたら私が間違えて彼女たちの席に座っちゃったんだろうかとチケットを確認しましたが、そんなこともなく。

 要するに、2人は離ればなれの席になっていたのです。

 「乗務員に言いに行こう」

 乗務員と彼が話し合っている会話が聞こえてきます。

 「並びじゃないんですけど」

 「申し訳ございません」

 「どうすればいいわけ?」

 「地上係員のほうで座席は決めておりますので、こちらで……」

 「でも、同じ会社の人がやったことですよね。1時間半前に予約してるんですよ。2枚出せば、普通、並びでしょう。もしそれができないんなら、その場で説明するのが普通でしょう?」

 「それでは、お客様が全員お乗りになってから調整いたしますので、少々お待ちくださいませ」

 要約すると、こんな感じの会話が続きました。

 そのうち彼女は言いました。

 「あたしはいいよ、我慢するから」

 そのときの彼のセリフがよかったのです。

 「ダメだよ。こういうことはきちんとしないと」。私は、そうだ、その通りだ、と心の中で応援していました。

 持ち場が違っても同じ会社なんだから、他の部署の人がしたことでも、こちらではわかりません、では無責任すぎるぞ、と。

 乗務員の様子には、面倒なお客様に当たっちゃったなあ、という様子がありあり。

 結局、席を替わってくれるお客様がみつかって一件落着しましたが、彼が筋を通したことに心の中で拍手を送りました。今回、彼が踏ん張ってくれたおかげで、乗客に対する細かい神経が少しは復活するかもしれません。

 別々の席に座ることのほうが楽だったでしょう、彼女の手前もあったのでしょうが、なんにしてもあえてきちんとケリをつけた君の態度に好感を持ちました、ガッテンオジサンは。

 いま日本中あちこちで組織がおかしくなっています。マンションひとつまともに建てられない大人に比べれば、最近の若者のほうが、なかなかやるわいと思った小さな事件でした。
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by woody-goody | 2005-11-25 08:31 | 社会

クスリはリスクか!?

d0051179_544519.jpg ここのところ、周りでマスク着用者が目立ち始めました。風邪は万病のもと。しかもインフルエンザときたら、どうしようもありません。そこへ現れた救世主、タミフル。インフルエンザのウイルス増殖を抑える作用があるというから期待が高まります。

 ところが、薬を服用した少年が異常行動を起こし、その因果関係を調べるという事態に。たしかに、タミフルの使用上の注意には、「意識障害、異常行動、幻覚、妄想などが現れることがある」と明記されています。

 専門家、山野美容芸術短大教授中原英臣さんは「薬は基本的に副作用があるもの。今の時点で言えることは、注意書きをよく読んで、おかしいなと思ったら、医者に相談すること。子供の親は、ちゃんと変わったところがないか、様子を見ること」と。

 何かに効く薬は何かにはよくない、というのはしごくもっともな話。そんな中、今度は、エイズ患者であるイギリスの男性が特別な治療も受けないまま、エイズが治ってしまったというニュースが飛び込んできました。

 専門家も汐な首をかしげ、事実を確かめ、やはり事実らしいという結論が出、さあ、そうなると、これでエイズワクチンができるかもと色めき立ちます。もしできたらこれはノーベル賞ものでしょう。

 もう一つ、薬関連で興味深かったのは、作家の石川好さんがインタビューに答えた記事コラム「インドと私」。石川さんは、血流障害とリウマチを併発し、日本では治らず、インドの専門病院に入院。徹底した分析を受け、ふさわしい治療法として腹式呼吸などを聞き、化学薬品には一切頼らず、ヒマラヤの薬草のエキスをブレンドして飲む……などするうち、体調は大幅に改善したというから驚きです。

 聞くと、なるほどと納得したのですが、人口11億人の大国インドには熱帯地域もあれぱ、ヒマラヤの高地まで、さまざまな自然があり、あらゆる種類の病気がそろっていて、あらゆるデータがとれるので、医者も腕を磨けるということがあるらしいのです。多い症例に多い治療方法。人
口が多いということはこういうことなのですね。厚生労働省の予想では、今年のインフルエンザが流行すれば死者は最大64万人!タミフル頼みだったのに。

 副作用とインフルエンザはどちらが体に悪いのか。ぎりぎりの選択を迫られそうです。なんにしろ、大事なのは免疫力。笑いが免疫カアップにつながるのはもう常識。特に落語は、副作用少なく体に効くんです。

 11億人とは言えませんが、私もかなりの方に落語を提供してきました。たま?に、落語を聴いて異常行動に走る(演者が言う前に先にオチを言うなど)人もいるようですが、さほど人に感染するものでもないようなのでオススメです。
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by woody-goody | 2005-11-18 05:44 | 社会

合併しても祭りは不滅

d0051179_5555273.jpg 市町村台併の例に漏れず、私の故郷、富山県新湊市も射水(いみず)市になりました。

 以前から決まっていたこととは言え、毎年恒例の私の落語会「新湊落語の日」が「射水市誕生記念落語会」になると、うれしいやら淋しいやら。

 この、3000あった市町村を2000にした平成の日本列島大改造ってなんだったんだろう、政府がこのことに補助金を出す真の狙いはなんなんだろう、と考え込んでいたそんな折、落語会が終わった後が凄かった。

 本来は10月1日に行われている「曳山(ひきやま)まつり」を、私の落語会が終わった午後4時半から、再現してくれたのです。

 そう、飛騨高山でも有名な曳山です。祇園祭の山車に似て、と言った方がわかりが早いでしょうか。

 七つの曳山が、合併によりなくなる新湊市役所の前に集合、元新湊市長が挨拶。

 それに続いて、私にもマイクが手渡されました。

 大勢の市民のみなさんに「今日は私のために、曳山を出してくれてありがとう!」と言うと爆笑。もちろん「あんたのために出したがやないが」という全員からのツッコミ笑い。

 「わかっています。新しい市の誕生祝いの曳山でしょうが、私にとってこの曳山は30年ぷりなんです。まるで自分のためにやってもらったような気になりました。そんな気持ちそのままに今宵は心ゆくまで楽しませてもらいます」

 かつて新湊で、「イヤサー、イヤサーLというかけ声をかけながら、大人にまじって曳山を曳いていた子供の頃の自分。

 「志の輔さん、乗ってみられ」とハッピを着た若い衆から声をかけられ迷っていると、大勢の手が伸びて私の体を持ち上げ、気が付くと曳山の正面にいた私。

 手にハタキを渡され「あんたの掛け声で、動くがやからの」と言われれば、もうすっかり祭りの中心気分。

 幼い頃からの夢がいきなりかなってしまい呆然。私がふるハタキで曳山が動いているような見事な錯覚がうれしい。

 「イヤサー、イヤサー」掛け声をかけるうち、涙が頬をつたいました。

 町中を駆け回り、テニスコートで白球を追っていた自分、落語家になるなんて思ってもいなかった自分。

 「志の輔さん、あんたしっかり声出せやー」

 我に返ると全員が私に手を振ってくれています。懐かしい顔もいっぱい。

 全国祭りは数々あれど、やはり自分が育った地元の祭りは、格別です、感動です。

 行政区分は変わっても、地元のお祭りスピリッツは不滅でした。
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by woody-goody | 2005-11-11 05:56 | 列島各地

休載

今週は休載です。
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by woody-goody | 2005-11-04 16:01 | 休載


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

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