カテゴリ:芸能( 75 )

大学でが多い落語界

d0051179_22301522.jpg今や、大学出が当たり前のような時代になりました。

 昔、先輩の落語家はよくこう言ってたものです。

 「近頃は、大学出の弟子がたくさん来るようになりました。落語家なんてね、大学を出てまでやるような商売じゃあありませんよ」

 これで笑いがきました。

 落語家は言うに及ばず、たしかに芸事一般は、年がいかないうちに、理屈が出ないうちに、体に染みこませてしまった方が早く身に着くし、学問は芸事にはあまり必要とされていませんでした。

 かえって邪魔になるくらい。

 そして、さっきの先輩のセリフが出た頃は、大学出という肩書きに大変重みがありました、記憶力もあり、知識も蓄え、勉強もし、大学に入って出たけだから、当然、一般の人よりかしこい、そんなえらい若者が入ってくるようなえらい商売じゃないんですよ、落語家は、という卑下を合めての発言でお客様を笑わせていたのです。

 しかし、現在の落語界は大学出身者の方が多いのではないでしょうか。

 かく言う私も大学出です。

 私も弟子も大学出身。それも筑波大、琉球大、農大、あげくのはてに、アメリカは工ール大学卒業(本当なんですってば)。

 思わず笑ってしまうほどの高学歴。

 自分のことを棚に上げて言うなら、弟子全員、そんなすこい学歴があると感じさせないところがえらいと言えばえらい。

 今や、私立大学の定員割れが加速され、経営難で大変だそうです。

 そりゃそうでしょう、こう少子化になれば。

 でも、考えようによっては、本当の大学の意味が問われるのはこれからです。

 受験に受験するための今までの大学制度は本来的におかしい。

 やれ偏差値だ、六大学だと、ただただ就職有利のための「肩書き」入学は、入る方にも入れる方にも充実感がないのでは。

 合格が目的になり、いざ大学に入るやいなや、もう遊ぷ遊ぶ。

 もちろん私のことです。

 私の場合は、童謡の「どじょうが、お池にはまって、さあ大変」ならぬ「落語にはまって、さあ大変」で、落語研究会通いの日々でした。

 ○○大学中退、というのがかっこいい響きをもったのは、厳しい受験戦争を勝ち抜きやっと入った大学だったからこそ、そこを中退するというのは、よほどの野望を胸に秘めてのことだろう、というのがあり、○○大学申退という人を羨望のまなざしでみつめたりしたものでした。

 実際、中退で世間に出て独自の才能を発揮している方々が多いのです。

 アメリカの大学では、入り口は広く、出口は狭いと言われています。

 日本の大学も、誰でも入れるけど、よほど勉強しないとなかなか卒業できないシステムになれば、本当の意味での大学の姿に近づくのではないでしょうか。

 大学に長く在籍されると、親の金銭的負担が増える。となると、なにがなんでも勉強したい若者だけが大学に行くよう自然淘汰される。

 少ない子供たちで多くの高齢者を支えていかなきゃいけない将来、数は少なくても優秀な青年を育てないと日本は危ないのです。
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by woody-goody | 2005-07-29 22:32 | 芸能

リアクション

d0051179_6562231.jpg このコラム、気が付けばのべ9年書き続けていて、年間40本としてもざっと360本になります。ということはほぼ1年間、毎日日記のように書いたという計算になります。

 反応があったときは嬉しいですね。

 禁煙宣言をしたときは多くの方から励ましのお手紙をいただきました。今は挫折してしまったとは言え、あんなに他人の健康を気遣ってくれる人がいるなんて。

 「ボケ老人」が「認知症」とネーミングが変化したことについても、現場で働く看護師さんから丁寧なファクスをいただき「認知症」に関する私の認識を新たにしたこともありました。

 先週クール・ビズについて書いたコラム「単なるファッションショーに終わらせずに、最終目標である地球温暖化防止に実際にどれほどの効果があったのかきちんと報告してほしいLに対しては、「チームマイナス6%」という、京都議定書で決められた二酸化炭素6%削減推進チームからお手紙が。

 送られてきた資料の「CO2、削減のための6つのアクション」を御紹介すると、冷房は28度に、商品買い換えはエコマーク付きを、アイドリングストップ、スーパーではマイバッグを、コンセントはまめに抜く、蛇口をこまめに閉める。こんな地道なことを一人一人が実行すれば温暖化ストップにかなり役立つ。このチームの一番言いたいことは、地球はほんとにいまヤパイという実態を国民に知らしめること。こういうのって、説明がやさしすぎると漫画チックになるし、難しすぎると共感が得られない、どういう表現をすれぱ思いがダイレクトに伝わるのか、その苦労が
資料やグッズににじみ出ていました。

 もう一つあった反響は、4月に2週に渡って書いたブロードウェー観劇コラムに対してのもの。なんとトニー賞授賞式ノーカット版放送番組の司会の依頼がきたのです。ミュージカルには門外漢の私ですが「演劇体験より興奮体験を語ってください」と言われ、俳優、山本耕史さんと映画評論家、渡辺祥子さんと出演することになりました。

 お二人の話が面白く、あっという間に収録時間が過ぎました。

 アメリカ演劇界のアカデミー賞と言われる、ブロードウェー舞台人にとって最高の栄誉あるトニー賞表彰式。

 日本の表彰式の概念を覆すようなショーアップ度。

 司会者が喋り歌い踊り、ユーモア抜群の受賞者のスピーチが続き、ノミネートされたミュージカルの一場面がステージ上で生で演じられる豪華さ。私がブロードウェーで見て一番興奮した「モンティパイソンのスパマロット」の一部も放送されます。

 日本から初めて宮本亜門さん演出「太平洋序曲」が4部門でノミネートされたことは快挙でした。

 ミュージカルに詳しくない私が楽しめたぐらいですから、ミュージカル食わず嫌いの方々もぜひどうぞ。

 放送は、明日6月18日午後7時半から2時間半、NHK衛星第2放送にて。理屈抜きで楽しめます。

 
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by woody-goody | 2005-06-17 06:56 | 芸能

文楽落語、驚きのコラボ

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 久々に「想定外」のライブを体験しました。

 「想定外」という思いを抱いたのは、お客様だけではなく、演者である私自身にとってもスタッフにとっても「想定外」の、いわば事件と呼んでもいいようなことが起こったのです。

 そう、先日の本多劇場での「志の輔らくこin下北沢vol.2文楽篇」のことです。

 当初は、私の落語独演会に文楽の方をお招きして、トークで盛り上がり文楽人形の魅力をお伝えできればくらいのことを考えていました。早々とチケットを買ってくださったお客様もその思いは同じであったろうと思われます。

 ところが、出会った人形遣いの吉田一輔さんという方が、東京で落語を見に来るお客様に文楽をお見せできる機会をくださるのであれば、どうせならと、どんどん夢はふくらみ、本多劇場に櫓を組んで「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」(八百屋お七)を本格的に見せたかと思えば、休憩をはさんだ後半では、なんと私が義太夫を語ることにまでなってしまったのでした。

 最初は落語「猫忠」で始まり、このまま落語が続くのだろうとお客様が油断したそのすきに、猫が「実は……」と人間様をだますことになった経緯を告白する場面から一気に文楽の舞台へ。早変わりでカミシモをつけた私が語るその節にあわせて三味が鳴り、合いの手が入り、母親猫父親猫、2匹の子猫、魚屋の親父の文楽人形が跳んだり跳ねたり、バックに雪が積もった野原の幕が下りるや、猫の親子の涙の別れに。で、この後、再び落語場面に転換、義太夫から落語家になった私がサゲヘすすむというスペクタクル。

 いま思い出してもよくやったと思います。

 開幕するまでの、先が読めない緊張たるや半端じゃありませんでした。本音は「見切り発車」「土俵際のうっちゃり」「結果スペシャルOK」「瓢箪から駒」「なりゆき」……。

 ところが、文楽落語合体舞台がお客様の目の前に表れるや、ええ!まさか!嘘!

 信じられない!といった空気が舞台に座る私にビンビン伝わってきました。さあ、こうなると私もノルノル。

 私が言うのもなんですが、想定外の興奮の筒簿坩堝(るつぼ)。坩堝なんて漢字をこんなところで使うことになろうとは……。

 お客様からは、人間よりも人間らしく感情表現をする文楽人形に感嘆の声が続々。

 義太夫があるからこそ、命が吹き込まれる人形の切なさはかなさ。「キリであけた穴からどんどんイメージがふくらみました」「こんな大舞台、ここ限りじゃもったいないです。あー目が覚めた」

 文楽と落語と義太夫の日本初(つまり世界初)のコラポ、いま一度、という呼び声高く、私も落語「寝床」の素人義太夫よろしく、私の語りに台わせて人形が動く快感を知ってしまい、しかし、最初にこんな凄いステージができてしまうと、さて、次回はどうすりゃいいの?と移動の車の中
で義太夫の節で口ずさんでいる私。

 ああ、こわ。
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by woody-goody | 2005-06-03 13:31 | 芸能

文楽と志の輔らくご

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 昨日から、この時期垣例の下北沢本多劇場ライブが始まっております。ふう。

 29日までの公演なので、これからいらっしゃる方のために詳しく書くのは来週以降にさせていただきますが。

 今年ですでに12回目を迎えたこの公演。

 今までは、たった一人で、トークに一人芝居に落語の3本立ての構成でしたが、今回初めて総勢10名の「文楽」の方々をお迎えしています。

 実は、去年は1年間、満月の夜に、京都は茂山家の皆さんを迎え、落語と狂言のジョイントの会「満月の會(かい)」を11回行いました。

 そこで伝統芸能の楽しさを発見したのです。

 私が文楽と衝撃的な出会いをしたのは忘れもしない5年前のことでした。

 「仮名手本忠臣蔵」の通し公演は圧巻でした。

 劇場に入れば流れるのがあたりまえと思っていたBGMもなく、張りつめた空気の中、チョン!チョン!チョン!と析(拍子木)が入り開演が告げられました。

 上手には義太夫語りが見台を前に座り、三味線弾きも2人、わきを固めています。

 舞台正面には屋敷のセット。

 語られる内容は皆目わからず、ただただ気持ちのいい声が調子のいいリズムにのせられて耳に入ってきます。

 まるで外国人になった気分です。これから長時間、私はこの状態に堪えられるのかどうか不安がよぎったそのとき、下手から人形が出て来ました。

 3人一組で一体の人形を操作する人々。

 2人は黒子で顔が見えず、ただ一人顔を見せているおじいさんは人間国宝なのだとイヤホンガイドが教えてくれました。

 最初は、人形を使う人間の方ばかりに気をとられていたのが、あら不思議、徐々に黒子も人間国宝も視界から消え、なんと人形だけが見えてきたのです。すでにそれは人形ですらなく、それはそれは色っぽいうっとりするような一人の女がそこにいたのです。ふとした首のかしげ方、たもとに添える手の……これをたおやかと言うのでしょう、現実ではあまりお目にかからない恥じらいのある女性がいたのです。聞こえるはずのないこの女性の声を聞いてみたい、と切に願う私がいました。

 最後は、討ち入りを終えた赤穂浪士が勢ぞろいをして主君へ報告する場面。身じろぎもせずさまざまな思いを胸にそこにいる12,3体の人形。緊迫した空気と時間が流れ、私の耳には確かに彼ら一人一人の心臓の鼓動がドクンドクンと聞こえたのです。

 私が文楽から得たそんな感動をお客様にも味わってもらえれば。

 そして、私のライブですもの、趣向もないわけがない……。

 いらっしゃれない方々には、いずれこの紙面で御報告、相務めまーす、チョーーーン!
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by woody-goody | 2005-05-27 07:05 | 芸能

もったいないチャンス

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 日本には「もったいない」というこんないい言葉がある、と耳にしたノーベル平和賞のワンガリ・マータイさん(ケニア副環境相)の提唱もあり、地球規模でこの動きを広めようと毎日新聞がキャンペーンを繰り広げています。

 それにしても偶然とは言え、マータイとモッタイナイは似てる。マータイさんがこの言葉に強く反応したのはこの語感があったからかもね、と思っていた折り、現在の落語ブームについてインタビューされる機会がありました。

 ブームという言葉が使われると、必ず言われるのは、ブームは必ず去るという否定的概念。

 でも、でもですよ。

 たとえ、いずれ去ったにしても、何もなかった頃より落語に関心のある人たちの数は確実に増えるのです。

 ブームを契機にしてたくさんの人が落語に触れます。ある方々は、舞台美術もなにもなく、座布団に座った一人の男がただ話すだけという形式につまんな~いと感じるでしよう。

 が、逆にこのシンプルな形式を面白く感じる人もきっといるはずなのです。

 そのパーセンテージは少ないかもしれません。

 でも1000人のうちの100人より、1万人のうちの1000人が残ってくださればいい。

 今までなら、「どこへ行くの?」と聞かれて「落語を聞きに行くの」と答えれば「え~。落語お~、なんで~、年寄りみた~い」と言われたものが、「ああ、そう言えば、今、はやってるよね、落語。へ~え、面白いんだ。若い人が聞いても面白いの?」という反応が返ってくるかもしれない。それでいいのです。きっかけはなんでもいいのです。

 とにかく、言葉からいろんな情景を思い浮かべる思考回路を楽しめる方々が増えればいい。そんな習憤を楽しいと感じてもらえる方々が増えるといい。

 だって、生涯落語を知らずに死んでいく人を少しでも減らしたいと思って、私は全国へ落語を語りに出かけているのですから。

 この落語ブームの機会を逃すのは、まさにもったいないと思うのです。

 「もったいない」の語源「そのものの値打ちが生かされず無駄になるのが惜しい」からいくと、まさにこの落語ブームを生かさないともったいない。

 このブームは、みなさんが落語に触れる千載一遇のチャンスなのです。

 冷蔵庫の中で干からびたカラスミも、賞味期限が過ぎた鰻頭ももったいないけれど、新たなチャンスを生かし切らないのももったいない。

 そう言えばナタデココはどうなったの?ティラミスは?モツ鍋は?と言う具合に、そう言えば落語は?と言われるようになるかもしれない。でも、落語の奥深さを知り、汲めど尽きせぬ魅力に
離れられなくなる人だってきっと出てくる。

あなたにその一人になってほしいと祈っています。

(以前の記事はhttp://www.bluestone.co.jp/chikutan/shinosuke/theme/backnumber1.htm)
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by woody-goody | 2005-05-20 20:17 | 芸能


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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