カテゴリ:列島各地( 40 )

「ふるさと」歌えない

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 日本列島、各地で落語公演をしていると、これは笑えるか笑えないか? あれはどうか? それは? と地域によって、時期によって、言い方によって、いかに差があるかを毎日肌で感じています。

 同じ人であったにしても、昨日笑えたことが今日は笑えないということだってあります。

 去年に引き続き、今年も民謡歌手の伊藤多喜雄さんと一緒に、岩手県の野田村と、NHK「あまちゃん」の久慈市の2カ所で開かれた「落語会とコンサート」に行ってきました。

 その日は今年一番の冷え込みという日で、早朝の東北新幹線で東京駅から2時間半で二戸駅に到着。そこから1時間半、迎えの車で野田村へ。

 車中から見える穏やかな海、津波に襲われたことがうそのよう。

 がれきもほとんどみかけることなく、きれいな畑が続いていました。

 運転してくれた案内人は津波に襲われた時の状況を話してくれました。

 左に見える三陸鉄道の線路が今走っている車道を越え、右側のはるか向こうまで流され飛ばされたこと。

 久慈市が「あまちゃん」でいかに盛り上がったかも聞きました。

 放送開始の春は1日100人だった観光客が、夏には1000人になり地元の対応がおいつかず「もしあの時期に来ていただいていたら、とても落語会どころじゃなく、移動もままならなかったでしょう」。

 夜は久慈市へ。

 どちらも仮設住宅にお住まいの方々や地元の方々。

 高齢の方々も多くいらっしゃいましたが、膝に毛布をかけ、寒い中を最後まで楽しんでくださいました。

 打ち上げの席では村長さんがおっしゃいました。「やるしかないので復興に向けてがむしゃらです。当初に比べれば村民も明るくなってコンサートでも落語でも芝居でも楽しむ余裕ができてきましたが、まだ『ふるさと』を歌えるまでにはなっていませんね」

 一瞬、話の意味がつかめずよく聞いてみると、素晴らしいコンサートの最後に、歌手が思いを込めて「みんなで『ふるさと』を合唱しましょう。うさぎ追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川……、みなさんもご一緒に」と言われてもお客さんは涙が止まらなくなり、歌が声にならないんだそうです。

 少しずつでも確実に復興されてはいるけれど、まだ「ふるさと」を歌うまでには至っていない、この表現がここ被災地の現状を一番的確にとらえているような気がしました。

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by woody-goody | 2013-11-15 13:02 | 列島各地

輝ける「かがやき」に

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 私も弟子に名前をつけるのに苦労していますが、ネーミングってほんと難しいですね。

 自身、師匠談志から「志の輔」という名前をもらったとき、えっ、と思うくらい違和感がありました。

 これで一生いくのか?と、喜びより不安の方が大きかったのです。

 若いお客様がくださったアンケートの中には「『しのほ』ですか?」というのもあったくらい。「輔」は読めない。たまたま永六輔先生がいらしたので「永先生のスケです」と説明できたから助かりましたが。

 明石家さんまさんも、師匠から「お前は、さんま」と芸名を告げられたとき、芸人やめようかと思ったそうです。

 それが今では、ご存じの通り。

 つまり、名前は本人がつくるものです。

 2015年、私の故郷富山県の悲願「北陸新幹線」がいよいよ開通の運びとなりました。

 私も、さまざまなイベントに出演を依頼され、盛り上がりの一助を担う予定ですが、この車両のネーミングが「かがやき」に決まりました。

 これが思わぬ論議を呼んでいるそうです。

 というのも、公募した名前の1位が「はくさん」なのに採用されなかったから。

 「加賀行き」をもじったんじゃないの、とか08年の「長野かがやき国体」と関係があるのかとか臆測が飛び、またこれは初めて知ったことなのですが鉄道のネーミングには格があるのだそうで、鳥の名前や天文事象が上の格なんだそうです。

 はくちょう、はやぶさ、つばめ、あけぼの、カシオペア、北斗星が思い浮かびます。

 その次の格は山、川の名前と続くそうな。

 落語「寿限無」は、子供がいい生涯を送れるよう、和尚から教えてもらった縁起のいい言葉を全部つけて長くなりすぎて困った話。

 今や、全国的に小学生がすらすら早口言葉のように言えるくらいに有名になりました。

 また、銀行の合併により、どちらの会社も名前を残したいがために、「三菱東京UFJ」など、なが〜い名前になってしまって、今に「寿限無」のように、全ての銀行名がプラスされてさらにながーくなったら、いっそ「銀行」という名前にしたらどう?というのは冗談で落語のマクラでしゃべっているのですが。

 さて、「かがやき」が本当に輝くかどうか、列車の魅力をいかにアピールできるか。決まった上は、フレー、フレー!

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by woody-goody | 2013-10-18 11:53 | 列島各地

東北の温かさ、地道さ

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 好きなテレビ番組の一つに「秘密のケンミンSHOW」があります。全国の県民気質を面白く紹介する番組で、全国を落語会で動いている私にとってとても重宝な番組でもあるのです。

 先日のテーマは「この県ではノリツッコミができるか?」というもの。

 ノリツッコミとは、ありえないことを相手から言われた場合、普通なら「それはないでしょう」と答えますが、それでは面白くないので一度、相手の会話に乗ったと見せかけて、その後、「それはないだろう」と相手にツッコミを入れるという二段構えの笑いの作法。

 笑いが二度とれるので、お笑いの方たちの間では常識になっている手法です。

 あ〜、こういうふうに説明すると急につまらなくなりますね。

 でも、これを実際にいろんな県で、道行く人に投げかけてみた様子が放送されていたのです。どういう方法で県民のノリツッコミ度を測るのか、これが時代に合って秀逸でした。

 記憶に頼っているので忠実に再現されてないことを初めにおわびいたします。

 ディレクターがまず「あなたと話したいという人と電話がつながっているんですが、出てもらえますか」

 OKの返事をもらうと、すかさずディレクターが手渡したもの。それは大きなナスビです。この瞬間の反応が千差万別。

 笑いの街、大阪はさすがなのです。

 渡された10人が10人、喜んでナスビを受け取り、携帯電話に出るように耳に当てて「はいはい、もしもし、私やけど」と電話に語りかけノッてボケたあと、絶妙な一拍があって「……って、あほかいな!」とツッコミが入るのです。一人ノリツッコミ。高度な笑いの技を普通の人がこなせる大阪、恐るべし。大阪のパネリストが言いました。「大阪では、これができんと生きていかれへん」

 沖縄では、「これはナスでしょう」とニコニコ。おおらかだなあ。

 さて、東北の場合。

 真顔で「なんだって? これで何しろって? 話すの? ナスビじゃできないでしょう?」

 その通りでございます。この真面目さ、地道さ、温かさが東北を、東京を、日本を支えてきたのです。

 去年に引き続き、気仙沼で「気仙沼寄席」を終え、いまだ熱い余韻に浸っています。

 糸井重里さんの「おもいやり」企画に、気仙沼の「おもてなし」心。

 たくさんの皆さん。ご来場、本当にありがとうございました。

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by woody-goody | 2013-10-11 12:31 | 列島各地

心あたたか奄美時間

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 先日、生まれて初めて奄美大島に行って来ました。

 羽田から1日1便しか出ない直行便に乗って2時間半、人口6万人の島。気温が東京と違うのはあたりまえですが、風も違う、人も違う、厳密に言うなら沖縄とも違う、それはそれは穏やかな時間が流れていました。

 主催者の方が「ケイハンでも食べられますか?」。

 「は? ケイハン? ええ、喜んでいただきますよ」

 ケイハン、なんだろう、わからないながらも楽しみに店に入ると、5分もしないうちに出て来たのは、鶏飯。ニワトリから出ただしでつくったあつあつのスープを、シンプルな具をのせた御飯にかけて食べるのです。いわば、お茶漬けのようなもの。これがうまいのなんの。

 田中一村という孤高の画家の記念館では、館長になった元NHKキャスターの宮崎緑さんに解説してもらい、なんとぜいたくな時間。

 たった2日しかいませんでしたが、感想を一言で言うなら「人が親切」に尽きます。

 帰りの空港レストランでは、こんなことがありました。

 おじいさんが一人テーブルに座っていました。注文を聞いたウェートレスと違う女性がやってきて言うには「お客様、どこ行きの飛行機にお乗りですか?」「喜界島だよ」とおじいさん。「いまご注文されたのですと出発までに食べきれないと思いますよ。違うものにされますか? やめられますか?」。判断できないおじいさん。

 「少ししたらまた来ますね」とその女性は去り、またやって来ましたが、新たな注文は決まっていません。そこでまた別のお姉さんがいなくなったと思ったら航空会社のカウンターのお姉さんを連れて来ました。

 そしてそのお姉さんは言いました。

 「お客様、今から注文されても間に合わないと思いますよ。そろそろ行きましょう」とおじいさんの体を支えるように店を出て行きました。

 知り合いでも親類でもないのに、心の底から心配の風情。久しぶりに「人の会話」を聞いた気がしました。

 送りに来てくれた主催者が「昨日の落語会に来たお客様が、久しぶりに泣き笑いしたとおっしゃってましたよ」と言ってくれましたが、こちらはこちらで、そこかしこで心あたたまるシーンを見せてもらっていい思いをした奄美時間でした。

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by woody-goody | 2012-11-09 12:11 | 列島各地

浦安、目黒、気仙沼

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 私の落語会で欠かせない出囃子(でばやし)の方たちとの付き合いは、もう10年にもなります。

 長唄三味線の方々です。

 その中の一人が千葉県浦安市美浜に住んでいる女性の名取さんです。

 浦安、と聞いただけで「液状化現象、大変だったでしょう」と気付く方も多いはず。

 彼女いわく、液状化現象で、自宅は26度も傾いて、水は出ないわ、当然のことながらトイレは使えず、仮設トイレもあふれんばかり。ならばと、トイレをホテルに借りに行く。すると宿泊客に限ります、と言われてあきれたり、一方、その近くの別のホテルでは、本当に丁寧な対応で貸してくれたそうです。しかも、作業着の男性がロビーのソファでぐったり寝ていても、そっとしておいてくれたそうで、非常事態での対応のあまりの違いに驚いた、と。

 困っているときに、あたたかく接してくれたこのホテルには、いくら感謝してもし足りない、と彼女は目をうるませて言いました。

 現在の浦安の道路は、いまもつぎはぎだらけ。

 もともと埋め立てて平らにつくった街なので、地面の下が空洞化して危険ということで閉鎖になった公園もあるそうです。

 通りすがりに見えるのはなんとか傾きを直した家、まだまだそこまでいかず傾いたままの家、くずれた門扉や外壁。

 そもそも液状化の専門家は日本には数えるほどしかいないそうで、いったいこの土地はこれからどうなるのか、不安を抱えくすみがちになる街の人たち。

 そこで、せめて笑顔をいっときでも、と言う彼女とともに、「浦安市民だけの落語会」を企画しました。

 すぐに実現に向けて市役所に相談をもちかけ、とんとん拍子にことが運んだのです。

 思いは届き、1000人以上のあふれんばかりの笑顔に喜ぶ彼女。

 話は変わりますが、今度の日曜日には「目黒のさんま祭」も行われます。

 今年3月に気仙沼で開催された、糸井重里ほぼ日新聞共催の「目黒のさんま寄席」には全国から1000人の観客が訪れ、その収益金が、今回のさんま祭開催の一助にもなったようです。

 気仙沼パワーを後押しする気持ちで、ぜひお出かけくださいませ。

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by woody-goody | 2012-09-14 13:00 | 列島各地

「気」仙沼の「気」は消せん

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 朝7時、東北新幹線の一ノ関駅に降り立つと、地元のコーヒー屋さんが車で迎えに来てくれていた。この方のお店もまるごと津波で流されてしまったが、車中、努めて明るく話す様子に、外から来た者への気遣いが感じられて温かい気持ちになる。

 さあ、いよいよ「さんま寄席」のスタートだ。

 約1時間半かけて気仙沼に到着。

 海岸から何キロもあるのに、津波で運ばれた大きな遠洋漁業の船が横たわっているのを見ると、覚悟していたとは言え、ぎょっとなる。

 こんな大変な目にあった方々の前でいったいどんな落語をやればいいのだろう、と気持ちがどうにもあがらない。

 と、車の外をみやると会場への案内プラカードを持った東京から来た若者が町の角ごとに立っている。

 初めて気仙沼に降り立った彼らが、後から来る1000人のお客さんがスムーズに会場にたどりつけるようにと頑張っている姿に、この一瞬で私にスイッチが入った。

 主催者糸井重里さんとのコタツトークをはさんで、私の落語2席の後に、地元の方々による大漁祝い歌「どや節」が披露された。

 自分で言うのもなんだが、本当にいい落語ができた。

 これはとにかく、町中にあふれていた「気」の塊のおかげだと思う。

 主人公は誰でもない、気がついたらみんながつながってできあがったいい時間と空間。企画をした糸井重里チーム、現場の運営をしてくれた気仙沼の人たち、東京から訪れた1000人以上の人たち。

 名目は観光でもなんでもいい、とにかく被災地の現状を見てほしい、そしてそれを伝えてほしい、という「気」のすごさ。

 なにかしたいという潜在的な気持ちをこの会をきっかけにつかみたいと集まった人たち。三位一体という言葉があるけれど、まさに、これほど「気」が充満してそろった会場で落語がやれたことを幸せに思います。

 沖にいる船が、陸にカツオの収穫高を知らせる「大漁唄い込み」。2番から歌えば200本、3番から歌えば300本、これに合わせて陸では、沸かすお湯の量を決めたと言います。20人ほどの歌声を聴きながら手拍子する糸井さんと私。熱いものがこみ上げる。「気」ってなんだ?と広辞苑を引いたら「精神の盛り上がり」とあった。そうだろうそうだろう、「気」仙沼だしな、と思った一日でした。

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by woody-goody | 2012-03-30 17:31 | 列島各地

東南アジア落語会

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 先週、ベトナムのホーチミン、シンガポール、タイのバンコク、三カ国11日間の長旅から帰国しました。

 毎年のことながら、現地の日本人会の皆さんが力を合わせて一から手作りで開催してくれ、これぞ落語会の原点とも言える素朴な情熱が感じられてうれしくなる会でした。

 昨年末の師匠の他界、年明けの正月一カ月公演でヘロヘロになったところを、主催者さんや現場のスタッフ、お客様の笑顔に助けられ、なんとかのりきってほっとしたのもつかのま、海外へ。

 不況はいずこも同じですが、昨年のタイの大洪水により日本工場の閉鎖が相次ぎ、現地の方の苦労はいかばかりか。

 とある日本のお菓子メーカーの工場も水につかって生産中止、スーパーの棚に商品を並べることができなくなりました。

 けれど、そのままにしていると、棚のスペースが他のメーカーにとって代わられてしまいます。一度スペースを明け渡してしまうと、なかなか元にはもどらない。今度は、商品があるのに棚がないという事態になります。

 そこで苦肉の策がとられました。日本の本社で作った商品を輸入して現地スーパーの棚に並べているのだそうです。

 当然のことですが、企業が東南アジアに進出したわけは、人件費を含めたコストが安くすむからです。そこで生産した商品を現地で販売したり、日本に逆輸入して利益を生み出してきたのですが、今回のように日本で生産した商品をタイへ輸送、関税をかけて販売していたのでは完全に赤字。

 赤字でもスーパーの棚は守り抜かないと、と海外で生きる企業人の力強い言葉。

 そして、大洪水もなんのその、腰まで水につかりながら、魚を釣り始めるタイの方々の、どこかユーモラスでさえある前向きな姿勢。

 そんなたくましい方々に支えられて無事成功に終わった落語会の打ち上げで出てくる師匠立川談志の思い出話の多いこと。「談志師匠は得体の知れないものでもなんでもよく食べられましたよねえ」など。ベトナム傘をかぶった笑顔の師匠談志の写真を持ってくる人。どの国へ出かけても、師匠談志は強烈な印象を人々に残していました。

 34度のバンコクから日本に着くと2度でした。しかも一昨日のあの大雪。三寒四温なんていうなまぬるい表現ではおさまりきれない日本です。御自愛くださいませ。


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by woody-goody | 2012-03-04 05:48 | 列島各地

姫路城の天守閣修復中

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 先日帰国したベトナム、シンガポール、バンコク三カ国公演11日間の報告はまた後日として、パルコ一カ月公演終了直後に出かけた、修復工事中の姫路城見学の報告を。

 15年前ほど前から続けている、春風亭昇太さんとの「世界遺産 ぶらり二人旅」第二弾。と言ってもテレビ番組企画でもなんでもなく、ただただぶらりと行く旅です。それも今回は一泊一日半の強行旅。

 「この機会を逃すと次は百年後になるよ」と、添付写真付きで送られてきたなんともおおげさな昇太さんからのお誘いメールとあれば、行かないわけにはいきません。

 写真には、世界遺産に指定された姫路城の「屋根の瓦葺き」の様子が写っていました。

 平成5年12月に奈良の法隆寺とともに日本で初めて世界文化遺産に指定された姫路城。

 その大天守閣保存修理工事は平成21年10月から始まり、工事は5年ほど続くそうです。

 この間、天守閣のそばにできた展望ビル「天空の白鷺」のエレベーターで天守閣と同じ高さにまでのぼり、修復ぶりを目の当たりにできるというわけです。

 今しかない、これを逃したら百年後。

 互いのスケジュールをあわせ、早朝新幹線に乗り込みました。姫路駅に着いてまずはホテルにチェックイン。フロントで「姫路城までどれぐらいあるんでしょうか?」と尋ねると、「近いことは近いんですが、お客様、あいにく姫路城は改修工事中でございまして」とすまなさそうな返事が返って来ました。とんでもない、こちらはその工事中こそを見に来たのに。

 今まででなんと50万人以上が天守閣の修復工事を見に来たというのに、残念なことにこの魅力はホテルフロントにまでは伝わっていなかったようです。

 結論から言うと、素晴らしかった。高所恐怖症の私ですら苦にならないほどの感動。この後、2時間ほど歩いて見て回った、通称白鷺城とも呼ばれる美しさにほれぼれ、すっかりタイムスリップしました。さらに城下町には多くの酒蔵があり、「灘菊酒造」見学と食事に感激、「夢乃蕎麦」というお店の生姜汁でいただく「姫路おでん」と蕎麦のおいしかったこと。

 みなさん、行くなら今ですよ、工事中だからこそ見られる姫路城大天守閣。しかもこれからは日本さくら名所100選に選ばれた桜も一緒に楽しめますしね。


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by woody-goody | 2012-02-24 17:18 | 列島各地

東京府、東京市って


 このところ、大阪都構想をめぐって、大阪府知事選挙と大阪市長選挙の話題に、ニュースやワイドショーが多くの時間をさいています。

 これに関連して、東京都の歴史を振り返ってみた解説で、東京市という区分が存在していたことに気付かされ、大変、勉強になっています。

 そもそも明治元年から昭和の初めまでは「東京府」だったんですねえ。

 ということは、明治昭和を背景とした古典落語に出てくる東京は「東京府」だったわけだ。

 東京市は、旧東京府東部に1889(明治22)年から1943(昭和18)年までの間に存在していた市なのだそうで。

 地方出身者だから知らなかったのか。

 江戸っ子のみなさんは御存じでした?

 京都出身の堀井憲一郎さんの一冊「いつだって大変な時代」(著)には、「東京」の由来について考察しながら、「西東京市」の命名のむちゃぶりについて面白おかしく疑問を呈しています。そもそも「東京」は、帝(みかど)がおわします京都の東に位置する都市だから東の京で東京。そこへ、2001年、田無市と保谷市が合併してできた市の名前が「西東京市」。気持ちはわかるが、東京と名付けた同じ思考回路で読み解くならば「京都から見て西東の方角にある新しい京」となるわけだが、西の東の東京では名前の意味がわからんと。確かに。

 そうか、東京都内における西にある市というのであれば、東京西市にすればよかったのか。

 ま、ともあれ平成の市町村合併がもたらした新地名のややこしさは置いといても、この合併方式、はたしていいことあったんでしょうか?

 私の故郷でも五つの市町村が合併したのですが、実家の家族や幼なじみから合併のおかげでよくなったという話を聞いたことがありません。「国がすすめることだから、しょうがなかったんだろ。時代の流れってやつか。それにしても昔の町名はよかったよな」という、ため息まじりのムードだけのような気がするのですが。

 もちろん、この合併のおかげでいいことがあった地域もあるはずです。その声をぜひ聞いて、この長い間の疑問に終止符を打ちたい気持ちです。

 それにしても、結果がきちんと確認できない改革を行う日本が、年金をちゃんと払えるはずは……ないよなあ。
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by woody-goody | 2011-11-10 23:59 | 列島各地

岐阜の「かご仏」

 先週も触れた岐阜市長良川での落語会はもう9年目になるので、ほぼ見て知ったつもりでおりました。

 ところが、車で駅まで見送ってくれた、提灯製造業社長が運転しながら私にこんなことを言うではありませんか?

 「志の輔さん、岐阜には毎年いらしてるんですから、もちろん大仏はご覧になってますよね?」

 え、なに、大仏? ここで奈良の大仏のことを聞くわけはないしなあ、と返答に困っていると、「そこの交差点を曲がるとありますよ、日本一の大仏ですよ」。

 え、なになに、この岐阜の町中に日本一の大仏が!?聞いてないよ。

 案内されたのは実に地味なお寺でした。

 京都万福寺の末寺だという「正法寺」

 中国様式の大仏殿に安置されている大仏様は、周囲が1.8メートルの大イチョウを真柱として、骨格はなんと木材で組み、外部を竹材で編み、その上に粘土を塗って、さらにその上から紙の経文を張り、漆を塗って金箔(きんぱく)を置いたという、乾漆仏では日本一なのだそうです。

 中に入るとすぐに像高13.7メートルの大仏様がぐっと前にせり出すように、前かがみに私を見下ろしていらっしゃいます。

 「よく来たね、やっと来たね」とおっしゃってるようでした。前かがみな分、大仏にすっぽり包まれているような気がして、今まで感じたことのない安心感がありました。

 久しぶりに味わった癒やしの空間でした。

 このときほど、新幹線の時間が迫っていたのを恨めしく思ったことはありません。

 聞けば、日本三大仏にも選ばれているとか。

 社長さんに言われました。

 「志の輔さん、なんで今頃驚いてるんですかねえ、毎年来てるのに」

 岐阜市の人たちにとってはもう馴染みすぎて紹介するまでもなかったのか、とっくに知ってるはずという思い込みがあったのか、なにはともあれ、車を運転していた方が、提灯屋の社長さんであったことがこの機会をもらえたことにつながりました。

 なんと言っても、この大仏様は竹材に経文を貼り付ける、そう、まさに提灯をつくるのと同じ方法だったからです。なので、「かご仏」とも呼ばれているそうです。そう言えば岐阜市は提灯の本場でした。

 この社長さんにとってはこの大仏様は最高の存在なのでしょう。

 この秋、行楽で岐阜へ行かれる方には、ぜひおすすめしたい癒やしのスポットです。


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by woody-goody | 2011-10-21 11:42 | 列島各地


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


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