カテゴリ:社会( 220 )

食いしばらない秋

 先日、歯医者で言われました。

 「歯がすり減っています。よほど歯ぎしりがすごいんですね」

 マウスピースを作ってもらい、睡眠中の食いしばりを予防することにしました。

 しかし、小さい頃から、寝てる間はともかく、「歯を食いしばって頑張れ」と言われ続けてきたので、当然、食いしばった方が力が出るのだと思っていました。

 ところがです!

 歯を食いしばる行為を専門用語ではクレンチングと呼ぶそうですが、この行為は本来の力を制御する方向に働くのだそうです。

 うそ!

 信じられずにあれこれ調べてみました。

 人がスポーツや重い物を持ち上げる時、困難な状況から抜け出そうとするときに知らず知らず歯を食いしばっているのは、ストレスにさらされたときに起こる「攻撃や逃避反応」の一部であり、交感神経の過剰な働きによるものなのだそうです。

 食いしばりによるあごへの圧迫は、身体に必要以上の緊張やストレスを与え、驚くべきことに「注意力散漫や集中力の阻害」の原因にもなっているらしいのです。

 ええーっ!

 ここで思い当たったのはゴルフ。歯を食いしばり、ここ一打を決めるべく、集中力を高め、1mmたりともずれないスイングを狙い、その結果、ボールは無残なカーブを描き、最大級の落ち込みを体験し続けてきました。

 「そうか、歯を食いしばってはいけなかったのか」

 私の常識が180度変わりました。

 そして、先日のこと、これを頭にしっかり叩き込み、上下の歯をわざと合わせないようにして、スイングしてみました。

 と、うまく力が抜けて、いいスイングができたのです。気持ちがよかった。

 聞くところによると、この理論に基づいたマウスピースも発売されているとか。

 なんでもあるね。

 マウスピースだのみというのも、なんだかなあ、と言う気もしますが。

 近ごろ、さすがに秋の気配が漂ってきました。

 落語の季節です。

 かなり多くの高座が待ち受けています。

 歯を食いしばらず、適度に頑張ることにいたします。
[PR]
by woody-goody | 2012-09-21 11:58 | 社会

うれしい一言

 今年で落語家生活30年を迎え、全国の各地で続けている落語会も、軒並み10回を数えるまでになりました。

 楽屋でネタ帳を広げながら「この年にこの落語をやってたのか、そうか、この年はあの事件が起きていたからだな」と当時のマクラも思い出しながら、緊張の中にも、その日の演目を決める楽しい時間が流れます。

 先週行ったばかりの新潟県民ホールでの会は、地元の音楽プロモーターが落語も扱いたいと始めた会で、はや5年目に入りました。

 思い起こせば、最初の年のアナウンスはこうでした。

 「お客様にお願いがございます。会場内での飲食、ならびに許可のない撮影・録音は堅くお断りいたします」

 ここまではよくある普通のアナウンス。これに続いたのが「公演中に、椅子の上に立ち上がったり、ステージに駆け上がったりなどの行為がありますと、公演を中止することがございます」でした。

 楽屋で聞いていた私は、久しぶりに死ぬほど笑いました。ロックのコンサートじゃないんだからさ。

 音楽コンサートを中心にやってきたプロモーターが、初めて落語を開催したからこそ起こったアナウンスのハプニングでした。

 あれから5年。ここの公演のうれしいことのひとつは、楽屋のお弁当です。

 楽屋にはおかずしかありません。実は、楽屋の外のテーブルに、御飯とみそ汁がたっぷり入ったジャーと鍋があるのです。せめて暖かいものを、というありがたい配慮を毎回続けてくれているのです。

 それよりなにより今回、もっとうれしいことがありました。会場の照明さんの一言。

 「やっぱり落語の照明は一番むずかしいですね」

 全国のあらゆるホールを回ったと自負している私にとって、当初、落語の音響と照明にあまり注意が払われてこなかったことは本当にさみしいことでした。

 座布団に一人ぽつんと座ってする話芸。照明も音響も簡単だと思われてもしょうがない。今まで講演会の照明は何度もやってきてるし、その座るバージョンでしょ?と思われるのも無理からぬこと。

 が、何度も一緒に舞台を作り続けるうちに、実は落語の明かりと音が、一番やっかいでむずかしい、とわかってもらえたようなのです。

 これを知らせたくて全国を回っていたと言っても過言じゃない、そんな30年でもあったわけです。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-09-07 17:10 | 社会

銀座でホタル

d0051179_15303519.jpg

 環境省が国の特別記念物で、今まで「絶滅危惧種」に指定されていたニホンカワウソを「絶滅種に指定」のニュース。30年以上生息が確認できていないからだそうです。

 絶滅危惧種だったことすら知らなかった私は、あわててカワウソの写真をネットで調べました。

 「県獣」に指定している愛媛県や、最後に目撃された高知県須崎市はがっくり。

 市では、ずっと自然繁殖を信じ、キャラクター「しんじょうくん」をつくり、お菓子やぬいぐるみにもなって市のシンボルだったカワウソ。

 93年度に設立された「カワウソ保護基金」も廃止する方向に。

 動物関係者は、ニホンカワウソの悲劇をくりかえさぬよう環境保全に取り組んでいかなければと話しているそうな。

 これで思い出したのが銀座のホタルです。

 夏の風物詩としてホタルの鑑賞会を毎年催している和菓子屋さんが銀座にあるのです。

 「もともとは、ここにもきれいな水がありホタルが生息していたんですよね。銀座の真ん中で楽しんでもらいたいと思って」と、ホタルの生息に必要なきれいな水と土がある、岡山で育てて銀座へそおっと運んでいるそうです。

 仕事帰りの方も立ち寄れるように、午後7時から9時までのイベント。

 室内を消灯し300匹を放流。壁3面に添って「水族館」をイメージして全長約2メートルの網状カゴを並べ、草やコケなどを植栽。

 そこは、銀座7丁目にある「源吉兆庵(みなもときっちょうあん)」。

 取材のために、小さなエレベーターであがると、そこには、まさかこんなところにという幻想的な風景が広がっていました。ホタルの黄色い光がいく筋も浮かび上がり、夢か幻か、光のショーにうっとりしました。岡山から銀座へふ化した卵を運ぶ担当者は「はかないホタルの生命の連鎖を絶やさないように毎年真剣に育てています」と。

 銀座も昔は自然だらけだったのです。

 そんな銀座に思いをはせ、毎年ホタルの鑑賞会を続ける不思議な和菓子屋さんとの出会い。

 その心意気に嬉しくなった夏でした。

 もちろん今年は終わりました。

 来年、ぜひお出かけになってみてください。

 ホタルが絶滅しないうちに。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-08-31 15:30 | 社会

宇宙と領土と命

d0051179_1216865.jpg

 このコラムをお休みしているうちに、ロンドンオリンピックも終わってしまいました。

 予想していたよりはるかに多くのメダルを獲得、日本選手団のあの活躍ぶりは実に誇らしく、このおかげで猛暑に対抗できたような気がします。

 でも終わってみれば、テレビに釘(くぎ)付けになった習慣をなんとしょう、と思っていたら、一気に熱をさましてくれたのは、領土問題です。

 つい昨日までの「世界はひとつ、平和な世界を」というスローガンのメッキが一瞬にしてはがれたような感じです。

 領土ってなんなのか。旗を立てりゃいいのか、人がたくさん住めばいいのか。

 地球の一部で国と国との境目をどうするかで争っているうちに、今度は「火星探査車、試験走行に成功、来週にも本格探査」のニュース。

 「火星に着陸した無人探査車『キュリオシティー』が試験走行。

 米航空宇宙局(NASA)は22日、火星に着陸した無人探査車『キュリオシティー』が車輪を使った短距離の試験走行に成功したと発表した。来週以降に最初の目的地である約400m離れた岩場に向けて出発し、本格探査を始める。

キュリオシティーは6個ある車輪をゆっくりと回転させて着陸地点から4.5m前進。車体の向きを変えて少しバックし、最初の場所から6m離れて止まった。NASAは着陸地点を、『火星年代記』などで知られる著名なSF作家で6月に死去したレイ・ブラッドベリ氏にちなんで『ブラッドベリ』と名付けた。

 また試験的に近くの石にレーザー照射した際に出た波長を分析した結果、この石が玄武岩質であることが分かった。最初の目的地は『グレネルグ』と名付けた岩場。最終的には着陸したクレーターの中心にそびえるシャープ山に向かう計画だ」

 まるでSF映画のあらすじのよう。それを陰でジッと見ていた火星人が……なんてね。

 これさえも現実か、デジャブか暑さなのか。

 一方、シリアで亡くなった若き女性ジャーナリスト。こちらも領土問題に端を発した紛争に巻き込まれて銃撃戦で命を落としたニュース。

 あまりにも惜しい、悔しい若さと才能。

 地球では、日々、境界線で争い続ける地区や島があり、空を見上げれば、新しい星の探査が始まっていて。

 スケール感は違っても、すべて人間が引き起こしている不思議を思う夏です。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-08-24 12:01 | 社会

伊能忠敬記念館

 ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございます。今年の下北沢本多劇場10回公演「大河への道」が無事終わりました。

 全国をくまなく歩き回り、初めて日本の地図をつくった男の新作落語でした。

 ちょっと想像してみてくださいな。

 地図がない時代ってどんなだったんでしょう?

 地球の大きさを知りたいという壮大な好奇心から、平均寿命がわずか50年という時代に、55歳から歩き始める伊能忠敬ってどんな人?

 地元では、ちゅうけいさんと親しみを込めて呼ばれ、実直を絵に描いたように商売で家産を増やし49歳で隠居の身に。普通ならここで人生をまとめて余生を静かに過ごすところなのに、どうしてもやりたかったことを実現させるべく第二の人生にとりかかるのです。

 尋常じゃありません。

 71歳までに17年間かけて4000万歩を歩き切ったのです。

 歩きながら、彼の頭の中には着々と日本列島の姿が浮かび上がっていったことでしょう。

 毎日、歩くたびに明らかになる日本の形。

 なんとスリリングで冒険に満ちた旅だったことでしょう。

 私の落語は、この男をNHK大河ドラマに採用してもらおうと、県庁のプロジェクトが立ち上がるところから始まります。

 私がこの物語をつくりたくなったのは、佐原にある伊能忠敬記念館に立ち寄り、実際に忠敬さんが使った測量器や地図を見て受けた衝撃、感動からでした。

 約200年前に果たされた野望の裏にある孤独と喜び。

 この夏、お子さんの自由研究テーマに、親子そろってこの伊能忠敬記念館に行かれては? 思ったより簡素な白壁瓦屋根のかわいい記念館です。

 私が5年前に訪れたときの感動をご一緒に。

 そこでたぶん1枚の申込用紙に目が留まることでしょう。

 その名も「伊能忠敬NHK大河ドラマ化を目指す署名運動」。

 2018年は没後200年、この節目の年に実現させようという、推進協議会が本当に立ち上がっているのです。瓢箪(ひょうたん)から駒ならぬ、新作落語から本物のプロジェクトですね。

この夏、ロンドン・オリンピックが始まり、世界のすごい人たちをいっぱい目にすることでしょうが、黒船が来る以前の日本には、こんなすごい人がいたという事実も知っておきましょう。教科書で数行でまとめられてしまうには、あまりにも残念な、偉大な冒険家・天文家・測量家に違いないからです。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-07-27 12:03 | 社会

梅雨明け宣言!したい

d0051179_14415587.jpg


 今年の梅雨明け宣言は、下北沢本多劇場公演の初日でした。

 「関東全域が梅雨明けした、と思われる」と歯切れの悪い、若者言葉で言うなら、ビミョーな宣言でした。

 こんな言い方になる背景には、きっぱり宣言して、宣言後に雨が降り続き、ほんとはまだ明けてないんじゃないの、と突っ込まれた経験があるからでしょう。

 また、逆に「なん日前の○月○日に、梅雨は明けておりました」と後出しジャンケンのような梅雨明け宣言もありました。

 早過ぎても遅過ぎても、なにかは言われる気象庁。

 気象庁勤めの職員もおかみさんに質問されてるのでしょうねえ。「ねえ、今年はいつごろになりそう? 長袖はクリーニングに出していいかしら?」

 ことお天気になると正確を期したい夫は、気楽には答えられません。

 いや、こういうことも考えられる。日夜、天気に敏感になってる気象庁職員の家では、お天気の話はタブーとされているかも。

 「お父さん、今度の運動会、晴れる?」

 「シッ! 駄目よ。お父さんにそんなこと聞いちゃあ」

 「あ、そうだった、ごめん。友達に聞いてくれって言われたもんだからさ」

 板挟みになる子供。

 単なる落語家の妄想ですがね。

 雨は雨で、農作物には恵みの雨。大切な梅雨ではありますが、子供の頃の梅雨明け宣言を懐かしく思い出します。

 宣言が出た! さあ、プール解禁だ!と友達と連れ立っていそいそ出かけたものでした。

 あのときのうれしさが体に残っているので「明けたと思われる」と聞くと、そうなのか、思われるだけでまた梅雨にもどることもあり得るのか、と気持ちの切り替えができません。

 要するに、気象庁がきっぱり宣言できないくらい、天候が不安定になってきたということなのでしょう。

 思い出すと言えば、まるのままのスイカも見かけなくなりました。

 夏と言えば、近所でスイカを買っておけの水で冷やし、みんなでわいわい言いながら、種を飛ばし合ったっけ。

 近所のおじさんが声をかけてくれます。

 「スイカ、あるよ」

 「え、じゃあスイカ割りはいつ?」

 「夕方、5時くらいかな」

 「じゃあ、僕が行くまで待っててね!」

 思い出す夏の日。地域がつながっていました。セミ、入道雲、打ち水、すだれ、風鈴、蚊取り線香、夏を呼ぶ梅雨明け宣言が堂々とできる落ち着いた気候になりますように。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-07-21 14:41 | 社会

身近な図書館へ

d0051179_12564952.jpg

 図書館と聞いてどんなシーンを思い浮かべますか?

 私の場合は、夏休みの宿題、読書感想文です。近所の図書館に行って、本を選び急いで読んで感想文を仕上げたものでした。短時間で読める芥川龍之介の「鼻」なんて、助かりましたね。さっさと書き上げて帰ろうとすると、顔見知りの図書館員のお姉さんが「竹内くん、借りていかないの?」「うん、もうできたから」「あら〜、早いわねえ」の声を背に、いそいそ遊びに走ったものでした。

 図書館って、消極的に義務感のようなもので行った記憶はあるけれど、積極的に行くところじゃなくて、固くて暗いイメージがありました。

 先日、お酒を飲みながらテレビを見ていると、10時過ぎにこんなふうなコメントが流れてきました。

 「私たちはどこに向いているのか、という話ですよ。市民に向いてやっていく。それがよかったか悪かったかは、選挙のときに問えばいいんですよ」

 興奮気味に話すのは佐賀県武雄市市長。

 図書館の運営について、全国でCD・DVDレンタル店「TSUTAYA」約1400店を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブに指定管理者として委託、これまでに類を見ない図書館を来年4月からスタートさせる、という法案を市議会で説明している様子の一部でした。

 斬新!

 「地域の文化が向上しないと元気にならない。図書館を起爆剤に地方から文化を創っていきたい」

 思えば、電電公社がNTTになり、日本専売公社がJTになり、日本郵政公社がJPになり、民間へのシフトが続いている時代です。希望者には、ツタヤが実施しているTポイント制も取り入れ、一角で雑誌や文具の販売、カフェダイニングも併設。開館時間も午前9時から午後9時まで、年間無休。

 これでサラリーマンの図書館利用も増えることでしょう。いいことずくめだと思うのですが、民間に委託すると個人情報が漏れるかもと反対してる人たちもいるとか。

 漏れるときは民間だろうがどこだろうが漏れる例をいくつも見て来た身としては説得力に欠けます。

 ネット時代の図書館の役割を考えれば、その場でこそ存在価値のあるブックランド、本を媒介にしたコミュニティスペースがこれからの図書館の役割では。ひょっとして反対する人は、ツタヤ、TSUTAYAの表記が軽々しいのが不満なのかも。でも、もはや図書館という響きもどうなの? 大使館じゃないんだから。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-06-22 12:57 | 社会

米は日本人の故郷

d0051179_12542061.jpg


 米は大事です。日本人の心の故郷です。

 子供の頃、母親代わりだった叔母が、窯で炊いた米のうまかったこと。

 まきをくべて火吹き竹で火をおこし……。こんなことを書いても若い方々にはなんのことやらでしょうが、初めチョロチョロ、中パッパで炊き上げた米を、いったんおひつに入れ、ふきんをかけておいておく。ちゃぶ台にみなの顔がそろい、叔母が茶わんに御飯をよそう瞬間、ふわあっと湯気が上がり、その向こうには「どうだ! 私が炊いたのよ」という、今で言うどや顔の叔母がいました。心の中であっぱれ!と叫んでいたものでした。

 今では、スイッチ一つでおこげができる炊飯器まであるというからなんという時代の変化。

 炊く方が変われば、炊かれる方も変わりました。

 先週、米沢市と山形市の2カ所で落語会を終えたのですが、旅館で出た朝食の米があまりにうまくて3杯もおかわりしました。聞くと「つや姫」という山形の米の品種だそうです。

 米にはうるさい富山生まれの私がうなるほどのうまさ。

 飯に尊敬語の「御」をつけ「御飯」とつけたくなった昔の人の気持ちがよくわかりました。

 単なる「食事」じゃなく「御飯」なんです。

「つや姫」が生まれた背景には、全国的に「コシヒカリ」の作付けが拡大したため、「はえぬき」生産者がさらにおいしい米をと改良に改良を重ねた努力があります。育成期間を短縮するためハウス内で冬期間も栽培、苗を1本ずつ植え、病気に強いか、収穫量は多いか、毎日観察しながら選別され、10年という歳月の末に誕生しました。

 平成20年産、21年産ともに「粒がそろっている」「つやがある」「甘みがある」「うまみがある」などのコメントとともに最高ランク「特A」の評価を得ています。うま味成分のグルタミン酸やアスパラギン酸がコシヒカリより多く含まれているとかで、冷めてもおいしい米となりました。おいしいことはいいことだ。が、ここに私にとってはまずいことが起こりました。煙草をやめてから、食事がすすみすぎて、8キロ太ってしまいました。

 せっかく食べ物の味がわかるようになったと思ったら、ほどほどのお付き合いしか許されない。世の中はうまくいかないものです。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-06-15 12:56 | 社会

アマチュアゴルフ

d0051179_12513030.jpg


 このコラム、調べたらもう16年続いていました。この期間に、体験したいろんなことを書いて来ましたが、始めたころには興味がなかったのに、今はすっかり生活の一部になり、続いてる趣味があります。

 50歳くらいから真剣に取り組み始めたので、もう8年になります。

 それはゴルフ。

 会う人ごとにすすめて、今では私のまわりはゴルフ仲間だらけになりました。

 何度やっても飽きず、なんでこんなに面白いのか、考えてみました。

 どんなに、前の晩、打ち上げで遅くなろうが、早朝に目覚め、1時間以上もかけていそいそと出かけます。そこそこ高い料金を支払い、日によっては残念な結果にほぞをかみ、ストレスをためこんで帰ります。

 なのに、またお誘いがあればのこのこ出かけ、お誘いがなければ自分から人を誘って意気揚々と出かけます。

 なんで飽きないんだろうと考えてみました。

 大きなポイントは、簡単リセットスポーツだからじゃないか、ということです。

 1ホール終われば「ああ、よかった」「なんだ、このざまは」とつぶやき、次のホールでは「今度こそ」と気持ちを新たにして向かいます。

 前半の9ホールが終われば、昼食の時間。

 「前半はよくなかったけど、後半こそはみてろよ」とひそかに誓い、後半9ホールへ。で、18ホールをすべて終え、結果、がく然とするスコアだったとしても、「よーし、来週こそはこんなもんじゃないぞ」と、気持ちをゼロにして闘志を燃やします。

 もちろんこれはアマチュアに限って言える話で、プロはそうはいきません。

 常に悪かった原因を分析し、徹底的に弱点を克服するべく厳しい練習が待っています。

 このアマチュアゴルフの感覚、なんかに似てると思ったら、先日の内閣改造でした。

 問責決議が出てやむを得ずの改造。感想は「へー、そーなんだー」。

 何度もリセットするものの、なにも変わらない。そうか、してみれば、今の内閣はアマチュア集団なのか。そう思えばわかりやすい。だから、さして、人選に怒る人も、もの申す人も出て来ない。アマチュアだから言ってもしょうがないしね、言うだけエネルギーが損するしね、と。

 こういうふうにしてしまった私ら、さあ、次回は何党に任せたら、なにがどうなる?

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-06-08 12:58 | 社会

高所恐怖症の私

d0051179_12424835.jpg


 東京スカイツリーの開業は雨。そこにすかさず、先輩格の東京タワーキャラクターのノッポン兄からメッセージが寄せられ、その発言が男前だと、ツイッターで評判になっています。

 いわく「大丈夫。うちも初日は雨だった」。

 この双子の兄弟、マジメな弟と、いつもはシャイで寡黙な兄という設定。

 ちなみに弟のメッセージは「見上げる人っていい顔してる。いっぱいいい顔つくりましょうね」。

 遊んでますなあ。

 うらやましい。

 実は私、何を隠そう、高所恐怖症なのです。せっかく世界一の塔ができあがっても、決して上がりたくはない、いえ、正確に言うと上がれないのです。

 これで一番恥ずかし思いをしたのは、オーストラリアの真ん中にあるエアーズロックに、番組リポーターとして登らなきゃいけなくなったときのこと。周囲が約9.4キロ、高さが約340メートルの大岩です。

 撮影カメラマンが私の後ろにピタッとついてくるという態勢で、50メートルもいったでしょうか、ふと下を見た私がばかでした。もういけません。体が完全にフリーズ、どうにもこうにも動けなくなりました。

 この感じは、高所恐怖症じゃない人には決してわかってもらえないでしょう。

 仕事の内容は前もってわかっていたろうに、と言われればそうなんですが、当時はどんな仕事でも面白くてしょうがない時期で、自分の高所恐怖症を甘く見ていたんですね。

 さて、せっかくできた世界一の電波塔に、上がれるものなら上がってみたいもんだと願ってる高所恐怖症の皆さん、私が司会している「ためしてガッテン」で以前放送した克服法を御紹介しましょう。

 自らも高所恐怖症だった担当ディレクターが実際に試した方法です。

 山の中、ゆらゆら揺れるつり橋を渡る途中であなたは体が動かなくなった、さあ、どうする。方法はいたってシンプル。10分間その場でひたすら恐怖に耐える、それだけです。ジタバタしないでとにかく耐える。すると、徐々に体から恐怖が抜けていくんだそうな。これをあちこちでやってみて訓練したディレクターは本当に克服できたのです。

 タワーやツリーやつり橋に誘われる機会も多くなる(?)高所恐怖症の皆さん、しかたなく付き合って、具合が悪くなっても10分間我慢すれば道は開けます。

 信じてぜひ行ってらっしゃーい。

 私は、下から見てますから(笑い)。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」
 毎日新聞
 2005年5月以前の記事

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2012-05-25 12:42 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

社会
列島各地
体験
政治
芸能
休載

以前の記事

2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧