カテゴリ:社会( 220 )

ありがとうございました

 入学、卒業、転居、といろんな節目の春です。

 落語家という職業は入学があっても卒業はありません。入門を希望して「見習い」の段階から、落語家としての名前をもらって「前座」へ。師匠のそばで用をしながら芸に対する心構えを学び、「二つ目」になれば師匠を離れて自分の芸を確立すべく精進の日々を過ごし、最後は「真打ち」という身分で堂々と世間に自分を問うことになります。

 このたび最初の弟子、世に言う一番弟子立川志の吉が立川晴の輔と名前を変えて真打ちに昇進、この30日によみうりホールで披露興行を行う事になりました。

 17年前に入門してきた明るい青年が、落語家として一人前になる門出です。

 そして、その1年前に始まり18年間続いたのがこのコラム。40歳過ぎから始めて私も還暦を迎えました。

 思えば最初はワープロで原稿を打ちファクスで送っていました。メールも携帯電話もありませんでした。

 空港から、楽屋から、海外から、コンビニから、ホテルから、雨の日、晴れの日、曇りの日、一度も落とすことなくよく続けられたと、自分をほめてあげたい気分です。

 で、今年に入って週1回から月1回になり、もうお気づきのことと思いますが今回で最終回になります。

 世間を落語家の目で見たらどうなるか、落語には先人の知恵、普遍的なテーマがたくさん詰まっていることをご紹介できれば、と思って始めました。

 なんとなく伝統芸能だから現代と関係ないんじゃないかと思われがちな落語を今に引き寄せられないか、落語家である私の身辺雑記や思いを書くことにより落語に親近感を持ってもらえたら、の望みが少しはかなえられたでしょうか。

 ビビッドなニュースで埋まる新聞というメディアに掲載されるこのコラム。私自身も、この体験が生でしゃべる高座のマクラのネタにもなり役立ったことは言うまでもありません。

 「世情のあらで飯を食い」と言われる芸人であってみれば、このコラムが終わっても、常に世間を節穴からのぞいてみていこうと思います。

 今まで、ヒダリミギ、ヒダリミギ、と号令をかけながら一歩一歩、時によって歩幅や速度を変えながらも同じリズムで歩いてきたのですが、還暦を機に、いったん両足をそろえてみて、また新たな一歩を踏み出したくなったのです。

 ほんとうに長い間、ありがとうございました。

 またどこかでお会いしましょう。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2014-03-28 13:21 | 社会

還暦を迎えて

d0051179_11393348.jpg

 師匠談志が逝って、はや三回忌。

 その師匠が還暦を迎えたとき、弟子たちに言った言葉を思い出します。

 「俺もあと5年だろう。寿命ということもあるが、自分の落語がやれる時間としてという意味でもな」

 それから毎年、一門が勢ぞろいする新年のあいさつでは、「俺もあと3年だろう」「あと2年だな」となっていきました。毎年そんなセリフを聞かされ、なんで毎回わざわざそんなことを言うのだろうと不思議に思っていました。

 そんな私が、あの頃の師匠の年、還暦を迎える事になりました。

 子供の頃、50代の人は爺さん婆さんでありました。

 自分自身が幼い頃、人生終盤だなと思っていた、まさにその年になりました。

 残り時間を確実に意識し始める年、還暦。

 漠然とした焦り、じりじりとしたいら立ちのような感情が湧き起こり、「そうか、師匠はこれと同じような気持ちで、毎年のあのあいさつをしていたのかも」。

 これから先、あと何回高座に上がれるのだろうと考えながら、でも、今晩何をやるのか決めるのが先決だろうよ、と笑ってしまう自分もいて。

 時間を見つけては、いろんな舞台を観て元気をもらったりしていますが、勇気をもらった映画が1本ありました。

 「キューティー&ボクサー」。切ないのに癒やされ、笑わされ、泣かされた映画でした。

 日本で初めてモヒカン刈りにした男、現代芸術家の篠原有司男81歳と、同じく芸術家である妻の乃り子。ニューヨーク在住40年の二人の愛と闘いの記録です。

 英語と日本語が入り交じったドキュメタリー。

 芸術家なのに、タイトルに「ボクサー」と入っているそのわけは、観てのお楽しみです。

 ニューヨークに意気揚々と来たときの映像がフラッシュバックで差し挟まれ、妻の絵とシンクロしていくそのセンスのよさ、カメラワーク、編集、音楽、全てにうなりました。

 途中からドキュメンタリーであることを忘れさせるほどで、映画祭で受賞したというのもうなずけます。

 何気なく二人が口にする言葉が哲学的に聞こえてきます。

 「アートっていうのは悪魔。悪魔にひきずられていくものがあるわけよ」と夫が言えば、妻は「ラブ・イズ・ウォー」と絵に描いていきます。

 観賞し終わった後、なぜか「よし!」とつぶやいている私がいました。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-12-13 11:40 | 社会

希望的メニュー

d0051179_1071852.jpg

 一昔前の落語家の、代表的な最初の言葉は、「えーー毎度馬鹿馬鹿(ばかばか)しいお笑いを一席」というものでした。

 思うに、以前の世間には真面目な空気が流れ、「息の詰まるような思いの毎日」が続くがゆえに、たまには寄席にでも行って馬鹿馬鹿しい話を聞く。これがストレス発散になっていたのです。

 ところがどうでしょう。言うまでもなく、いや書くまでもなく、日を追うごとに「偽装の告白」や「誤表示の報告」が増え、一つ一つの言い訳がこんなに馬鹿馬鹿しいと、面白すぎて私ら落語家の立場はあがったりです。

 どうしてくれよう。

 こうなると、最初に偽装が見つかり、苦しまぎれに「誤表示」という新語を考え出し、火に油を注ぎ、ついに責任をとって辞職したホテルチェーンの社長などは、「なんだよー。みんなやってるんだったら、あんなに早々に辞めることはなかったなあ」と思ったとしても不思議じゃないぐらいの連鎖反応。

 最初は怒っていた人たちも偽装の経緯を知るにつけ、もう笑うしかない段階にきています。

 発言を要約すると「当初は『手しぼり』していたのですが、あまりに手がかかるので100%ジュースに切り替えました」とか、「初めはちゃんと稲庭うどんを使っていましたが、ゆでるのに時間がかかりすぎると思っている矢先に、『稲庭風うどん』に出会いました」などと、コントみたいな言い訳。また、それを紹介するワイドショーも大上段に振りかぶり過ぎて「芝エビではなくバナメイエビだった。いったい、エビに何が起こっているのでしょうか?」なんて。違いますよ。エビには何も起きてはいませんよ。事件は人間に起きているんですよ。

 そりゃね、ありますよ。タイトルに「爆笑」とついているお笑い番組でも、爆笑できない番組だってありますし、私らの業界でも、「〓○名人会」とついてはいても「出演者全員が名人か」と問われれば、答えに窮しますよ。でも、これは勢いをつけるために「こうあれかし」「こうだったらいいな」という希望的なタイトルだから許されるんですよね。

 だって、芸や笑いは見る人によって感じ方が違いますしね。

 そうか。「希望的メニュー」だったら許せるんですよね。

 でも、メニューが長くなるなあ。

 「お客様、『芝エビだったらいいのに』はいかがですか?」。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-11-08 10:03 | 社会

タダの威力

d0051179_1243123.jpg

 私ら世代は「タダほど高いものはない」と教わったものですが、今の若い人には通用しないようです。

 「志の輔さん、ラインやってないんだ」

 「何、そのラインって?線のこと?」

 「やだ、信じられない。タダですよタダ。国内どころか海外だってタダで会話ができるんですよ」

 「どうすればそれが使えるようになるの?」

 「え? どうすればって設定するだけですよ。やってあげましょうか? お弟子さんは若いからきっと知ってますよ、使ってますよ。やってもらえばいいじゃないですか」

 「簡単に設定できるんならやってもいいけど、ところでどこの会社がもうけてるの?」

 「何ですか?」

 「いや、だから、使う側はタダでも、どこかの会社がもうけてるんだろ?」

 「いえ、そういうのはないですよ」

 「ないって……。じゃあ誰が運営してるの?」

 「運営ってなんですか?そんなのないんですよ。設定だけですから」

 「携帯の会社はどこでもいいの?」

 「どこでもいいんですよ。え?! ひょっとして志の輔さんはスカイプもやってないんですか?」

 「何それ?」

 「え? 信じられない。パソコンで設定すれば顔を見て『フェーストゥーフェース』で話ができるんですよ、タダで」

 「え、それもタダなの?どこがやってるの?」

 「またあ〜。どこがってスカイプがやってるんじゃないんですか?」

 よくは知らないらしい。

 「そのスカイプって会社は、どうやって経営してるの?」

 「そんなこと知りませんけど、とにかくタダなんですから。やらない手はないですよ」

 タダの威力を前にして会話がかみ合うわけがない。

 この数日後、スマホの会社を乗り換えようと調べると、何とスマホ本体の料金は2年がかりで支払うことになっていて、今解約すると解約料金が高額になるという。タダとこのギャップはどうなってるんだ、いったい。

 スマホからメールすら打てず、写真機能を使って保存してあるのは長崎の落語会に来てくださった福山雅治さんのお母さんと撮ったツーショットだけという不思議な私のスマホ。これも確か弟子が撮ってくれたもの。なに、送ってほしい?そーんなこと私に求めないでくださいな。電話以外はできないんだってば。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-11-01 12:04 | 社会

ノンジャンルな人たち

d0051179_17482097.jpg

 いつもはミュージカル公演で有名な赤坂ACTシアターで、落語「中村仲蔵」公演を行いました。

 「忠臣蔵」を題材にしたこの落語を、より深く理解していただくために前半では映像も使って忠臣蔵の全段を紹介するという試みの再演でした。そもそもミュージカルを前提に設計された広い空間なのに、終わってみればたった一人しか舞台にいないにもかかわらず、ギュッと凝縮され集中できて広さを感じなかったという多数の感想が寄せられました。照明、音響さんらスタッフの力もお借りして新たな落語の見せ方が提案できたかと思うと感無量です。

 落語ファンだけじゃない方々にも落語を見てもらいたい。この空間でどんなことができるのだろうと考えた結果の演出でした。

 私が赤坂で舞台を務めている頃、当然のことながら見に行けなくて残念だったのが、新宿での松元ヒロさん「ひとり立ち」公演。古くは新大久保の小さな会場で行われていた頃、師匠談志も私も出かけて、その笑いを交えた熱いトークに感動したものでした。言いたいことがある人は強い。

 現実の問題に真っ向から斬り込み、ためらいを見せながら奥底には強い信念。今までなかったヒロジャンルを作り上げたのです。

 このようにノンジャンルで頑張っている人たちがたくさんいます。

 鉄道ネタから人情もの、鋭い視点で時事ネタも過激なダメじゃん小出さん。鉄道ネタもあるけれど、東京タワーにスカイツリーの歌を作るかと思えば古い邦画に詳しく、決して大向こうをうならせない軽さが持ち味のスタンダップコミック・寒空はだかさん。学生服が似合いそうな風体で演歌を歌い継ぐカンカラ三線弾き歌いの岡大介さん。居酒屋に老人ホーム、大道で民謡からシャンソンまでアコーディオンを弾き歌う遠峰あこさん。渾身の思いを込めて野球、競馬、映画、芸人を「山田かたり」に昇華させた山田雅人さん。そして驚くべきは、女3人で笑いを続けているコントだるま食堂さん。なんと今年で26.5周年(笑)だそうで、「凹凹大回転」と銘打った公演が、なんといつも私が夏に「牡丹灯籠」公演を行っている下北沢の本多劇場で11月4日にあるとのこと。くだらなさ、ばかばかしさを女性が続けるその苦労をみじんも感じさせず、相変わらず「馬鹿だなあ」と思わせてくれる3人。女性が笑いを味方にしたら怖いものなしでしょう。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-10-04 17:47 | 社会

眠りたいなら起きろ

d0051179_12145161.jpg


 先週「半沢直樹」が終わり落胆。そしていよいよ明日が「あまちゃん」の最終回。

 落語会の打ち上げをしていたら、隣のテーブルはもっぱらこの話題で盛り上がっていました。

 「ほんと、困るよ。年内どうすればいいんだよ、俺」と言うサラリーマンの一人に、笑いながらため息をつく人たち。

 半沢ロス、あまちゃんロス症候群が続出しそうといううわさが真面目にあちこちでささやかれています。

 テレビドラマが日常生活に与える影響を、久しぶりに強く感じた今年でした。

 よく言われる、テレビというメディアは、もはやダメということではなくて、面白いものや良いものさえあれば、見る人は山のようにいるんだ、ということを見事に証明しました。

 ただ、面白い番組が増えると、留守録してある番組を夜中に整理しながら見始めるので、睡眠のリズムが狂ってしまうのも事実で、留守録を見ずに普通に就寝したときも必ず真夜中に目が覚めるという習慣がついて5年がたちます。

 それにしても若い頃の8時間熟睡はどこへいってしまったのか。なぜ歳をとると眠れなくなるのか。「眠るのって体力がいるんだなあ」と思っていたそんな折に、一昨日放送した「ためしてガッテン」で不眠を取り上げたのです。

 そこで意外なことがわかりました。

 「一日7、8時間寝るのが理想。眠れなくても、とにかく横になっていれば体は休まる」という思い込みがかえってストレスになり、眠りを妨げていたことがわかったのです。

 子供のころに親から何度起こされようが起きられなかった熟睡体験の記憶を消せないで、もっと寝られるはずとベッドの中で不眠にもんもんとしているより、いっそ起きてしまって気分を切り替えたほうが眠気はやってくるのだそうです。

 テレビを見てもいい。ラジオを聴いても、本を読んでもいい。

 「あ、また目が覚めた、こんな夜中に。明日は早いんだから早く寝なきゃ。眠れ眠れ」と呪文のように唱えて、自分で自分にストレスをためるのはもうやめようと、私は、番組収録のあった日の夜から、目が覚めたなら起きてみることにしました。

 すると、どうでしょう、しばらくすると眠くなったんです。「そう簡単に、寝かせるものか」と自分に言い聞かせると、もっと眠くなったんです。

 「眠りたいなら起きろ」。この矛盾した睡眠法、どうぞお試しあれ。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-09-27 12:15 | 社会

謎の痛みに後悔の念

 こんな事ってあるんですねえ。

 何気なーくテレビを見て普通に床に就き、普通に寝たんです。

 夜中にトイレへ行こうと起き上がった時に、あれれれ、左足が動かない。んん、この尻の後ろから脚にかけての痛みはいったい何だ?

 寝違えた? それにしちゃあ痛みが尋常じゃない。

 何せトイレへ行かねば。壁を伝って左足を引きずりながら到着。何とか用を足してベッドに戻ったのはいいのですが、痛みで眠れない夜を過ごす。

 朝一番で近所の整骨院に駆け込み、「どうしました?」と聞かれても「寝て起きたら左足が動かないんです」としか言いようがないのです。

 少し痛みをとってもらって午後は鍼灸の専門院へ。そのまま立ち仕事の司会と座り仕事の落語をこなす。

 特に立ち上がる瞬間と座る瞬間、左股関節あたりにズキズキ痛みが走る。

 偶然、腰のレントゲン写真を撮ったばかりだったので、骨に異常がないことははっきりしています。

 知り合いに片っ端から電話して聞いてみると、いやはや、痛みの原因を類推する幅の広さよ。

 座骨神経痛じゃない?

 普段の姿勢が悪いんじゃない?

 たばこをやめて太ったから腰が支えきれなくなっているんじゃない?

 来年還暦だからもう体にガタがきてるんじゃない?

 台風の前後で気温と気圧が変わったからじゃない?

 ゴルフのスイングに問題があるのでは?

 そら運動不足じゃない?

 あ〜、もう原因はどうでもいい。この痛みを取り除いてくれさえすれば、何でも言う事聞きます、今度こそ絶対に、と固く誓う私。

 今、とっても謙虚。

 そして予想されるのは、「腰痛特集を何度も放送した、その科学番組の司会者は誰? あんたでしょ!」という視聴者からの総ツッコミです。

 はい、そうでした。

 皆様にお勧めしておきながら、私は日々の暮らしでそれらを実践していなかったことを、ここに告白し、おわびいたします。

 申し訳ございませんでした。こう考えればいかがでしょう? 私は油断した場合の実験台になってみました。次回の番組では、説得力がさらに増した司会でお届けします。

 後悔の念にさいなまれながら、昨日から赤坂アクトシアターにて「忠臣蔵」と「中村仲蔵」という長時間ライブを始めております。あと3日間。いろんな意味で、乞うご期待。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-09-20 14:48 | 社会

ペヤングの法則

d0051179_17515496.jpg

 私がCM出演している「ペヤング・ソース焼きそば」の「『ペヤング』はどういう意味?」と、よく聞かれるのですが、スポンサーさんからの答えは「ペアーヤング」。つまり若い二人で、カップルで食べてほしいという願いが込められているのだそうです。

 ヤング! 時代を感じますねえ。

 さて、ペヤングの正しい作り方、食べ方です。もちろんパッケージに書いてあるんですが、私の一工夫をお教えしましょうか。

 まず、パッケージから乾燥麺を外へ取り出してしまいます。で、容器の底に乾燥野菜を置き、その上に先ほど取り出した乾燥麺を置きます。

 そこへお湯を注ぎます。

 さて、3分待って湯切りに入ります。この時に野菜がお湯と一緒に湯切り口から出てしまうことがよくありますが、麺の下に野菜をちんまり忍ばせることによって、ああら不思議、防げるってわけなんです。

 当たり前か。

 「ガッテン」していただけました?

 でも、こんなささいな工夫なんて、ほんとお恥ずかしいと平身低頭したい方がいます。

 お湯の量や時間によってペヤングがどう変化するかを実験、詳細に記した堀井憲一郎さん。

 週刊文春連載「ホリイのずんずん調査」が一冊にまとめられた「かつて誰も調べなかった100の謎」(文芸春秋刊)の中にある「『ペヤングの法則』」の項。

 まず、湯切りの時に麺を全部こぼしてしまったことが人生で2度あるらしいのですが、それはさておき、「ペヤングに、お湯を何cc入れると捨てるお湯は何ccになるのか」という調査を開始。500ccだと捨てたお湯の量は330cc。ということは麺は170ccを吸い込んだことになり、ここでさらに歩を進めるのが堀井流。ついに、ペヤングの法則が発見されました。

 「湯は多く入れた方が、麺はより多く吸収する」

 湯の重みも関係するのかなあ。

 ここまでこだわれば立派な科学。

 この他にも「銀座の寿司屋に飛び込みで入るといくらかかるのか」とか「日本人がカメラにVサインをするようになったのはいつからか」など、知らなくてもいいけど、ちょっとは知りたい謎が解明されています。

 帯にはこうあります。「ネットでは検索できない秘密がここにある。役に立たないが、なぜだか面白い天下の奇書、堂々完成」。なんのなんの、大変役に立ちますよ。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-09-13 17:51 | 社会

叱り方の極意は?

d0051179_15322488.jpg

 そうかあ。ネットには大量のアプリ(ネット上で、ある作業を実行できるソフトウエア、仕組み)があふれていますが、ここまで来たか、と思ったのは「鬼から電話」。この夏休み、その絶大な効果に驚いた友人から電話がありました。

 お盆で帰省した実家ではおいっ子やめいっ子が集まり大騒ぎ。年に一度の特別なイベントなので、いつも怒っている親も大目に見てくれるはずということを子供もわかっていて、はしゃぎっぱなし。自分でも制御できなくなるのでしょう。

 それが度を超すと大人も黙ってはいられません。兄嫁が何度注意しても、走り出した車は急に止められないのと同じで、ブレーキが利かなくなった子供は、ますます声が大きくなり走り回る。

 ついに、兄嫁は「鬼さんに電話するよ」。

 「いやだいやだ」と言いながらも、まだ騒ぎ続ける子供たち。兄嫁はおもむろに言いました。

 「じゃ、電話する」とスマートフォンのボタンを押すと、スピーカーから「はい、赤鬼です。どうしましたか?」「あのー、子供たちがね、うるさいんです」「そうですか、困りましたね。ちょっと電話を替わってくれますか?」「わかりました。少々お待ちください。ほら、鬼さんが電話に出てるよ」とスマホを渡すと、騒ぎはピタッと収まり、「ごめんなさい。もう騒がないから」と、泣いて親に頼み出したんだそうです。

 言う事を聞かない子供を親の代わりに叱ってくれる無料アプリ。他にも、「歯磨きをしないとき」はユウくん、「お片づけをしないとき」は佐々木さん、などシチュエーションによって違うキャラクターが出て来る設定になっています。

 叱るばかりではなく「あいさつができたとき」「お手伝いをしてくれたとき」など、ほめてくれるパターンも追加されました。

 友人は言います。子供に絶大な効果があったことより、スマホを片手に赤鬼のセリフに合わせ、間をとって話しかけているかのようにセリフを入れる兄嫁の演技力が、怖いくらい上手で笑いをこらえていたと。

 ただし、これは、その子の性格やシチュエーションを見極めた上で使わなければいけないのはもちろんです。怖がって泣きやまない子や、逆に面白がってますます騒ぐという場合も。

 子供のことを十分にわかっていて、愛情があるというのが大前提。

 叱るのもほめるのも、それがなければどちらも通じませんものね。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-09-06 15:20 | 社会

日本列島、二つのお盆

 この時期になると、落語「青菜」を思い出します。

 中でも、人間国宝だった故・五代目柳家小さん師匠のマクラが大好きです。

 「蜀山人の狂歌に、涼しさと言うと『庭に水、新し畳、伊予すだれ、数寄屋ちぢみに、色白のたぼ』というのがありますな」

 「数寄屋ちぢみ」というのは、我々落語家も身につけている「ステテコ」のことです。

 「たぼ」は、女の人が長い髪を後ろでぐるっと巻いてかんざしでとめてある様子、ここから「いい女」のことを「たぼ」と言うようになったそうです。

 言葉だけで涼をとるイマジネーションの世界です。

 では逆に、暑苦しいのはどういうのかというと。

 「西日さす、九尺二間に、太っちょの、背なで子が泣く、まま(飯)が焦げ付く」

 あまりの暑苦しさに笑うしかありません。イメージで遊ぶ、日本人の豊かさに感服です。

 さて、来週はお盆。

 お盆とは、先祖の精霊を迎え、追善の供養をする期間のこと。

 ところが、日本にはこれが二つあります。

 旧盆と新暦の盆。

 私の故郷の富山県でも、県庁所在地の富山市は8月の旧盆、生まれた旧新湊(現射水市)は7月の新暦の盆。

 東京など都市部では7月13〜16日の新暦の盆。地方では8月13〜16日の旧盆。

 どちらにしろ15日をはさんだ4日間。

 一説によると、1873(明治6)年に新暦(太陽暦)が採用された際に、国民の8割を占める農家の人たちにとっては、新暦の盆が最も忙しい時期にあたります。なので、旧盆のままになったそうです。

 もっとも、このおかげで帰省ラッシュが緩和されているメリットもあるのでしょう。

 年中行事の中で、親戚知人が一堂に集まる最も大切なのがお盆と正月でした。

 めでたいことの例えに「盆と正月が一緒に来たようだ」とよく言ったものですが、さて、若い人たちに通じるかどうか。

 「クリスマスとバレンタインデーが一緒に来たような」と言えば、分かりが早いか。

 旧盆と新暦の盆がなんなく共存する日本。米国なら、旧クリスマスと新クリスマスがあるようなものじゃないでしょうか?

 あえて一つに統一しないで、知恵を使って豊かに過ごして来た日本。

 こんな日本をわかってもらわないで、はたして諸外国との交渉なんてうまくいくのでしょうか。

**********************************************

 公式サイト「しのすけコム」へ
 毎日新聞へ
 2005年5月以前の記事へ

 青石銘木店へ(このブログの制作者)
※このブログの制作にあたっては立川志の輔事務所(シノフィス)ならびに毎日新聞のご了承を頂いています。
[PR]
by woody-goody | 2013-08-09 11:27 | 社会


立川志の輔のエッセイ(毎週金曜日毎日新聞に掲載)


by woody-goody

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

カテゴリ

社会
列島各地
体験
政治
芸能
休載

以前の記事

2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧